愛犬の皮膚上にシミのようなものを発見したことのある飼い主さんもいるかもしれません。 飼い主さんとしてシミに関する病気について理解しておく必要があります。今回のMOFFME記事では、愛犬の皮膚にできたシミの原因や悪性シミの見分け方を紹介していきます。
この記事の目次
目次を閉じる愛犬の皮膚にできたシミは大丈夫?原因や悪性シミの見分け方
ブラッシングをしていたり、スキンシップをしている時、ふと愛犬の皮膚にシミを見つけたことはないでしょうか。
お腹でもない限りは、普段は被毛に覆われていてあまり目立たないこともあり、シミ一つであっても、愛犬の皮膚の異変はどうしても気になってしまうものです。
「犬にシミはできるものなの?」「何か悪い病気のサインじゃないの?」「消えることはあるの?」という不安を抱くこともあるかもしれません。
そこで今回「MOFFME」では、以下の項目を通して犬のシミについて解説を行います!
- 犬のシミの原因を解説
- 危険な犬のシミの見分け方を紹介
- 犬の皮膚にシミができる病気を紹介
- 病気によって二次的にできたシミ
犬のシミの原因を解説
シミというのは、一般的には皮膚にできた黒ずみを指します。
人であれば、美容のためにシミを隠したり消したりということはありますが、犬であれば、それは被毛によってほぼ見えないため、わざわざ消す必要もないでしょう。
生まれつき付いていることもありますが、外的要因によって後天的にできることも多く、「気付いたらシミがあった」なんてことも珍しくありません。
ですが、病気によるシミは別です。それはもしかしたら、他にも症状を伴う病気を早期発見できるサインかもしれません。
では、犬の体にはどんな理由でシミができるのでしょうか。
ここからは、以下の二つから、犬のシミの原因について解説します。
- 病気ではない犬のシミ原因
- 病気の可能性がある犬のシミ原因
病気ではない犬のシミ原因
病気ではないシミの原因としては、以下のものが挙げられます。
- 長時間、皮膚に紫外線や物理的な刺激などを受け続ける
- 生まれつき皮膚にアザなどがあり、シミができやすい状態になっている
- 加齢によるもの
病気の可能性がある犬のシミ原因
- 内分泌疾患
- アレルギー等による皮膚炎
- 腫瘍性疾患
危険な犬のシミの見分け方を紹介
もしシミを見つけた時は、そのシミに対して愛犬がどんな反応をしているか、シミが拡大していないかを確認してみましょう。
特に気にする様子もなく、シミもできた状態からそのままであれば、それは大抵、病気ではないただの色素沈着です。
しかし、愛犬自身がとても気にしている様子だったり、以前よりもシミが大きくなっているような気がしたら、それはもしかしたら病気のサインかもしれません。
ここでは、危険な犬のシミの見分け方を、以下の二通りをもとに紹介します。
- 炎症が原因の場合
- シミの成長スピードが速い場合
炎症が原因の場合
愛犬がシミのある箇所をしきりに掻いていたり、舐めていたりする様子が見られたら、それは炎症が原因のシミかもしれません。
シミは、皮膚のダメージが原因でも発生します。そのため、炎症そのものであったり、掻いたり舐めたりといった行為で刺激を与えることでもシミになるのです。
これは、虫刺されなどが原因でも同じです。「かゆみ、痛みを伴うシミ」であれば、それは無害な色素沈着ではないということを覚えておきましょう。
シミの成長スピードが速い場合
シミが周囲に拡大している、成長しているようであれば、それは腫瘍によるシミかもしれません。
単純な色素沈着とは異なり、悪性腫瘍によるシミは、周囲の細胞を変化させる=周囲に拡大していきます。悪性腫瘍の拡大は早いため、「気のせいかもしれない」と思うような段階でも警戒することが重要です。
もしはっきりと観測したいのであれば、シミを見つけた時点でその大きさを測る、写真を撮るなどで残しておきましょう。
