ひげ袋とも呼ばれる猫の口元にある「ウィスカーパッド」。猫のトレードマークの一つですが、さまざまな役割を持っているのをご存知でしょうか。今回のMOFFME記事では、猫のウィスカーパッドの役割やウィスカーパッドから気持ちを読み取る方法を紹介します。
この記事の目次
目次を閉じる猫のウィスカーパッドについて解説!膨らむ理由や役割について
このコロナ禍をきっかけにペットと生活を始めた方も多いと聞きます。そこで、猫を飼ってらっしゃる方に質問です。
『ウィスカーパッド』をご存知でしょうか?
今回「MOFFME」ではこの『ウィスカーパッド』をテーマにお届けしたいと思います。
- 猫のウィスカーパッドとは
- 猫のウィスカーパッドが膨らむ理由を紹介
- 猫のウィスカーパッドから読み取る気持ち
- 猫のウィスカーパッドに生えるひげの種類を紹介
- 猫のひげを切るのはNG!
- まとめ:猫のウィスカーパッドはとても繊細
猫のウィスカーパッドとは
まず、ウィスカーパッドとは?
英語のスペルは『whisker pad』と書きます。日本語に直訳すると『ひげで構成された当て物』です。
要するにひげでできたパッドを口元に当てているイメージ = ”ひげ袋”を意味します。このひげ袋にはどのような役割があるのでしょうか?また、口元の周辺を差す”マズル”との違いは何でしょうか?
この見出しでは下記の
- 猫のウィスカーパッドの役割
- 猫のウィスカーパッドとマズルとの違い
猫のウィスカーパッドの役割
猫のウィスカーパッドの役割ですが、1つ目はひげをしっかりと支えています。なぜならば、猫はひげからも多くの情報を得ているからです。
その為、猫のひげは他の体毛よりも太く、毛根も体内の深い所に位置しています。その為、ひげを支える部分は、”丈夫”で”厚み”が必要となるのです。
ひげの根本周辺に袋が存在し、たくさんの神経と血液が循環しています。この袋のおかげで、些細な振動であっても神経に伝達する事が可能となるのです。
それ以外にも、感覚を検知する役割があります。バランス感覚の他、隙間の幅を感知して猫自身が通行可能かどうかを判断します。
他にも湿気なども感知しており、猫にとってはウィスカーパッドが『犬の肉球』と同じぐらい重要なのです。
猫のウィスカーパッドとマズルとの違い
前途でウィスカーパッドの役割を解説しました。では、口元周辺を意味する『マズル』とは区別できるのでしょうか?
『マズル』とは、鼻先も含めた口元周辺の事を言います。猫の顔を、横から見た時に、鼻先から口元周辺の飛び出した部分を『マズル』と言います。
一方、ウィスカーパッドはひげが生えているひげ袋のみを意味しています。ですから、”ウィスカーパッド”と”マズル”は全く異なるパーツと言えるのです。
マズルが広範囲のパーツに対して、ウィスカーパッドは限定されたパーツとなることから、「マズルの中にウィスカーパッドが含まれる」と言う表現が正しい認識と言えます。
例えて言うなら、『ひたい』の中に『眉毛』があるのと同じ事です。
猫のウィスカーパッドが膨らむ理由を紹介
猫にとってトレードマークと言えるウィスカーパッド。パーツと役割についてお分かりいただけたでしょうか?
気付いた方もいらっしゃると思いますが、このウィスカーパッドは、結構な頻度で膨らむことがあります。何か理由はあるのでしょうか?
