鼠経ヘルニア、臍(へそ)ヘルニアなど、ペットのヘルニアと呼ばれる病気は、様々な種類があります。これらのヘルニアを患うと、どのような症状を引き起こすのでしょうか?この記事では、鼠経ヘルニアの知識と、ペット保険で鼠経ヘルニアが補償されるのかを解説していきます。
この記事の目次
目次を閉じるそもそも鼠径ヘルニアとはどんな病気?
ヘルニアは、人だけでなく、犬や猫にも起こる病気です。ヘルニアの種類は多いですが、椎間板ヘルニアを除き、鼠径ヘルニアやへそヘルニアなどは、臓器の一部が鼠径部やへそに飛び出してしまうことで起こります。
先天性・後天性があり、手術を行う場合もある病気のため、治療内容や治療費用などが気になる人も多いのではないでしょうか。
今回「MOFFME」では、
- 鼠径ヘルニアの症状と原因
- 鼠径ヘルニアになりやすい犬種や猫
- 鼠径ヘルニアの治療方法と治療費用
- 鼠径ヘルニアを補償してくれるペット保険の有無
- 鼠径ヘルニアの予防方法
について詳しく解説していきます。
ペット保険加入は、ペットとの長い付き合いにおいて心強いサポートとなります。
万一の高額な手術や治療に備え、ペット保険を検討することは大切です。
MOFFMEではおすすめのペット保険の比較はもちろん、ペット保険の選び方や注意点についても紹介しているのでぜひご確認ください。
鼠経ヘルニアの症状とは?見分け方も紹介!
「鼠径」とは足の付け根や太もものあたりを指します。鼠径ヘルニアになると、後ろ足の付け根部分が、飛び出た臓器(腸や子宮、脂肪や膀胱など)によって膨らむのが特徴です。
症状は飛び出している臓器や、腹膜の穴の大きさによって異なってきます。脂肪だけが飛び出している場合、無症状のこともありますが、後ろ足の付け根が膨らむので、異常には気づきやすい病気でしょう。
足の付け根あたりに空いている穴が大きく、そこから脱腸をしている場合、腸閉塞の症状を引き起こすこともあります。
まずは、
- 鼠径ヘルニア(脱腸)の犬の症状
- 鼠径ヘルニアの見分け方
について解説していきます。
鼠経ヘルニア(脱腸)の犬はどんな症状になる?
鼠径ヘルニアは、鼠径部に空いた穴(隙間)から、なんらかの要因によって臓器が飛び出してしまう病気です。
鼠径ヘルニア(脱腸)の症状は以下の通りです。
- 鼠径部(足の付け根)が膨らんでいる
- 鼠径部にしこりがある
- 嘔吐や下痢
- 便秘
脱腸の場合は、消化器官に不調が起こります。さらに放置していると、腸閉塞や腸捻転などを起こし、命に関わる場合もあるため、早期発見と治療が必要です。
鼠径部の膨らみは、比較的わかりやすいですが、お腹のしこりにも注意しなければいけません。臍(へそ)ヘルニアの場合、へそ部分にしこりができ、でべそに見えることもあります。
臓器ではなく脂肪だけが飛び出している場合は、分かりにくいことも多いため注意しましょう。
また、飛び出しているのが子宮や膀胱などの場合もあります。膀胱が飛び出している場合は排尿障害が見られるなど、飛び出した臓器によって症状が異なります。
どの症状にしても鼠径部が膨らみ、しこりができるため、日頃からスキンシップをしていれば気付けるでしょう。
鼠経ヘルニアの見分け方とは?
鼠径ヘルニアは、足の付け根や太ももが膨らむのが特徴です。また、へそヘルニアなど、膨らんでいる部分によって病名が変わります。
鼠径ヘルニアの見分け方は以下の通りです。
- 足の付け根や太ももが膨らんでいる
- 足の付け根や太ももにしこりがある
- 膨らみを押すと痛がる
- 尿が出づらい
- 元気がない
- 食欲がない
上記のような症状が見られた場合は、すぐに病院で診察してもらいましょう。足の付け根に膨らみが確認できなかったとしても、尿が出づらい、元気や食欲がない場合、何らかの疾患を抱えている可能性があります。
鼠経ヘルニアの原因?先天性で生まれつきの事が大半!