また、症状の観察記録は、動物病院にかかる際にも資料として有効な可能性があります。日頃から愛犬の状態を観察し、何もなくともとりあえず写真を撮っておく習慣をつけると良いかもしれません。
犬の皮膚にシミができる病気を紹介
基本的に、シミができるというのは皮膚になんらかのトラブルが起こっている証拠です。
そして、皮膚のトラブルを起こす病気は少なくありません。皮膚に直接、あるいは目に見えない内側から、シミの原因を生み出しているのです。
ここからは、犬の皮膚にシミができる病気について紹介します。
- アロペシアX(脱毛症X)
- 黒色皮膚肥厚症
- 甲状腺機能低下症
- マラセチア
アロペシアX(脱毛症X)
アロペシアX(脱毛症X)は、その名の通り脱毛を伴う病気です。
正確には、本来あるはずの毛が生え変わるサイクルが止まってしまい、毛が抜けたまま生えてこなくなってしまう病気です。
痒みや痛みなどはありませんが、背中等も含めて露出した皮膚が日差しに直接さらされてしまったり、気温に対する対応が困難になるというトラブルが発生します。
また、色素沈着を起こすこともあり、皮膚が露出することと相まって、シミが目立ちやすくなる病気でもあります。
現在でも原因ははっきりしておらず、脱毛を伴う病気自体が多いこともあり診断も難しい病気です。一方で、かゆみなどで犬を苦しめることは少ないため、抜けてしまった毛のかわりに服を着せるなどで比較的対応がしやすい病気でもあります。
黒色皮膚肥厚症
黒色皮膚肥厚症は、肥満、病気などで皮膚が擦れることで厚くなり、色素沈着を起こした症状です。
症状自体でもシミを作りますが、関節部などで膨らんだ皮膚同士が擦れあう、あるいは生じた痒みによって搔くと、それが刺激となり、更にシミを発生させることがあります。
また、たるんだ皮膚は空気に接しづらくなることで汚れが溜まりやすく、湿疹を起こすことも多いです。
清潔、健康を損なう病気ですので、もし愛犬の皮膚が硬い・厚いなどの状態になっていたら、一度動物病院で診察を受け、適切な対処を行いましょう。
甲状腺機能低下症
甲状腺とは小さな臓器で、主に全身の代謝を司るホルモンを分泌しています。甲状腺機能低下症は、その甲状腺ホルモンの分泌が少なくなる病気で、様々な影響を起こします。
その中の一つに、皮膚の新陳代謝が低下するという症状があります。
新陳代謝が低下することで皮膚の状態が悪くなり、乾燥を起こし、シミを生じさせます。また、被毛のツヤが無くなる、脱毛するなどが起こることもあります。
甲状腺機能低下症の影響は、皮膚の問題にとどまりません。
元気がない、食欲が落ちた、気温に対して異常に寒がっているなどの状態が愛犬に見られたら、獣医師に診てもらいましょう。もし甲状腺機能低下症で無くても、なんらかの病気の可能性があります。
マラセチア
マラセチアとは犬の皮膚に存在する真菌(カビ)です。マラセチア自体はどの犬、人の皮膚にも存在しますが、これが何らかの原因で異常繁殖してしまうと「マラセチア皮膚炎」という病気になります。
マラセチアは皮脂を栄養源とするため、異常繁殖する環境では主に皮膚のベタつき、赤みなどを伴います。また、強いかゆみを引き起こすため、しきりに体を掻いてしまいます。その状態では、毛以外にも、皮膚上に発生したフケも剥がれることで床や爪などを汚してしまいます。
慢性化すると、脱毛や皮膚の硬化、シミの生成などを起こします。愛犬にも大きなストレスをかける病気なので、痒みを感じている、皮膚が赤くなっているなどの異変を感じたら早期に病院にかかり、治療を開始しましょう。
病気によって二次的にできたシミ
犬が病気にかかった際、その症状の一部としてシミが発生したり、完治した後にもシミだけ残ってしまうことがあります。
これは多くの場合、皮膚に痒みや痛みが生じ、それを犬が気にして搔く、舐めるなどの刺激を与えることでできてしまったものです。
ここからは、病気によって二次的にできたシミについて解説します。
