「自分の愛犬が脱毛症になってしまった」という経験がある飼い主さんも多数いらっしゃるようです。今回は犬がどうして脱毛症になってしまったのか、について考えていきたいと思います。またその原因と対策についても考えていきたいとおもいます。
この記事の目次
目次を閉じる「犬が脱毛症になってしまった」原因と対策について徹底解説!
- 犬の脱毛症とは?
- どうして円形脱毛症や10円禿げになってしまうの?
- 脱毛の部位ごとの理由
- 脱毛症の病気の区別
- 脱毛症になりやすい犬種とは?
- 愛犬が薄い毛になって皮膚が見える時の対処法
- 脱毛の治療方法とは?
- 補足:猫の脱毛症もある!
犬の脱毛症とは?
犬の脱毛症は皮膚病の発症により、犬自身が患部をなめたり、かいたりすることによって、頻繁に脱毛が起こってしまうようになります。
具体的には以下の5つについて解説していきます。
- 犬の脱毛症の原因①季節
- 犬の脱毛症の原因②細菌感染や真菌感染
- 犬の脱毛症の原因③疥癬とその他の寄生虫
- 犬の脱毛症の原因④アレルギー
- 犬の脱毛症の原因⑤ 基礎疾患
犬の脱毛症の原因①季節
1つ目は季節による脱毛です。
季節の変わり目などに大量の抜け毛が発生することがあり、飼い主の方はその量が多いと不安になってしまう事もあるでしょう。
しかし、結論から言うとこの脱毛はいたって自然な脱毛といえます。
というのも、犬種によって、体を覆う毛の寿命や気温の上昇などによって、犬の被毛は抜けるようにできています。
基本的には、犬の毛は年中抜けるようになっており、特にハスキーやラブラドールといった犬種は冬にかけて被毛が厚くなり、暖かくなっていくにつれてそれらが抜け落ちていきます。
このように、大量に脱毛していても皮膚病ではない場合もあります。
もし、それでも気になるようでしたら、定期的にブラッシングなどをしてあげると犬も喜ぶと思うので、ぜひやってあげてください。
犬の脱毛症の原因②細菌感染や真菌感染
2つ目は細菌感染や真菌感染による脱毛です。
これはあまり知られていないことですが、実は犬の皮膚には細菌や酵母が常に生息しています。
そして、その犬の皮膚に生息している細菌や酵母が何かしらの理由で増殖することによって、感染症を引き起こし、犬の皮膚に脱毛やかゆみなどを発生させることがあります。
細菌や酵母が増殖する原因としてはストレスや年齢などによって、免疫が下がってしまい皮膚のバリア機能が低下してしまうことがあげられます。
特に皮膚の薄い目や口、耳の周りなどに発症するケースが多くみられます。
皮膚に異常が見られるような場合は感染症のリスクがあるため、獣医師などに相談してみて、抗生物質や抗真菌薬などを処方してもらうようにしましょう。
犬の脱毛症の原因③疥癬とその他の寄生虫
3つ目は疥癬(かいせん)とその他の寄生虫による脱毛です。
疥癬はヒゼンダニと呼ばれる小型のダニが感染することで発症する非常にかゆみの強い皮膚病となります。疥癬は感染力も非常に強く、犬や猫が感染するとあっという間に広まってしまうので注意が必要です。
ヒゼンダニは非常に小さなダニなため、肉眼で見ることができません。また、マダニとは種類が異なるため、通常のノミダニを予防する薬では予防することができない事も特徴のひとつです。
また、ヒゼンダニの他にもニキビダニといった種類やノミに噛まれることによるアレルギー反応で皮膚が炎症を起こすこともあります。
ダニとノミは非常に感染力が高い種類も多いため、それらを発見したら、駆虫薬を処方してもらうか、害虫の対処をしましょう。
犬の脱毛症の原因④アレルギー
4つ目はアレルギーによる脱毛です。
人間に花粉症や植物、動物などのアレルギーが存在するように犬にもアレルギーは存在します。特に多い症状としては皮膚のかゆみと脱毛があります。
アレルギーによる皮膚のかゆみなどの症状のことをアレルギー性皮膚炎と呼び、症状が出る部位が原因によって異なります。
また、犬のアレルギーは外耳炎が併発しやすいため、耳をかゆがることや耳が普段よりも臭いなどが起こります。
食物アレルギーの場合は嘔吐や軟便などの症状が出ますが、正式に診断をするには8週間の食物負担試験を経ないといけません。
もし、脱毛の原因がアレルギーの場合はきちんと治療を行うことで、犬の被毛が再び生えたり、かゆみが消えたりするので、安心してください。
犬の脱毛症の原因⑤ 基礎疾患
5つ目は基礎疾患による脱毛です。
もし、犬の脱毛が全身に出ている場合は皮膚病などの表面に問題があるのではなく、体の中に問題があるのかもしれません。
というのも、皮膚の健康を維持するためには大量の栄養素が必要となります。もし、犬自身に何かしらの疾患が生じてしまうと、皮膚の健康を維持するための栄養素がいきわたらずに脱毛へとつながってしまいます。
行き過ぎた脱毛は、ストレスや栄養不良、妊娠など、そのほかにも基礎疾患によっても起こることがあります。
日頃から飼い主の方が観察をしてあげることによって、抜け毛が普段よりも多いなどの違和感に気づくことができます。もし、違和感に気づいたときには動物病院などに相談するようにしましょう。
どうして円形脱毛症や10円禿げになってしまうの?