この見出しでは、ウィスカーパッドの膨らみをテーマに下記の2点を解説します。
- 猫のウィスカーパッドが膨らむ理由
- 腫れている可能性も
猫のウィスカーパッドが膨らむ理由
『猫のウィスカーパッドが膨らむ理由』と言うことで解説します。
猫のひげがピーンと伸びている時に、それに従う様にひげ袋が伸びる、すなわち膨らんでいる事が多々あります。これは、猫が『興奮』していることを意味しています。
一言に『興奮』と言っても、緊張に起因する興奮や楽しい気持ちに起因する興奮、やや怒りで感情が高ぶる興奮など、いくつかの種類に分類されます。
その為、猫の性格によっては、1日に複数回、”ひげ袋=ウィスカーパッド”を膨らませる事があります。
愛猫のウィスカーパッドが膨らんでいても、慌てる必要はありません。少し観察して、興奮している様子と理由が確認できれば問題ありません。
全く収まる気配がない場合は、次の見出しをご覧ください。
また、以下の記事ではウィスカーパッドが膨らむ理由についてより詳しく解説しているので気になる方はご覧ください。
腫れている可能性も
もし、興奮が収まっているにも関わらず、ウィスカーパッドが膨らんでいる場合は、もう少し観察しましょう。なぜならば、”腫れている可能性”があるからです。
明らかに違いがあります。興奮の場合はウィスカーパッドを膨らませている為、時間が経つと戻ります。腫れている場合は、直ぐにはもどりません。
ご飯を食べにくそうにしていたり、長時間膨らんでいたりする事は、腫れている可能性があります。
そして、口元周辺の”腫れ”で疑われやすい病気として、細菌感染、口内炎、アレルギーなどが考えられます。心配な場合は、動物病院で獣医師さんの診察を受けましょう。
猫のウィスカーパッドから読み取る気持ち
ウィスカーパッドについて、様々な事が解ってきました。他にもウィスカーパッドの向きに応じて、猫の感情を読み解くヒントが得られます。
主に下記の4項目です。この見出しで解説したいと思います。
- 猫のウィスカーパッドが前向き:興奮・警戒・緊張
- 猫のウィスカーパッドが後ろ向き:驚き・恐怖・食事中
- 猫のウィスカーパッドが上向き:喜び・甘えたい
- 猫のウィスカーパッドが下向き:リラックス・退屈・眠い
猫のウィスカーパッドが前向き:興奮・警戒・緊張
猫のウィスカーパッドが前向きの場合は、猫が「興奮・警戒・緊張」している時です。
これは前途の”ウィスカーパッドの膨らみ”にも通じる事ですが、『膨らむ=前を向く』と言えるでしょう。猫が興奮している状態をウィスカーパッドが表現しています。
興奮にも種類があります。楽しい気持ちなのか、警戒している、あるいは緊張しているかは、その時の状況次第で判断します。
楽しい気持ちで興奮している場合は特に問題ありません。ですが、何か危険を察知している場合は注意した方がよいでしょう。
部屋の中で何も危険が無いと思われるが、興奮している。もしかしたら、部屋の隅に何か黒色の生物がガザガザと動いているのを発見したのかもしれません。
猫のウィスカーパッドが後ろ向き:驚き・恐怖・食事中
猫のウィスカーパッドが後ろ向きの場合は、猫が「驚き・恐怖・食事中」の時です。食事中と言うのは愛嬌があっていいですね。
猫を飼ってらっしゃる方、一度ぐらいは愛猫が驚いた場面に遭遇した事があると思います。
猫が驚くと耳を後ろ側に伏せています。この時、耳と合わせてひげも後ろ側に向けている為、ウィスカーパッドも後ろを向いています。
この様に猫が驚いたり、恐怖を感じたりすると、耳とひげを後ろに向けます。ですから、ウィスカーパッドが後ろを向いている時は、「驚き・恐怖」を感じていると言えます。
一方、食事中に関しては、ひげが汚れない様にする為です。猫が綺麗好きな事は有名です。そんな猫の習性に起因した行動だと言えます。
猫のウィスカーパッドが上向き:喜び・甘えたい
猫のウィスカーパッドが上向きの場合は、飼い主さんに「喜び・甘えたい」と言う感情を抱いています。
嬉しい時、遊んで欲しい時など、ひげが上を向いている事が多いです。他にも褒められた時に、喜びを表現する時もひげが上を向きます。
さらに、ひげと同時に尻尾も立てて甘えてきた場合は、非常に機嫌がいいタイミングです。愛猫との信頼関係を構築するチャンスです。ぜひ、一緒に遊びましょう。
ところで、人間も嬉しいと口角が上がりませんか?猫も同じです。どこかで『世界の共通言語は笑顔』と言ったニュアンスの歌詞を耳にした事があります。
ですが、愛猫を見ていると、生物にとっても共通言語と言えそうですね。これって、なんだか素敵だと思いませんか?
猫のウィスカーパッドが下向き:リラックス・退屈・眠い
猫のウィスカーパッドが下向きの場合は、猫が「リラックス・退屈・眠い」時に見られます。
リラックスしている、あるいは眠い、これらの状態は危険が無い時の状態です。つまり、緊張したり、危険を感じたりしていな訳ですから、”脱力”していると言えます。
退屈な感情はリラックスと少し違うかもしれませんが、同じ脱力状態にあると言えます。
この事から、猫がリラックスしている、あるいは退屈を感じている、もしくは眠気を感じている時、脱力して身体全体の筋肉が緩んでしまいます。
結果的に、ひげと同時にウィスカーパッドが下がるのです。
これこそ、人間と同じだと言えます。なんだか「ほっこり」しませんか?