- 細菌や真菌感染によるもの
- アレルギー性皮膚炎の痒みにあるもの
- 内分泌疾患によるもの
- 皮膚癌かもしれないシミとは
細菌や真菌感染によるもの
細菌や真菌感染によって皮膚に異常が生じることで、シミが発生します。
皮膚で細菌や真菌感染が起こると、皮膚の色素であるメラニン色素を作る細胞、メラノサイトが異常反応することがあります。メラノサイトは集まり色素を発生することでシミ、ホクロを作りますが、これが病気によって引き起こされてしまった状態です。
異常反応が病気による一時的なものであれば、基本的には病気の完治とともにメラノサイトも正常に戻り、シミも消える・薄くなることが多いです。
ただし、色素沈着の状態によっては、病気が治った後もシミだけが残ってしまうこともあります。
アレルギー性皮膚炎の痒みにあるもの
アレルギー性皮膚炎は、強い痒みを伴います。そのため、発症した犬は日常的に患部を掻きむしるようになります。
皮膚の炎症が長く続くと、その箇所の皮膚が厚く硬くなる苔癬化を起こしたり、色素沈着によるシミを生じさせます。
また、掻きむしることでの出血や脱毛、フケの発生などもあります。症状が犬のストレスにもなり、中には非常に気が立ってしまう犬もいます。
治療方法は、原因によって異なります。注射や飲み薬などで抑えられる場合、シャンプーによって治療する場合、環境から変えるケースなど、何が正しい手段であるかは、獣医師からのアドバイスによって選択しましょう。
内分泌疾患によるもの
「内分泌器官」とは、ホルモンを分泌する様々な器官を指します。下垂体や甲状腺などから、心臓、腎臓などの臓器もあり、これらから分泌されたホルモンは血流とともに全身に運ばれて、そこで適した効果を発揮します。
内分泌疾患は、この内分泌器官が異常を起こし、正常にホルモンを分泌できなくなってしまう病気です。
甲状腺や副腎皮質などから生じるホルモンは、皮膚の代謝や状態を司ります。これらの内分泌器官が異常を起こすと、皮膚の状態が悪くなってシミが発生します。
また、おしっこの回数が増える、食欲が極端に上下する、元気がなくなるなどの症状が出ることもあります。
異常を起こしている内分泌器官によって、その症状も異なります。愛犬に異変が見られた場合は、症状を記録して、動物病院で診察を受けるようにしましょう。
皮膚癌かもしれないシミとは
皮膚に広がる黒ずみは、無害な色素沈着だけではありません。
正常な細胞を食い荒らすガンも、皮膚上では黒いシミ、あるいは膨らんだほくろのようなものとして現れることがあります。
本来は無害なメラニン色素を生成するメラノサイト細胞が腫瘍化したものを、良性であればメラノサイトーマ、悪性であればメラノーマと呼びます。
これは、鼻や顔など皮膚上で発生することもあれば、口腔内で発生することもあります。黒ずみ、ほくろのような黒点は通常のシミに似ていますが、周辺への拡大、炎症の発生などで見分けることも可能です。
しかし、特に初期段階の皮膚がんは素人目には判断しづらいものです。愛犬の体にあるシミの正体に不安を感じた時は、一度獣医に相談してみることを推奨します。
まとめ:少しでも皮膚に異常を感じたら動物病院へ
犬の皮膚のトラブルは、珍しいものではありません。
脱毛などを伴うものであれば気付きやすいですが、時には、被毛の下や見えにくい箇所で静かに進行していることもあります。
そして、どんな病気でも、治療に大切なのは早期発見です。
常日頃から愛犬と触れ合い、状態を観察する。そして、もし異常が感じられたら、すぐに動物病院で診察を受けるということを意識しておきましょう。
特別なことではなく、普段から気軽に相談できる動物病院があると、いざという時にも安心です。
今回は、犬にできるシミについて、以下の項目から解説を行いました。
- 犬のシミの原因を解説
- 危険な犬のシミの見分け方を紹介
- 犬の皮膚にシミができる病気を紹介
- 病気によって二次的にできたシミ