内容をまとめると
- 良性腫瘍と悪性腫瘍(メラノーマ)のほくろの区別は難しい
- ①高齢②オスの方がメラノーマの発症率が高い
- メラノーマの治療方法は一般的に悪性部分を除去する外科手術が一般的だが、抗がん剤治療や放射線治療を行うケースもある。
- ペットの医療費は保険適用されないので、もしもの時に備えてペット保険に加入しておくと安心
愛犬の皮膚にほくろみたいな黒い点を発見したことがある飼い主さんもいるかと思います。体にできるこのほくろの大半は『メラノサイトーマ』と呼ばれる良性腫瘍です。今回のMOFFME記事では、愛犬にほくろができる理由や対処法を紹介していきます。
この記事の目次
目次を閉じる愛犬にほくろみたいな黒い点ができる?注意すべき黒い点や対処法
愛犬をブラッシングしてあげたり、お腹を撫でてあげている時、被毛の薄いところにほくろみたいな黒い点を見つけたことはないでしょうか。
犬の肌はピンク色に近く、そこにぽつりと付いた黒い点はとても目立ちます。「もしかしたら病気かも?」と思ったとしても、仕方ないことでしょう。
確かに、黒い点は何らかの病気のサインである可能性もあります。一方で、ただのほくろという事も。
「じゃあ結局どうしたらいいの?」という疑問にお答えするために、今回「MOFFME」では、犬のほくろみたいな黒い点について解説します。
- 犬にもほくろができるのか
- 犬の『メラノーマ』とは
- 犬にできたほくろが悪性か良性かを見分ける方法を紹介
- 犬のほくろができる部位と危険性を紹介
- 愛犬のほくろを見つけた際の対処法を紹介
犬にもほくろができるのか
モデル:ベル
ほくろは、人間特有のものではありません。犬にも発生することがあり、それもさほど珍しいことでもありません。
では、犬にできるほくろとはどういうものなのでしょうか。
ここからは、犬とほくろについて、その関係と性質を解説していきます。
- 犬にもほくろはできる
- そもそも『ほくろ』とは何か
- 犬にほくろができる原因
犬にもほくろはできる
結論から言えば、犬にもほくろはできます。
皮膚の色素を作る細胞によってできるため、ほくろができるのは生物の正常な反応と言ってもいいでしょう。
犬は鼻や目元などにもほくろができることが少なくありません。また、毛が薄く肌が見えやすいお腹のほくろなどは特に目立ちやすいかもしれません。
また、あまり間違えることはないでしょうが、皮膚に寄生したダニをほくろと見間違えたというケースもあります。
知らないうちにほくろが増えている!という時は、注意してよく見てみましょう。
そもそも『ほくろ』とは何か
皮膚にできる黒点は非常に目立ち、また、色や「ガンのサイン」なんて話もあり、ほくろはあまり良い印象は持たれていないかもしれません。
しかし、そもそも「ほくろ」とは何なのでしょうか。
医学的には「母斑細胞性母斑」とも呼ばれ、色素細胞が集まったことで皮膚表面に見られるできものを指しています。
その色や大きさはさまざまで、生まれつきできているものも、外的要因で後からできるものもあります。そして、良性であることも、悪性であることもあります。
つまるところ、「ほくろ」というものは、素人がただ見ただけではどのようなものか判断するのは非常に困難なものなのです。
犬にほくろができる原因
犬にほくろができる原因は、母斑細胞と言われるほくろを作る細胞が集まるせいです。
これによるほくろは人間と同じで、基本的に問題はありません。ほくろの色といえば黒というイメージがありますが、時には肌の色に近いものや赤褐色などもあり、必ずしも黒色をしているとは限りません。
また、ほくろによく似たものとして、色素沈着によって黒い点ができることもあります。
こちらもまた人間と同じように、日光を浴び続ける、つまり紫外線をたくさん浴びることで色素沈着が起こります。
色素沈着は時間経過とともに治ることがほとんどで、害もありません。しかし、老犬などが加齢によって発生した色素沈着は治ることなくそのまま残ることがあります。
犬の『メラノーマ』とは
モデル:ベル
メラノーマとは、ほくろみたいな黒い点の悪性腫瘍です。
良性のほくろとの区別が難しく、気付かぬまま進行していることも少なくありません。
しかし、どんな病気でもそうであるように、メラノーマもまた早期発見が治療の鍵になります。
悪性腫瘍と良性腫瘍を飼い主さん自身が見分ける必要は、必ずしもありません。しかし、「こういう悪性腫瘍がある」ということを知っておくことで、愛犬の病気に早く気づくことができるかも知れません。
ここからは、愛犬に害をなすかもしれない「メラノーマ」について解説を行います。
- 犬のメラノーマとはどんな病気か
- 発症しやすい年齢・犬種
- 犬のメラノーマの症状
- 犬のメラノーマの原因
- 犬のメラノーマの治療法
犬のメラノーマとはどんな病気か
メラノーマは、「悪性黒色腫」と言う名前の悪性腫瘍であり、簡潔に言うのであればガンです。
皮膚の表層に多く存在する、色素に関係するメラニンを作る細胞をメラノサイトと呼びます。これが集まり黒色の腫瘍を作ることで、ほとんどのほくろは作られます。
一方、メラノーマはほくろを作るメラノサイトが何らかの要因でガン化したもので、その見た目はほとんど良性のほくろと変わりません。
ただし、ただのほくろとは違いがんであるため、周辺に転移して正常な細胞を脅かし、身体の健康をそこなっていきます。
発症しやすい年齢・犬種
メラノーマは、高齢になるほど発症しやすいと言われています。
特に10歳以上の高齢犬はリスクが高いものの、若い犬であれば発症しないというわけではありません。3歳ほどのまだ若い犬でも発症したという記録もあります。
発症リスクの高い犬種としては、ゴールデン・レトリーバー、プードル、アイリッシュ・セッター、ダックスフンドなど、その大きさに関わらず様々な犬種が含まれています。
性別による差があるとは言われていませんが、オスの方が若干発症率が高いという報告もあります。
しかし「うちの子の犬種は前例がないから大丈夫」「この犬種なので、これは悪性のメラノーマに違いない」という判断は危険です。どんな犬種でも発症する可能性はある、という意識に留めておきましょう。
犬のメラノーマの症状
黒色腫には、良性のメラノサイトーマと悪性のメラノーマがあり、それぞれ症状が異なります。もちろん、メラノーマの方は害があるため、症状もそれらしいものが出ます。
まず初期症状としては、ほくろみたいな黒い点が現れます。皮膚上のメラノサイトーマであれば、このしこりはそのままあるだけです。
しかしメラノーマである場合、そのしこりから出血が起こることがあります。炎症・潰瘍によって皮膚を損傷しているため、痛みを伴います。
更に、メラノーマは転移するがんであるため、黒いしこりは周辺にも拡大します。特にその拡大が早い場合には悪性度が高く、より早期の発見と治療が必須になります。
転移は、皮膚表面や発生部位の周辺にとどまりません。骨や内臓、リンパ節などにもがん細胞は転移します。
メラノーマは、当然ながら、治療・対策をせずに放置すれば死に至る病です。
犬のメラノーマの原因
メラノーマは危険性の高い悪性腫瘍でありながら、犬に発生する原因が明確には分かっていません。
人間のメラノーマであれば、紫外線による影響があると言われています。しかし、犬のメラノーマが紫外線によって生じるかどうかは判明していません。
また、硬い地面を歩き続けるなど、長期間一定の箇所に同じように刺激を与え続けることで発生するとも言われることがありますが、こちらも確実な根拠はまだ見つかっていません。
しかし、原因こそ分からないものの、発症リスクは高齢になるほど高くなるという記録は残されています。
普段のスキンシップを兼ねて愛犬の状態はまめに確認し、見覚えのないほくろや、拡大している黒点などを見つけた場合には、速やかに動物病院で診察を受けるようにしましょう。
犬のメラノーマの治療法
犬のメラノーマ治療は、まず外科手術が挙げられます。
発症している部位を含め、周辺を切除することで悪性腫瘍を除去する手術です。ただし、メラノーマは見えていない部分にも根を張るように進行していることもあり、発見が早期であっても、余裕を持って広範囲を切除することが多いです。
切除が不可能である場合、あるいは切り取れない範囲まで至っている場合は、抗がん剤の投与も考えられます。
また、がん細胞に放射線を照射することで腫瘍を縮小させる、あるいは進行を遅らせる治療方法もあります。
発症箇所や大きさによっては、上記の治療法を併用することもあります。病期の進行が進むほど、治療による犬への負担も大きくなります。より楽に、より生存確率を上げるためにも、メラノーマは早期発見が必要です。
犬にできたほくろが悪性か良性かを見分ける方法を紹介
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色素沈着による丸い染みやほくろ自体は、害のあるものではありません。
しかし、悪性の腫瘍メラノーマはほくろみたいな黒い点を作るため良性の腫瘍と見分けづらく、「多分大丈夫だろう」と判断して見逃してしまうことも少なくありません。
まず大前提として、素人が悪性腫瘍と良性腫瘍を見分けるのは非常に難しいことです。
それを理解した上で「多分良性腫瘍だから大丈夫だろう」ではなく「悪性腫瘍かもしれない」と警戒するために、ここでは悪性腫瘍である見分け方として使用される特徴2点を紹介します。
- ほくろが悪性か良性かを見分ける方法:皮膚との境目がある
- ほくろが悪性か良性かを見分ける方法:大きくなっているかどうか
ほくろが悪性か良性かを見分ける方法:皮膚との境目がある
通常、良性のほくろは皮膚から連続してつながっています。
しかし、悪性腫瘍は、良性のものとは異なり炎症や潰瘍を起こします。周囲の皮膚からつながらず、浮いたようになりがちです。更に、初期症状の小さな黒点から進行した場合、それはほくろというよりも、見た目はかさぶたにも近くなります。
ただし、被毛に覆われている犬の体で、腫瘍に皮膚と境目があるかどうかは見づらいことも多いです。
触覚で確認しようと考えられるかもしれませんが、メラノーマに限らず、基本的に病変している箇所に不必要に触れることは患部を刺激してしまう恐れがあり厳禁です。
確認のために触れたりするようなことはせず「悪性かもしれない」と思った時点で、動物病院で診断を受けるようにしましょう。
ほくろが悪性か良性かを見分ける方法:大きくなっているかどうか
悪性のほくろ、腫瘍は、進行する病気です。
はじめは小さな黒点やしこりであっても、病気が進行するにつれてそれは大きくなっていきます。気づくほど大きくなっている頃には、目に見える表面以外にも転移してしまっていることもあります。
逆に言えば、愛犬のほくろが大きくなっているとすぐに判断できるのであれば、それは早期発見の助けになります。
定期的に時間を取り、愛犬とのスキンシップで体を確認するようにしましょう。ほくろだけでなく、中々気付かないケガや他の病気の兆候など、普段から愛犬をよく見ておくことで分かることは少なくありません。
犬のほくろができる部位と危険性を紹介
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犬のほくろができるのは、手足や胴体だけではありません。黒くつやつやとした鼻にぽつんと黒い点ができていたり、口元にほくろがある子もいます。
無害な良性のほくろであれば、それは愛犬の特徴のひとつでしかないでしょう。
しかし、悪性のほくろメラノーマは、発生部位によって危険性、悪性度が異なります。
単純な区分ではありますが、基本的には「粘膜部位は悪性」と考えていいかもしれません。
ここからは、犬のほくろができる部位とその危険性について解説します。
- 犬のほくろができる部位と危険性① 口元・口腔内
- 犬のほくろができる部位と危険性② 足裏・爪
- 犬のほくろができる部位と危険性③ 腹・背中・鼻・まぶた等
犬のほくろができる部位と危険性① 口元・口腔内
犬のほくろができる位置として最も警戒しなければならないのは、口周辺です。
もしほくろがあった場所が口元で、皮膚の上であれば比較的良性である可能性はあります。
しかし、口の内側、口腔内の粘膜に腫瘍ができていれば、それは悪性の可能性が高いです。
口腔内のメラノーマは、普段から目につく位置にないため気づきづらいです。更に、悪性腫瘍は骨やリンパ節への浸潤も起こるため、気づいた時には口から周囲に転移していた事も多いです。
口の中にできたメラノーマは、愛犬が食事や飲水などをする時に違和感を生じさせます。食欲が落ちた、ご飯をこぼすなど、愛犬の食事の様子がおかしくなった時は口の中を確かめてみましょう。
犬のほくろができる部位と危険性② 足裏・爪
犬の悪性のほくろ、メラノーマは足裏や爪の周辺に発生することもあります。
足のメラノーマは比較的危険性が高く、日常の暮らしにも大きな影響を与えます。
普段から散歩をしている愛犬が、急に散歩を嫌がるようになった。歩かずにじっと伏せていることが多くなったなど、挙動が変わった時は注意しましょう。
また、犬は定期的に爪切りが必要な動物です。足先に触れられることを嫌がる子もいますが、ほくろ以外にも健康のためには足の状態のチェックが欠かせません。
もし、愛犬の爪の根元や足裏にしこりがあった時は、一度動物病院を受診しましょう。
犬のほくろができる部位と危険性③ 腹・背中・鼻・まぶた等
ほくろのできやすい部位としては、皮膚表面が最も多いです。
被毛の薄いお腹にぽつんと黒い点があったり、ブラッシング中に背中に膨らんだほくろを見つけることはよくあることでしょう。その多くは、良性のただのほくろです。
しかし、危険な、悪性率の高い部位以外にあるほくろが、絶対に悪性腫瘍ではないというわけではありません。
お腹や背中、目の下などにできたほくろみたいな黒い点が悪性腫瘍であることも考えられます。
重要なのは、素人判断で決めつけないことです。愛犬に見慣れないほくろができていると不安になったら、動物病院で一度診断を受けてみましょう。
愛犬のほくろを見つけた際の対処法を紹介
モデル:ベル
愛犬のほくろが大きくなっている、炎症を起こしているなど、悪性のものであると気づいた時には、どうすればいいのでしょうか。
まず、そのまま放置することは厳禁です。
悪性腫瘍は、治療の必要な病気です。愛犬のためにも、必ず治療を受けなければなりません。飼い主さんの対応によって、その後の愛犬が健康に暮らしていけるか、またはどれだけ長く生きられるかが決まると言ってもいいでしょう。
ここからは、愛犬のほくろを見つけた際の対処法として
- 愛犬のほくろを見つけた際の対処法① なるべく触らない
- 愛犬のほくろを見つけた際の対処法② 早期の治療が大事
愛犬のほくろを見つけた際の対処法① なるべく触らない
愛犬にほくろみたいな黒い点を見つけた時、それが悪性腫瘍の特徴を持つものであるかどうか、つい触って確かめたくなるかもしれません。
しかし、悪性腫瘍は刺激を加えることで成長が早まる可能性があります。悪性のほくろを見つけても、できるだけ触らないようにしましょう。
進行の度合いによっては炎症や出血を起こすため、患部を洗ったり拭いたり処置を行いたくなるかもしれませんが、進行した病気ほど、勝手に触ってはいけません。もし対処が必要なようであれば、獣医師からアドバイスを受けた上で、適切な対処を行いましょう。
また、見つけたほくろを飼い主さんが良性か悪性か判断することはできないため、獣医師に判断してもらいましょう。
愛犬のほくろを見つけた際の対処法② 早期の治療が大事
まとめ:心配な時はすぐに動物病院へ連れて行こう
犬は「自分が病気かもしれない」と教えてはくれません。
苦しかったり痛かったりして、じっとうずくまったり、鳴いたりすることはあるかもしれませんが、それを飼い主さんが正しく読み取れなければいけません。
「いつもはおとなしく身を任せてくれるのに、足に触ったらひどく嫌がった」「ご飯をあげても、今日は全然食べてくれない」「ほくろみたいな黒い点が、前よりも大きくなっている」など、愛犬の様子がいつもと違う時、助けられるのは飼い主さんだけです。
些細な変化や違和感でも、心配な時はすぐに動物病院に連れていきましょう。その行動が、愛犬を救えるかどうかの分かれ目になるかもしれません。
今回は「愛犬にほくろみたいな黒い点ができる?」というところから、悪性の腫瘍について解説を行いました。
- 犬にもほくろができるのか
- 犬の『メラノーマ』とは
- 犬にできたほくろが悪性か良性かを見分ける方法を紹介
- 犬のほくろができる部位と危険性を紹介
- 愛犬のほくろを見つけた際の対処法を紹介