みなさんは『熊犬』という言葉を聞いたことがありますか?熊犬(別名 マタギ犬)は平安時代から狩猟パートナーとして人間と共に活躍してきました。今回のMOFFME記事では、熊犬(マタギ犬)の歴史やマタギとの関係・現代に生き残っている各犬種の性格や特徴を紹介します。
この記事の目次
目次を閉じる熊犬(マタギ犬)ってどんな犬?犬種・歴史・性格・特徴など
皆さんは熊犬もしくはマタギ犬と聞いたことがありますか?名前だけ聞くと熊のように大きな犬を想像してしまいそうですね。
熊犬(マタギ犬)という犬種が存在するのでしょか?もしくは、ある犬種の別名をそう呼ぶのでしょうか?
今回のMOFFMEでは、
- 熊犬(マタギ犬)の歴史
- 熊犬(マタギ犬)を祖先にもつ犬種の紹介
また、マタギとはそもそも何なのか、マタギになる方法も含めて説明します。貴重な熊犬について知ることができる記事になりますので、最後までぜひ読んでみてください。
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熊犬(マタギ犬)の歴史やマタギとの関係を紹介
最初に、熊犬(マタギ犬)の歴史やマタギとの関係について紹介していきます。
熊犬とは、ある特定の犬種の名前というわけではありません。マタギ(猟師)のパートナーとして狩猟をサポートしてきた日本犬の総称とされています。
そういったことから、熊犬のことを別名マタギ犬というのです。
マタギとは
そもそも「マタギ」とは何なのでしょうか。先ほど意味を少し記しましたが、ここで詳しく説明します。
東北地方で「山立(ヤマダチ)」という「猟師」を意味する言葉が、伝承するにつれ訛ってきて「マタギ」といわれるようになったという説が有力とされています。その他にもアイヌ語による説や違った由来による説などもあります。
どの説にしてみても、山と関わりのあるところからきていることがわかります。また、現代ではマタギ郷として有名な土地に出生し、猟師でも鉄砲を生業とする人のことを指すようです。
狩猟の獲物としては熊の他に、ニホンザル・アオシシカモシカ・ウサギなどでしたが、カモシカやニホンザルの禁猟、森林の減少などの理由から、マタギ猟をする人が減少しています。
マタギになる方法
マタギは誰でも簡単になれるものではありません。資格や猟師になるための条件、さらには本人の精神や健康状態まで厳しい審査があります。
また、狩猟免許や猟銃所持許可証の取得も必須です。狩猟免許試験は各都道府県ごとに決められており、試験に合格後には狩猟者としての登録(都道府県へ)や警察署からの猟銃所持許可証を受領する必要があります。
こういった試験から登録までの手数料、猟銃などの金額を合わせると、おおよそ30万円近く必要となります。さらには、狩猟者登録費や猟友会費、猟銃のメンテナンス、登録の更新などが毎年必要になってきます。
このように金銭的にも大きく負担することになるわけですが、高値な収入として「熊の胆」や毛皮などがあります。しかしながら、熊を相手にするとなると常に危険があります。
そのため、マタギ犬というパートナーが必要になったわけです。
熊犬(マタギ犬)の歴史
マタギ犬は、品種改良があまりされてこなかったこともあり、縄文時代に存在した犬の特徴をもった遺伝子を数多く残しているとされています。また、マタギ犬の歴史はとても古く、平安時代より猟師と生活を共にしてきました。
猟のサポートの面では、山で獲物の場所を猟師へ教えたり、逃げようとする獲物の足止めとして吠えることなどが主な役割とされています。また、猟師に危険が迫った時には、獲物の意識をそらせて猟師を守るといった勇敢な行動もしていました。
さらには、マタギ犬を使って獲物を攻撃するといったことはしていませんでしたが、マタギ犬が獲物に攻撃されてしまっている時には、猟師がマタギ犬を守っていました。