これまで、犬が脱毛症になってしまう原因について解説していきましたがいかがだったでしょうか。
普段より脱毛していたりすると、飼い主の方も不安になってしまったりするかもしれませんが、正常な抜け毛な場合もありますので、しっかりと日頃からの観察を怠らず、今の脱毛がどの原因によるものか確認してみてください。
では次に円形脱毛症や10円禿げなどの病気のケースについて解説していきます。
病気が原因の場合、10円禿げのように一部分が分かりやすく脱毛していたりすることがあります。そのような場合であったとしても原因が様々あります。
それぞれの原因に合った処置を心掛けるようにしましょう。
脱毛の部位ごとの理由
先ほど、円形脱毛症や10円禿げにもさまざまな原因があるということを解説しました、
具体的には以下の内容について解説していきます。
- 部分的な脱毛(お腹の毛など)
- 耳の毛が抜ける
部分的な脱毛(お腹の毛など)
まず、部分的な脱毛の場合は糸状菌と呼ばれるカビによる真菌感染が原因である可能性が高いです。
糸状菌は犬に感染する者の中でもいくつかの種類があり、その多くが他の動物にも感染するため注意が必要です。人間への感染が可能な糸状菌も存在します。
糸状菌はまず、皮膚の爪や角質などの角化細胞と呼ばれるところから侵入を行い、増殖を繰り返しながら、毛穴や毛全体を侵食していきます。
そして、最終的に増殖した糸状菌達は弱ってきた毛を脱毛したり、ちぎったりします。
その結果、お腹の毛や頭や顔の周りなどを中心に部分的な脱毛が起きます。
また、初期段階では脱毛ではなく、皮膚の赤みやフケなどであることが多く、脱毛するまで気づかなかったという方も多いでしょう。
耳の毛が抜ける
次に耳の毛が抜けたときの解説をしていきます。
耳の毛が抜ける原因として多いのは外耳炎です。
というのも、犬の耳は耳が垂れている事や毛が多いなどの理由によって、外耳炎が起きやすくなっています。
また、外耳炎は一度かかってしまうと再発しやすいことも原因としてあります。
外耳炎の主な判断基準としては耳のにおいです。外耳炎にかかってしまうと、耳が異臭を放つようになります。また、わかりやすく耳をかいていたり頭を振って、かゆみや痛みがあることを知らせてこようとします。
今回紹介した外耳炎以外にもこれらの理由によって耳の毛が抜けることもあります。
- 膿皮症
- 甲状腺機能低下症
- アトピー性皮膚炎
脱毛症の病気の区別
先ほど、部位によって、脱毛の原因が異なるということを解説していきました。
- 円形脱毛症(10円禿げ)
- 皮膚病
円形脱毛症(10円禿げ)
まずは円形脱毛症について説明していきます。
円形脱毛症とはその名の通り、円形や楕円型の脱毛跡が突然生じてしまう疾患の事を表します。その大きさや形が10円玉に似ていることから10円禿げという呼び方もされます。
この症状が出てしまう主な原因としては2つあります。
1つ目はストレスなどによって、精神に負担がかかっている場合です。
犬は感情が豊かな動物であるため、不満やストレスなども抱えることがあります。特に運動不足や食事の変化などによってストレスをためてしまう事によって、円形脱毛症を引き起こしてしまう可能性があります。
2つ目は血行不良による身体に原因がある場合です。
先ほども言ったように皮膚の維持には栄養が必要になります。そこで、血行不良が起きてしまうと発毛に必要な栄養が届かずに、脱毛へとつながってしまいます。
皮膚病
主な皮膚病は以下になります。
- アトピー性皮膚炎
- 膿皮症
- 脂漏症
- マラセチア性皮膚炎
- ニキビダニ症(毛包虫症)
- 皮膚糸状菌症
- 角化型疥癬(かくかがたかいせん)
- 甲状腺機能低下症
- ノミアレルギー性皮膚炎
- 外耳炎
脱毛症になりやすい犬種とは?
