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犬がいつも寝てばかりなのはなぜでしょうか?食欲はあるけれども日中・留守番中は寝てばかりだと心臓病や腎不全、脳腫瘍、てんかん等の病気ではないかと心配ですよね。また子犬・シニア犬で睡眠時間の差はあるでしょうか。この記事では犬が寝てばかりの原因について解説します。

記事監修者「森下 浩志」

監修者森下 浩志
フィナンシャルプランナー

早稲田大学基幹理工部出身。すべてのペットのお金と健康にまつわる問題を解決したい、という強い思いからMOFFMEを立ち上げ。ファイナンシャルプランナー、損害保険(ペット保険を含む)の公的資格取得。獣医師団体などと連携をして、ペットのWEB健康診断ツールの開発も行う。

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犬が寝てばかりなのはなぜ?考えられる病気についても徹底解説

子犬でもシニア犬でも犬の寝顔は本当に安らかで、幸せな気分を与えてくれるので、ずっと見ていたくなりますよね。


ただ、「よく寝るなあ、あんな風に暮らしたいなあ」と思う飼い主さんもいらっしゃれば、「日中もいつも寝てばかりで、うちの子は病気かしら」と心配になっている飼い主さんもいらっしゃるかと思います。

今回MOFFMEでは、

  • そもそも犬の適切な睡眠時間とはどれくらい?年齢による違いも解説。
  • 犬が寝てばかりなのはなぜ?5つの原因を解説。
  • 犬が寝てばかりの場合に考えられる2つの病気とは?
  • 犬に元気がない!寝てばかり以外に要注意な体調不良の症状とは?

以上の4つのトピックについて具体的に見ていきたいと思います。

そもそも犬の適切な睡眠時間とは?子犬と高齢犬での違いも解説!


犬は日中も寝ている分、人間よりもずっと長く寝ているはずですが、実際はどれくらいの時間寝ているのでしょうか。


ここでは、

  1. 犬の基本的な睡眠時間
  2. 子犬・シニア犬等、年齢による犬の睡眠時間の変化
2点を具体的に解説していきたいと思います。

どの年齢でどれくらい寝るのが適切なのかを知ることができます。データと比較して今の状態が妥当かどうかがわかれば、より安心して愛犬の幸せな寝顔を見つめていられることでしょう。

犬の基本的な睡眠時間はどれくらい?

基本的には、12時間から14時間の睡眠が適切です。アメリカンケネルクラブ(AKC)は、犬は一日の半分を睡眠に費やすと公表しています。


人間と違い、犬は眠りの浅いレム睡眠に多くの時間を費やしているため、より長い睡眠時間を必要とするのです。そうはいっても、個体差があり、また、活動状況にもよります。


日常的に観察を続け、明らかにいつもより寝ていないか、すぐ気づけるように毎日気にかけておきましょう。

子犬・シニア犬等、年齢による犬の睡眠時間の変化を徹底解説!

睡眠時間は個体差や活動状況によると前述しましたが、年齢は明らかに睡眠時間に影響を及ぼします。


まだ生まれたての子犬なら、ほぼ一日中寝ています。人間同様、成長には睡眠が欠かせないからです。


月齢を重ねるにつれ、睡眠時間は短くなっていきます。1歳未満になると、平均14時間から16時間。2歳以降4歳になると立派な成犬ですので、平均12時間から14時間程度の睡眠となります。


シニア犬の場合ですが、高齢とみなされる定義は犬の大きさによって変わります。大型犬の場合、5歳から6歳、中型・小型犬は8歳以上が高齢とみなされるためです。


高齢になると子犬と同程度の睡眠時間が必要になります。つまり、14時間から16時間程度です。活動をした後の回復に時間がかかるためと、年齢を重ねることで病気やケガをしている割合が多くなるため、活動しなくなるからです。


12歳を超えると20時間など、一日の大半を寝て過ごすことになります。

補足:愛犬に快適な睡眠環境を作ってあげるコツとは

ふかふかの温かい布団が好きなのは犬も人間も同じです。ただ、シニア犬になって毎日の睡眠時間が増えると、床ずれの恐れもでてきます。


対策として圧力を分散できるマットレスを用意しましょう。犬の介護用に売られていることが多いのですが、若いうちからどんどん使用して問題ありません。早めに実践して、快適な睡眠環境を整えてあげましょう。


また、室内の温度調節もとても大切です。寒いと体を丸めるのですが、これはリラックス状態とはいえません。犬は暑さにも弱いです。エアコンの温度を年中23度から25度に保つようにしましょう。


愛犬の仰向けの「へそ天」姿が見られたら、心からリラックスして寝ていると考えてよいでしょう。

犬が寝てばかりなのはなぜ?5つの考えられる原因を徹底解説!