愛猫のウィスカーパッドが下向きになる様に、飼い主さんは常に環境を整えてください。
猫のウィスカーパッドに生えるひげの種類を紹介
驚いた事に、猫の「ひげ」は5種類もあります。それぞれ以下の名称で呼ばれています。
- 猫のひげの種類:眉上毛(びじょうもう)
- 猫のひげの種類:頬骨毛(きょうこつもう)
- 猫のひげの種類:上唇毛(じょうしんもう)
- 猫のひげの種類:下唇毛(かしんもう)
- 猫のひげの種類:口角毛(こうかくもう)
ひげと言うと、口元に生えていると思いますよね?そうではありません。次の見出しで猫のひげの種類とその役割について詳しく解説します。
猫のひげの種類:眉上毛
眉上毛
”びじょうもう”と読みます。単純に、上毛と表記して、”じょうもう”と読む場合もあります。
文字の通り、目の上に6本ほど生えている毛を指します。眉上毛は危険察知をする役割があります。この危険察知を通して、目や頭を守っているのです。
猫のひげは触毛と呼ばれています。触覚の様な役割をしているからです。
猫はひげを駆使して情報を得ています。猫にとっては身体の一部と同じで「なくてはならない」パーツです。
眉上毛に”何か”が触れる事により、”危険”と判断しているのです。
猫のひげの種類:頬骨毛
”きょうこつもう”と読みます。頬骨(ほおぼね)の上に生えている毛です。通常、2本ぐらい生えているのですが、個体によっては生えていない事もあります。
この毛は横からの危険察知を目的としているのですが、それほど重要視されていません。なぜなら、猫の全体視野280度と言われており、真横にいる物体も認識できるからです。
人間の全体視野がおよそ180度ですから、広範囲に渡って見渡すことができます。その為、頬骨毛は生えていなくても問題ありません。
猫のひげの種類:上唇毛
”じょうしんもう”と読みます。みなさんが猫のイラストを描く際に、強調して描いている毛がこの上唇毛です。このトレードマーク的な存在が、一番重要な役割を果たしています。
口元から水平方向に、左右計で24本生えています。上唇毛のおかげで身体よりも先に危険察知を行う事ができるのです。
障害物を認識する他、メジャーの様にせまい幅を測定します。そして通行可能かどうかを判断しているのです。
他にも、感情を表現するなど、その役割は多岐に渡ります。
猫のひげの種類:下唇毛
”かしんもう”と読みます。頭下毛と表記して、”とうかもう”とも言います。顎(あご)に生えている、いわゆる”あごひげ”です。他のひげと比較して短いと言う特徴があります。
猫の顎をよく見ると、いくつか突出した毛があります。これが下唇毛です。
低い姿勢で歩く時、地面からの障害物を察知すると言う、意外にも重要な役割を果たしています。
目では見えない、顎の下にある石ころなどの障害物が、顎や喉(のど)に接触して傷付くことを防いでいるのです。
猫のひげの種類:口角毛
”こうかくもう”と読みます。非常に分かりづらいのですが、頬骨毛より下に位置しており、上唇毛よりやや上で、やや身体よりに位置しています。
上唇毛より短い1~2本のひげで、抜けやすく、猫によっては生えていません。口角毛は頬骨毛と同様に生えていなくても問題はありません。
もう、お分かり頂いていると思いますが、猫のひげはセンサーです。体毛の2倍の太さを有しており、毛根に至っては、体毛よりも3倍深くに位置しています。
身体に情報を伝える重要な役割を果たしています。
猫のひげを切るのはNG!
前途の見出しでもお伝えしましたが、猫のひげはセンサーです。身体に情報を伝える大切な役割を果たしています。
- ひげを切ると大きなストレスに
- 自然と抜けたひげは大丈夫
猫にとっては死活問題であると認識してくださっても過言ではありません。
ひげを切ると大きなストレスに
前途の見出しでも解説しましたが、ねこのひげを切ると大きなストレスになります。
ねこのひげをセンサーに例えましたが、危険や障害物を察知できなくなると、猫は不安に陥ります。結果的にストレスを感じてしまいます。
また、バランス感覚も保てなくなる為、さらにストレスを感じてしまいます。
例えば、みなさんが使用しているスマホに通信障害が発生したとします。その為、出先でスマホが使用できずに、家族や仕事仲間と瞬時に連絡が取れないとすると、不安になりませんか?猫も同じなのです。
自然と抜けたひげは大丈夫
「猫のひげは切らないでください。」と再三お伝えしましたが、自然に抜けるひげは大丈夫です。
猫のひげは”生え変わる”為、自然に抜けます。病気で抜ける場合を除いて全く問題ありません。
ただ、その頻度は少なく、「ひげが立派になったなぁ」と感じると、生え変わりのタイミグとされています。
その為、猫のひげをコレクションする飼い主さんも多く、そんな方の為にコレクション専用のケースも販売されています。
一部では猫のひげを保存すると幸運が訪れるとも言われています。
猫を飼ってらっしゃる方、コレクションしてみてはいかがでしょうか?