鼠径ヘルニアには先天性と後天性があります。
原因 | |
---|---|
先天性 | 生まれつき鼠径輪が大きい 鼠径輪の閉鎖の遅れ 遺伝 (詳しい原因は分かっていない) |
後天性 | 食べ過ぎや肥満 妊娠による腹圧 事故や外傷によるものなど |
犬の鼠径ヘルニアは先天性のものが大半だといわれています。先天性の鼠径ヘルニアに関しては、詳しい原因は分かっていません。
後天性の場合、食べ過ぎや肥満によって腹部が圧迫されることで起こる可能性があります。また、妊娠により腹圧が上がり、鼠径ヘルニアやへそヘルニアを起こす子もいるそうです。
鼠径ヘルニアは比較的、犬に多いとされており、鼠径ヘルニアほどではありませんが、猫はへそヘルニアが多いとされています。どちらも放置していると寿命を短くしてしまう可能性があるため、早期発見・治療が必要です。
鼠経ヘルニアになりやすい犬や猫の種類とは?
鼠径ヘルニアの好発犬種は以下の通りです。
などの犬種が好発犬種とされていますが、どの犬種にも起こり得る病気です。また、犬ほど多くはありませんが、猫にも鼠経ヘルニアは起こることがあるため、注意が必要です。
先天性の鼠径ヘルニアに関しては犬のほうが多いとされており、猫は後天性の場合がよくあるのかもしれません。食べ過ぎや肥満、事故などによる鼠径ヘルニアに注意しましょう。
また鼠径ヘルニアは、精巣の下降が原因で起こることが多く、メスよりもオスによく見られる病気とも言われています。
鼠経ヘルニアの治療法は?自然治癒することはあるのか解説!
犬や猫の鼠径ヘルニアの治療は、内科治療か外科治療のどちらかになります。どちらにしても検査をしっかり行い、内科治療で経過を見るか、手術をするか決めることになるため、検査費用がかかるでしょう。
内科治療だと、さらにお薬代、外科治療だと手術代がかかります。犬や猫の治療費は高額になりがちですが、手術となるとさらに高額になるため、病気にかかった時、費用がどれくらいかかるか、目安を知っておくことが大切です。
ここでは、
- 鼠径ヘルニアの治療方法
- 治療にかかる費用
- 術後の後遺症や障害について
について詳しく解説していきます。
鼠経ヘルニアの治療法は?外科治療と内科治療について
鼠径ヘルニアは、小型犬で発症年齢が低い(子犬など)場合、成長とともに自然治癒することもあります。ただし、臓器が飛び出てしまっている場合は、手術をすることが推奨されています。
放置すると腸閉塞や排尿障害、臓器の壊死など重篤な症状を起こす可能性があるためです。経過観察を選択するのは、ヘルニアが小さく、臓器ではなく脂肪のみが飛び出ている場合のみになります。
鼠径ヘルニアの治療方法は以下の通りです。
治療方法 | |
---|---|
検査 | レントゲン・CT検査 |
内科治療 | 治療薬 |
外科治療 | 外科手術 |
内科治療もありますが、吠えたり食べ過ぎたりして腹圧がかかると、悪化する可能性があるため、基本的には手術での治療を選択することがほとんどだと覚えておきましょう。
手術内容は、臓器がどのくらい飛び出しているか、壊死している部分があるかによって異なりますが、全身麻酔での開腹手術となります。
全身麻酔による手術は、ペットの体にも負担がかかるため、発症年齢が低い場合、避妊手術などと一緒に行う場合もあるそうです。
手術にはどれくらい費用がかかる?
鼠径ヘルニアの手術にかかる費用は、病院や犬種、猫などペットの大きさによっても異なり、地域差や病院差も大きくなっています。
基本的には5万円〜10万円前後の手術費用がかかるでしょう。この金額は手術費用のみであることもあり、手術前の検査や入院費用は含まれていません。
犬種や病院によって異なりますが、入院費用を合わせると15万円〜20万円ほどかかることは覚悟しておいたほうが良いかもしれません。
また、検査にかかる費用は、約2,500円〜10,000円前後とされていますが、CT検査など特殊な検査が必要な場合は、これ以上の費用がかかる場合もあります。
同じヘルニアでも、椎間板ヘルニアに比べると治療費は安めですが、それでも1度にこれだけの金額が必要となるため、金銭的負担は大きいでしょう。
ペットのために貯金をしておくか、ペット保険に加入しておくのがおすすめです。
手術後に後遺症や障害は残るの?
鼠径ヘルニアの手術で、手術後に後遺症や障害が残るといった報告はないようです。ただし、動物の手術は、基本的に全身麻酔がマスト。全身麻酔をするリスクや、手術による感染症などのリスクはあるでしょう。
手術によるリスクは、鼠径ヘルニアの手術だけでなく、どんな手術でも多少はあります。ただ、鼠径ヘルニアは手術しないほうがリスクが高いため、手術での治療が推奨されているようです。
また、臓器が壊死してしまっている場合や、飛び出た臓器の状態によって、排尿困難や消化器官の症状が残る場合があるかもしれません。
手術前にきちんと検査を行うため、獣医さんから手術方法や、術後の経過など、事前に詳しく説明してくれるため、わからないことは事前に聞いておきましょう。
鼠径ヘルニアはペット保険で補償されるの?
動物の治療費は高額になりがちなため、ペットが病気やけがを患ってしまった時、精神的にも金銭面でも負担が大きくなります。
金銭面での負担を軽くしてくれるのがペット保険です。ペット保険に加入しておくことで、ペットの万が一の際の治療費を軽減でき、高額な治療を選択しなければならない場合も、飼い主さんへの負担が減ります。
ここでは、
- 鼠径ヘルニアはペット保険で補償されるか
- 加入前に発症した場合、ペット保険に入れるか
について解説していきます。
ほとんどのペット保険で補償されない
残念ながら、ほとんどのペット保険で、先天性の病気に関しては補償されません。
鼠径ヘルニアは先天性である場合が多いため、手術費用などの治療費用は補償されないペット保険がほとんどです。
また、補償されない病気として鼠径ヘルニアを指定しているペット保険もあります。
加入前に発症した場合は特約を付帯する必要がある
加入前に鼠径ヘルニアを発症した場合、ペット保険への加入は「条件付き」となることがほとんどです。鼠径ヘルニアだけでなく、過去に何らかの病気の治療をしている、既往症や持病がある場合は、条件や特約付きとなります。
また、病気によっては加入を断られる場合もあります。ペット保険によって加入を断る病気は異なるため、資料などで確認するか、直接聞いてみるのが良いでしょう。
条件や特約付きでの加入は、「すでに発症している病気の治療費は補償されない」といった条件・特約でペット保険に加入することです。
ペット保険は、健康な時に加入しておくほうがメリットが大きいものです。病気が発覚してからの加入は、条件や特約がつく、または加入を断られる可能性があるため、注意してください。
鼠経ヘルニアの予防法は?
鼠径ヘルニアの予防方法はありません。先天性のものが多く、鼠径ヘルニアを起こしやすいとされている犬種もいますが、なぜ起こりやすいのか、原因が解明されていないため、確実に予防する方法もないのです。
後天性の場合、肥満や食べ過ぎなどで鼠径ヘルニアを発症することがあるので、ペットのフードや体重管理には十分気をつけてあげましょう。
肥満は、鼠径ヘルニアだけでなくその他の病気を発症するリスクも高めます。健康に長生きしてもらうためにも、ペットの食事や体調管理には気を配りましょう。
また、早期発見するためにも、日頃からペットとスキンシップをとる、定期的に健康診断に連れて行くなどしておくのがおすすめです。
まとめ:鼠径ヘルニアはペット保険では補償されない場合が多い!
鼠径ヘルニアは、鼠径部が腫れたり、しこりができる病気です。小さくても触ると分かることも多いため、異常に気づきやすい病気でしょう。
最後に、今回紹介した内容を纏めました。
- 鼠径ヘルニアは臓器が鼠径部に飛び出てしまう病気
- 飛び出た臓器によって症状が異なる
- 脱腸の場合、腸閉塞など重篤な症状を起こすことがある
- 臓器が壊死するなど、放置すれば悪化することがある
- 犬の鼠径ヘルニアは先天性のものが多い
- 治療は主に外科治療による開腹手術
- 治療費用は高額である
- ペット保険では補償されない場合が多い
- 鼠径ヘルニアを確実に予防する方法はない
鼠径ヘルニアは、補償対象外としているペット保険が多い病気です。保険に加入していても、補償対象外の治療には保険は使えません。
ヘルニアにかかりやすい犬種を飼っている、飼う予定がある場合は、鼠径ヘルニアを補償してくれるペット保険に加入していると安心でしょう。
MOFFMEでは、他にも様々なペットやペット保険に関する記事を多数公開しておりますので、そちらもぜひご覧ください!