このように互いに身の安全を守りながら狩りをしていたこともあり、良きパートナーであったことがわかります。
熊犬(マタギ犬)を祖先に持つ犬種を紹介:北海道犬
ここからは、熊犬(マタギ犬)を祖先に持つ犬種の紹介をしていきます。まずは北海道犬です。
白い北海道犬というと、ある大手通信会社CMのお父さん犬を演じている犬が思い浮かびます。別名アイヌ犬とも呼ばれています。
かつて北海道犬は、鹿や熊などの狩猟のために北海道の先住民族アイヌ人と生活を共にしており、「セタ」と呼ばれていたようです。1973年には国の天然記念物に指定され、「北海道犬」との犬種名となりました。
北海道犬の特徴
北海道犬は、がっちりとした筋肉質な体型をしています。大きさとしてはオスがメスよりやや大きめであり、体高が50cmほどで体重は15〜20kg前後となっています。
嗅覚や聴覚に非常に優れており、周りの変化を素早く察知することで知られています。また、場の空気を読んで行動することが得意だったため、猟の際にはその特徴をよく活かしていたようです。
毛の色は白色だけでなく、黒・茶褐色・虎・胡麻・赤など多様です。被毛は極寒な土地でも耐えられるダブルコートです。
北海道犬の性格
北海道犬の性格としてはとても忍耐が強く、飼い主に従順な性格を持っています。猟犬の気質は残っているため、闘争心や警戒心が強いといった特徴もあります。
警戒心が強いことから飼い主以外には懐かないところがあります。しかし、子犬の頃からいろいろな人と触れ合い、散歩途中では他の犬と触れ合わせることによって社交性を持たせることもできます。
また、もともと狩猟犬として自然の中を駆け巡っていたため、運動量が少ないとストレスが溜まりやすくなってしまいます。日常の中で積極的に運動できる機会が持てると良いでしょう。
北海道犬の飼い方・迎え方
北海道犬の被毛はダブルコートで分厚いため、特に夏場は暑さ対策が必須です。さらには換毛期に抜け毛が多いため、ブラッシング用のブラシを準備するようにしましょう。
北海道犬を迎えるにあたって、育てる環境を整える必要があります。しつけについて学び、散歩の時間を確保できるよう努めてください。
また、迎え方はペットショップ、ブリーダー、里親になることなどがあります。最初の迎える時だけでなく、生涯を通してお金がかかることを想定してください。
病気になる可能性もありますが、そういったことも含めて大切な家族として迎え入れるための心の準備も大切です。
熊犬(マタギ犬)を祖先に持つ犬種を紹介:秋田犬
次に紹介するのは秋田犬です。忠犬ハチ公でも有名で、東北地方の中型獣猟犬を大きくしたとされるのが秋田犬です。
江戸時代から明治時代にかけては、犬同士を闘犬として戦わせることが流行しました。そのため、闘犬としてさらに強くしようと品種改良がなされ、純血種の秋田犬が減ってしまう懸念がありました。
大正時代に入り、そういった懸念から純血種の秋田犬を守るべく運動が起こりました。昭和に入ってすぐには政府により日本犬を保存する必要性が認められ、秋田犬は日本犬として初めて国指定天然記念物に指定されたのです。
秋田犬の特徴
秋田犬の体型は、がっちりとしてたくましいものの長い脚を兼ね備えており、尻尾は太くてくるりとしています。世界的に評価される体型をしており、高値で取り引きがなされることもあるようです。
体高はオスが67cm前後、メスが61cm前後です。体重はオスが50〜59kgほどでメスが40〜50kgほどとなっています。
主な毛色としては赤色で、そのほかに白と虎があります。また、北海道犬と同じく被毛はダブルコートのため、暑さに弱い性質があります。
秋田犬の性格
秋田犬の性格は、北海道犬と同じく飼い主に忠誠心がとても厚いです。そのため、しっかりとしつけができていれば命令に素直に従って、飼い主に寄り添ってくれます。