寝てばかりいる愛犬を見て、「なんでこんなに寝るんだろう」と疑問に思ったことはありませんか。


犬が長時間寝るのには、いろんな原因があります。ここでは、その原因である次の5つを解説していきます。

  1. 老化
  2. 妊娠
  3. 遊びすぎ、夏冬の暑い・寒い気候、手術後等での体の疲れ
  4. 多頭飼いや環境変化等によるストレス
  5. 怪我をしている・病気
原因を知ることで、不要な心配はせずにすみますし、本当に必要なケアをあたえてあげらるはずです。

①:老化

典型的な原因です。睡眠時間が長くなることは、老化のチェックの判断基準に使用されるほどです。


好奇心が衰えたり、耳が遠くなって刺激を受ける機会が少なくなると活動することが億劫になります。シニア犬の平均的な睡眠時間であれば、必要以上に心配せずに、ゆっくりと寝かせておいてあげましょう。


もし、気になるようであれば、ぐったりとしていないか、脚に異常はないかなど、いつもと違うところはないかをチェックしましょう。

②:妊娠

避妊手術を受けていない成犬の場合、妊娠の可能性も考えられます。着床後、2週間から3週間はつわりのような症状もあらわれます。具体的には、食欲ない様子、味覚の変化、嘔吐といった人間と同じような症状です。


生理がとまっていたり、散歩でほかの犬に会う機会があるなどの心当たりがある場合、まずは感染症のリスクを考慮し、ワクチンなど各種の投薬を避けることが賢明です。


そして、早めに獣医にかかるようにしましょう。

③:遊びすぎ、夏冬の暑い・寒い気候、手術後等での体の疲れ

1歳を超えて遊べるようになると、どんどん活動的になってきます。そのため日中の活動が体にこたえて、よく寝るようになります。


また、犬は真夏の暑さや冬の寒さも苦手です。自然によるストレスがかかると体が疲れ、同様に睡眠が必要となります。


さらに、動物病院で去勢などの手術を受けたり、退院した後も睡眠時間が長くなります。


こうした場合は、寝ることにより体力が回復しますので、しばらく様子をみるようにしましょう。

④:多頭飼いや環境変化等によるストレス

犬は人間が思うよりもずっとデリケート。もし、先住犬よりも若くて元気な犬が新たに家族に加わった場合、若い犬による行動に巻き込まれ、自分本来のペースが乱されてしまいます。


また、飼い主さんの引っ越しや模様替え、家具の配置換えなどの身の回りの環境変化であっても、慣れるまで犬はストレスを感じます。


自分のペースが狂うことで気持ちよく熟睡できない状態となるため、結果的に長時間睡眠が必要となるのです。

⑤:怪我をしている・病気

関節に痛みがあったり、どこかにぶつけて怪我をしている場合、あるいは内臓系に病気を抱えている場合、いつもよりも睡眠時間が長くなります。痛みにより動くのがつらく、犬はじっと治るのを待つしかないからです。


こうしたときは、血がでているところはないか、歩き方はいつもどおりか、触ると痛がるところはないか、下痢や嘔吐の症状はないかなど、飼い主さんが愛犬のいつもの状態と比べることが大切です。


飼い主さんが不安なときは犬もさらに不安になります。病気を悪化させないためにも、この場合は迷わず動物病院にいきましょう。誤飲や椎間板ヘルニアなど、レントゲンを通してしかわからない病気が見つかる可能性も考えられます。

補足:ワクチン接種後や避妊後・去勢後はよく眠る場合もある

毎年、狂犬病予防や各種ワクチンを接種されている飼い主さんも多いと思います。こうした注射のあと、愛犬がだるくしている様子はありませんでしたか。また、避妊や去勢の手術をした場合、術後の様子はいかがでしたでしょうか。


もし、こうした症状が続き、1日に何度も嘔吐するようでしたら、すぐに病院に連れていきましょう。


そうでない場合、原因がストレスや副作用の可能性が高いのでしばらくそっと寝かせておいてあげましょう。

犬が寝てばかりの場合に考えられる2つの病気とは?


「うちの子、寝てばかり。」そう見過ごしてはいけないシチュエーションもあります。寝てばかりの場合に考えられる病気に、次の2つがあります。

  1. 甲状腺機能低下症
  2. クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)
聞きなれない病名かもしれませんが、犬の飼い主さんならぜひ知っておきたい病気です。

まさか、うちの子が!と思われるかもしれませんが、かかりやすい犬種もいますので、ここから先、それぞれについて詳しく解説していきます。

①:甲状腺機能低下症

甲状腺が喉にあるのはご存じのかたも多いと思います。この甲状腺からのホルモンの分泌が低下することが原因でなる病気です。


甲状腺ホルモンは、代謝をつかさどるホルモンのため、この分泌量の低下により体全体にさまざまな症状があらわれます。

  • 活動量の低下
  • 皮膚炎
  • 低体温
  • 代謝障害

命の危険もある病気です。飼い主さんが見わけることは困難かもしれませんので、寝てばかりの時間が多い、元気がない場合はぜひ動物病院を受診してください。


どの犬種でもかかる可能性があります。かかりやすい犬種は、柴犬、ビーグル、ミニチュアダックスフンド、ポメラニアン、ゴールデンレトリバー、ラブラドールレトリバー、シェットランドシープドッグなどです。

②:クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)

クッシング症候群は犬でよくみられる病気です。腎臓のそばの副腎から分泌されるホルモンである「コルチゾール」の量が増えすぎることが原因でなる病気です。


主な症状は以下のとおりです。

  • 免疫力低下
  • 多飲多尿
  • 痩せる
  • 脱毛
  • 散歩に行きたがらない
  • 皮膚炎
  • 膀胱炎
  • 糖尿病
500頭に1頭程度が発症し、8歳以上の犬がなりやすい病気です。かかりやすい犬種は、ダックスフンド、ビーグル、プードル、ボストン・テリア、ポメラニアン、ボクサーです。

投薬治療により症状はやわらