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犬の前庭疾患をご存知ですか?子犬よりも高齢犬で見られ、呼吸が荒い、歩き方がおかしい・歩けない、寝たきり等の症状が出ます。また治らない・完治しない場合も多く、自宅でマッサージ等のケアが必要になる場合も。この記事では犬の前庭疾患の前兆や経過、対処法を解説します。

記事監修者「森下 浩志」

監修者森下 浩志
フィナンシャルプランナー

早稲田大学基幹理工部出身。すべてのペットのお金と健康にまつわる問題を解決したい、という強い思いからMOFFMEを立ち上げ。ファイナンシャルプランナー、損害保険(ペット保険を含む)の公的資格取得。獣医師団体などと連携をして、ペットのWEB健康診断ツールの開発も行う。

この記事の目次

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犬の前庭疾患はいつ治る?治療法や治療費、予防法まで徹底解説

愛犬が突然、ふらふらとし始めたり真っ直ぐ歩けずになってしまった場合、それは前庭疾患と呼ばれる症状である可能性があります。


前庭疾患はどの犬にも突発的に起こる可能性がある、とても怖い疾患群です。


そこで今回MOFFMEでは、

  • そもそも犬の前庭疾患とは?特徴や原因、症状
  • 犬の前庭疾患の応急処置と治療法、治療費、予防法
  • 愛犬が前庭疾患に罹ってしまった場合の対処法
  • 前庭疾患になりやすい犬の種類・年齢
について詳しく解説していきます。

犬を飼っている方は、いざ自分の愛犬が症状を患ってしまった場合に、落ち着いて適切な対応がとれるようにしておくためにも、今回の記事をよく読んでおきましょう。

そもそも犬の前庭疾患とは?特徴や原因、症状を徹底解説!


そもそも「前庭疾患」とはどんな病気なのか、皆さんはご存じでしょうか?


この章では、

  • 犬の前庭疾患はどんな病気?
  • 犬の前庭疾患の原因とは?
  • 犬の前庭疾患の症状は?食欲不振や痙攣等の発作が出ることも!
について順番に解説していきます。

自分の愛犬に一つでも当てはまるものがあれば、前庭疾患に罹っている可能性があるかもしれません。まずはどんな病気なのか理解を深めていくところから始めましょう。

犬の前庭疾患はどんな病気?

まず初めに、「前庭疾患」の「前庭」とは、どういう意味なのでしょうか。


前庭は体の平衡感覚をつかさどる器官の総称で、「末梢前庭」と「中枢前庭」の2つに分かれています


末梢前庭は、鼓膜の内側に存在している内耳とそれに繋がる内耳神経のことです。

中枢前庭は、脳において平衡感覚に携わっている領域のことを指します。


「前庭疾患」は、このどちらかの前庭に異常がある状態のことを言います。異常が存在する部位にもとづいて、「末梢性前庭疾患」「中枢性前庭疾患」と呼び分けられています。


また、どこに異常があるか診断がつかない状態の疾患は「特発性前庭疾患」と言われ、老犬に多いと言われています。

犬の前庭疾患の原因とは?

前庭は末梢前庭と中枢前庭の2つに分かれると前述しましたが、発症する前庭疾患の多くは末梢性のものです。


末梢性前庭疾患の原因としては主に、

  1. 中耳炎、内耳炎
  2. 老犬の突発性疾患
  3. 内耳腫瘍
  4. 外傷
  5. 先天性
  6. 聴毒性のある薬剤、化学物質

などが挙げられます。


一方で、中枢性前庭疾患の原因としては主に、

  1. 外傷や出血
  2. 脳炎
  3. 腫瘍
  4. 脳梗塞
などが挙げられます。


前庭疾患で起こる症状は他の神経症状が現れる疾患でもよく見られるものもあります。

また、犬種は問わずどんな犬でも発症する可能性がある病気です。


発症して24時間以内に症状のピークを迎えますが、その後の症状は軽度から重度になるものまで様々なので特に注意が必要です。

犬の前庭疾患の症状は?食欲不振や痙攣等の発作が出ることも!

犬の前庭疾患は、前庭と呼ばれる部位に異常をきたし、神経症状が起こる病気です。前庭疾患が引き起こす症状は非常に特徴的で、一言で説明すると「平衡感覚を失ってしまうこと」です。


私たちが気づきやすい症状は主に以下が挙げられます。

  1. ふらつき、めまい
  2. 痙攣、呼吸が荒い
  3. うまく歩けない、暴れる
  4. 旋回(くるくると回る)
  5. 斜頸(首が片方に傾く、捻れを伴う場合は捻転斜頸と呼ばれる)
  6. 眼振(意図せずに目が小刻みに揺れる)
  7. 嘔吐を繰り返す、食欲不振、意気消沈(乗り物酔いに似た症状)
  8. よだれがひどい
上記の症状は、突発的に発症することが多いため、飼い主さんも慌ててしまいがちです。

普段からよく愛犬を観察し、急に食べ物を拒絶するなどの症状が出た時には迅速に対処できるようにしておけるよう準備をしておくことが大切です。

犬の前庭疾患の応急処置と治療法、治療費、予防法を詳しく紹介!

前庭疾患の前兆が見られた場合、私たちはどのように対処するべきなのでしょうか?


この章では、

  • 犬の前庭疾患の治療法・治療費とは?
  • 犬の前庭疾患の予防法とは?特に外耳炎に要注意!
について詳しく説明していきます。

万が一、愛犬に前庭疾患の神経症状が出た場合、冷静に適切な対処をして救ってあげるのが飼い主の務めです。

「どうしたらいいかわからない」「いつ治るの?」と疑問が少しでも浮かぶ方は、最後までしっかり読んでくださいね。

犬の前庭疾患の治療法・治療費とは?

前庭疾患の症状を発見した時は、可能な限り早く動物病院に連れて行ってあげましょう。前庭疾患以外の病気によって似たような症状を引き起こしている可能性もあるため、動物病院での検査は必須です。


前庭疾患だった場合の治療法は、原因によって様々になります。


ほとんどの場合は投薬治療になりますが、中耳炎が原因の場合は中耳炎の治療を行いますし、 原因が腫瘍のときには、手術といった外科的処置が必要になる可能性ことも少なくありません。


脳炎などが疑われる場合にはステロイドが投与されることもあります。


その原因やステロイド投与などの治療を決めるにあたり、動物病院ではまず問診・身体検査・血液検査が行われることが多く、費用は動物病院によって上下しますが、大体1〜2万円が相場と言われています。


老齢性の前庭疾患を発症した中型犬の治療費例を見てみましょう。

治療期間6週間
通院回数7回
合計治療費用36,340円
一通院当たりの治療費例1,200~15,000円
(診察料、血液検査、注射、皮下点滴、内用薬)

引用元:https://www.fpc-pet.co.jp/dog/disease/163#caption3


ただし、特発性前庭疾患の場合は有効な治療法が現状ありません。吐き気などの症状がある場合は対症療法を行いつつ、自然回復を待つことが多いです。この場合の回復には早くても数週間から数か月程度かかることが多いうえ、後遺症が残る可能性もあるのである程度の覚悟が必要になるでしょう。

犬の前庭疾患の予防法とは?特に外耳炎に要注意!

犬の前庭疾患は原因不明なことが多いため、残念ながら予防法はありません。


強いて言えば、外耳炎を予防することで、中耳炎や内耳炎を引き起こさないように予防することができるため、間接的に前庭疾患の予防ができます。


動物病院に定期的に通ったり、歩き方など愛犬の様子に少しでも違和感を感じたら病気の早期発見、早期治療に繋がるので、これが一番有効な予防法でしょう。


ただし、先天的な原因で患ってしまうこともあるため、親犬や血統内に前庭疾患を発症している犬がいた場合は、予防をしていても罹ってしまう可能性があります。

愛犬が前庭疾患に罹ってしまったら飼い主さんはどうしたらいい?

では、愛犬が前庭疾患に罹ってしまった場合、私たちは何をしてあげられるのでしょうか。


この章では、

  1. 愛犬の生活環境を整えてあげることが大切!
  2. 愛犬が重症・寝たきりになったら、マッサージ等のケアが大切!

について詳しくご紹介していきます。


いつも生活をともにしている飼い主や家族は、愛犬にとって非常に心強い存在です。


私たちがケアをしてあげる事で、動物病院での看護より治りが早くなる可能性があるので、是非最後までチェックしてください。

まずは愛犬の生活環境を整えてあげることが大切!

症状の治りを早くするためにも、愛犬の生活環境を整えてあげると良いでしょう。

犬が前庭疾患を発症すると平衡感覚がうまく取れなくなるため、以下のことを家庭内で実践することをオススメします。

めまい・よろめき予防

愛犬が家具などにぶつかってケガをしないように、愛犬の行動範囲にイスやテーブルを置かないようにします。

動かせない家具がある場合は、やわらかい布やクッション性のあるものなどでカバーしてあげましょう。


狭い所を塞ぐ

愛犬が入れそうな家具と家具の間の隙間を塞ぎます。狭い所に入って抜け出せなくなることもあるため、パニックを起こさないよう事前に塞いでおいてあげると良いでしょう。


足腰への負担を減らす

床がフローリングの場合は、滑り止めカーペットを敷きます。愛犬が立ったり座ったりする時の負担を少しでも減らしてあげられるでしょう。

愛犬が重症・寝たきりになったら、マッサージ等のケアが大切!

症状が重症化していくと更に注意が必要です。 


脳に異常がある可能性があるため、治らない場合もあります。起き上がれなくなり、寝たきりになる場合もあるので以下のような対処をしましょう。

移動のサポート

動くのが困難になってしまっても、犬にとって外の刺激がないとストレスになります。ストレス発散のためにもいつもの散歩道やお出かけ用にペットカートを活用しましょう。


十分な食べ物と水を与える

寝たきりになってしまったら、まずは、食べ物と水をきちんと摂らせなければなりません。

1日分の食餌を数回に少しずつ分けて与えたり、場合によってはスポイトを使って流動食を与えましょう。


床ずれに備える

寝たきりになった愛犬は、床ずれをしてしまう可能性があります。柔らかい素材のベッドや低反発マットを用意してあげて、床ずれを防止してあげましょう。


マッサージをしてあげる

寝たきりの状態になると関節が硬くなり、寝返りを打たせるときに痛がるようになってしまいます。

血行を良くするために、マッサージを毎日してあげてください。

リハビリを兼ねて、関節を伸ばすように飼い主から声を優しくかけながら、撫でるように血行を良くしてあげるのがオススメです。

寝どころを清潔に保つ

愛犬を清潔に保つことも重要です。

排泄物がある場合はすぐに取り除き、体に付いたものは優しく拭き取ってあげます。

皮膚に負担がかからないように、引きずったり、こすったりさせないようにしてあげましょう。

前庭疾患になりやすい犬の種類・年齢はある?

前庭疾患は犬種に問わず発症する可能性がありますが、中でも以下の犬種は遺伝的に発症しやすいと言われています。

  1. ジャーマン・シェパード
  2. ドーベルマン
  3. 柴犬

また、こちらの表をご覧ください。

年齢発症率
0歳0.005%
1歳0.005%
2歳0.005%
3歳0.007%
4歳0.009%
5歳0.015%
6歳0.038%
7歳0.041%
8歳0.039%
9歳0.05%
10歳以上0.42%

参考:https://www.anicom-sompo.co.jp/doubutsu_pedia/node/921


年齢別の発症率をまとめたものなのですが、10歳以上の高齢犬で発症する可能性が高く、子犬が発症する可能性は比較的低い病気であることが分かります。


犬種・年齢どちらかが該当している愛犬を飼っている方は、注意しておくのがオススメです。


とはいえ前述した通り、どんな犬でも突発的に発症するリスクがある病気なので、犬種や年齢が該当していないからといって、油断は禁物ですよ。

まとめ:犬の前庭疾患は要注意!早期に治療しないと回復しない!

今回の記事では、

  • そもそも犬の前庭疾患とは?特徴や原因、症状
  • 犬の前庭疾患の応急処置と治療法、治療費、予防法
  • 愛犬が前庭疾患に罹ってしまった場合の対処法
  • 前庭疾患になりやすい犬の種類・年齢
について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。

前庭疾患はどんな犬でも突発的に発症する神経の病気なので、具体的な予防法は残念ながら存在しません。

しかし、外耳炎を発症した場合は、結果的に前庭疾患に罹りやすいので早期発見・早期治療が重要ということを理解しておきましょう。

予防法がないからといって諦めるのではなく、可能な限り発症リスクを減らしてあげる事が飼い主の務めです。

万が一発症してしまった場合は、生活環境を整えてあげたりマッサージをしてあげるなど、献身的にサポートをしてあげるとワンちゃんも安心しますよ。

MOFFMEでは、他にも様々なペットやペット保険に関する記事を公開しておりますので、ぜひ参考にしてみて下さい!