忠誠心が強いことと神経質なところがあるため、知らない人や家族でも飼い主と思われていない人には攻撃的になることがあります。場合によっては噛みついたり暴れて相手に怪我を負わせてしまうこともあるので注意が必要です。
秋田犬は知性に優れており賢い犬として知られています。警戒心も強いことから、番犬として飼うことにも適しています。
秋田犬の飼い方・迎え方
秋田犬の飼い方や迎え方は基本的には北海道犬と同じです。ただ、番犬として活躍するくらいなので、無駄吠えに対するしつけをしっかりとする必要があります。
しつけは生後2〜3ヶ月頃から開始し、誰がしつけのリーダーなのかをはっきりとさせておくことが大切になります。主従関係がしっかりとできていない場合は、秋田犬は言うことを聞かなくなる可能性があるので注意が必要です。
また、甘噛みにも注意が必要となります。秋田犬は力が強いため、成長に伴って怪我をさせるほどの力で噛んでくることがあります。
熊犬(マタギ犬)を祖先に持つ犬種を紹介:岩手犬
最後に岩手犬の紹介をします。先述した北海道犬や秋田犬より、あまり馴染みがないかもしれません。岩手犬は秋田県や岩手県が原産とされ、別名「南部犬」とも呼ばれています。
同じ原産地である秋田犬が闘犬として大型化したため、その秋田犬と区別するために岩手犬ができたといわれています。現在ではマタギ自体が減少していることからも、希少な犬とされています。
そういった状況は日本犬保存会で危惧され、種の維持はブリーダーによってなされています。
岩手犬の特徴
岩手犬に関しては、希少なため情報が少なくなっています。猟犬としての純血が維持されていた岩手犬ですが、一時は多く存在していたものの社会情勢によって次第に数が減り、戦後には戦前のような質的な名犬は姿を消していったとされています。
基本的な特徴については北海道犬や秋田犬と同様です。体高は55〜60cmに比較的大きめの中型犬とされており、北海道犬と秋田犬の中間ぐらいの大きさです。
被毛はダブルコートなので、岩手犬も暑さに弱いとされています。
岩手犬の性格
岩手犬の性格も北海道犬や秋田犬と同様です。飼い主に忠実であり、攻撃的な一面があって警戒心が強い性格です。
狩猟犬として巨大なクマへ立ち向かっていくマタギ犬。激しく噛み付くこともあって、知らない人や犬と触れ合う際には注意が必要です。
2〜3ヶ月の子犬のうちにしっかりとしたしつけをする必要があります。飼い主だけでどうすることもできない場合はトレーナーの元でしつけをすることも良いでしょう。
岩手犬の飼い方・迎え方
岩手犬の飼い方も北海道犬や秋田犬と変わりありません。寒さに強く暑さに弱いため、室内ではエアコンなどの温度管理が必要になります。
迎え方としては、種の維持をおこなっているブリーダーから迎える方法しかなさそうです。
しかしながら、ブリーダーも種の維持を目的としているため、ペットとして迎え入れるには相当の条件が必要になります。
まとめ:熊犬はどんな犬?
今回のMOFFMEでは、
- マタギとは何か
- マタギになるには?
- 熊犬(マタギ犬)の歴史
- 北海道犬の特徴・性格・飼い方と迎え方
- 秋田犬の特徴・性格・飼い方と迎え方
- 岩手犬の特徴・性格・飼い方と迎え方
熊犬(マタギ犬)について理解していただけましたでしょうか。岩手犬に希少な犬と記載しましたが、岩手犬のみならず熊犬(マタギ犬)自体が希少価値の高い犬となっています。
熊犬を迎え入れたいと考えている方は、この記事を参考にしていただければ幸いです。また、他の犬の飼い主の皆さんもこういった犬がいるということをぜひ覚えてください。
希少であるということに限らず、犬を飼う以上はその命に愛情と責任を持って生涯を共にするようにしましょう。