先ほど、円形脱毛症と皮膚病の違いについて説明しましたがいかがだったでしょうか。
円形脱毛症はストレスや血行不良によってなるもので、皮膚病や免疫機能の低下などによって感染してしまうリスクがあるという事を理解していただけたでしょうか。
では、次に脱毛症になりやすい犬種はいるのかということについて解説していきます。
結論から言うと、犬種によってでは脱毛症へのかかりやすさは特に変わりません。
しかし、皮膚病は免疫機能が低くなっていくと、感染リスクが高まっていきます。そのため、まだ、生まれた来たばかりの子犬や年齢を重ねてきた高齢な犬などは他の犬よりもかかりやすいといえるでしょう。
また、妊娠中の犬も免疫力が低下しているため、脱毛症になってしまう可能性があります。
愛犬が薄い毛になって皮膚が見える時の対処法
これまで、脱毛の原因について解説していきました。
ただ、獣医の方もすぐに判別するのは困難であるため、きちんと症状や状態を正確に伝えられるようにしておきましょう。
以下のチェックポイントを確認しておきましょう。
- どれくらい、どこが脱毛しているか
- 脱毛以外の症状があらわれていないか
- 食欲、尿の量などに変化がないか
これらのチェックポイントは動物病院の獣医に適切な情報を伝えるためのものであるため、勝手に原因を判断するために使用するのはお勧めできません。
飼い主の方が正しい知識を持つことで、動物病院の先生と一緒に最適な対処ができるようにすることが大切です。
脱毛の治療方法とは?
脱毛の治療方法は症状や原因によって変わっていきます。
具体的には以下の場合での治療方法について解説していきます。
- 寄生虫がいる
- 甲状腺機能低下症の場合
- 副腎皮質機能亢進症の場合
- その他
寄生虫がいる
犬を飼っていると、寄生虫がついている場合があります。
寄生虫は外部寄生虫と呼ばれるノミやダニなどの節足動物と内部寄生虫と呼ばれる回虫や線虫などの犬の体に住み着く寄生虫の2種類が存在します。
それらの寄生虫が犬についている場合は駆虫剤を用いて、既にいる寄生虫を駆除します。
その後、その寄生虫などから細菌感染している場合は抗生物質やかゆみ止め、ステロイド剤などを処方してもらい、治療することになります。
費用感としては主に検査、駆虫、処方薬の治療となるので、1か月ほどかかった場合、約7,000円ほどになるでしょう。
ノミは1日に50個も卵を産むため、発見したら早急に動物病院に連れて行くようにしましょう。
甲状腺機能低下症の場合
甲状腺機能低下症とは、甲状腺から分泌されるホルモンである甲状腺ホルモンの分泌が少なることが原因で起きる病気です。
甲状腺は気管の横についている臓器で、そこから分泌されるホルモンによって、体全体の代謝を良くしています。
そのため、甲状腺の機能が低下するため、体の代謝が低下し、体温の低下や脈拍の低下などの症状がみられるようになります。
甲状腺機能低下症になってしまった場合、ホルモン剤を投与することになります。甲状腺ホルモンは多くても少なくても病気となってしまうため、定期的に調整をしながら、今後ずっと通院させる必要があります。
費用感としては1か月で約5,000円~10,000円ほどになります。
副腎皮質機能亢進症の場合
副腎皮質機能亢進症は別名クッシング症候群とも呼ばれており、副腎から分泌されるホルモンである副腎皮質ホルモンが過剰に分泌されてしまう病気です。
初期症状としては水分補給の量が増えたり、お腹が膨らみやすくなったりします。しかし、重症のものになると、血栓症による呼吸困難を起こしたり、神経症状や突然死のきっかけとなってしまうこともあります。
副腎皮質機能亢進症になってしまった場合は検査で原因特定後、副腎皮質の機能を抑制するためのものが処方されます。
副腎皮質機能亢進症も甲状腺機能低下症と同様にホルモンバランスを調整する必要があるため、定期的に血液検査を生涯にかけて行う必要があります。
費用感は約10,000円ほどです。
その他
もし、原因がストレスや嫉妬などの心因性のものであるなら、あなたの愛犬がストレスに感じていること、不満に思っていることの原因究明を第一にしてください。
また、ストレスなどではなく、花粉やハウスダスト、食物などのアレルギーが関係する場合は血液検査などをもとにアレルゲンを特定し、それらを摂取しないように環境を整備してあげると犬も安心して暮らせるでしょう。
ただ、食物アレルギーの場合は様々な食事を一定量与えて、経過を観察する食事療法が用いられることが多いです。
費用感としては血液検査の実施なども考えると、約10,000円前後かかるでしょう。
補足:猫の脱毛症もある!
ちなみにですが、猫にも犬と同様に脱毛症はあります。
もし、あなたが猫も飼っている場合、原因が同じようなものでも犬と行動や状態が異なるかもしれません。
犬と同様に治療にはお金がかかります。皮膚病になってしまった場合の治療費を考えると、年間で約19,000円ほどになります。
詳しくはこちらの記事をお読みください。
まとめ:「犬が脱毛症になってしまった」原因と対策!
これまで、
- 犬の脱毛症には季節などの正常なものからアレルギーなどのものがある
- ストレスを強く感じることで円形脱毛症や10円禿げにもなってしまう
- 皮膚病の一番の対処法は動物病院に行く
- 甲状腺機能低下症や副腎皮質機能亢進症はホルモン調整で治療する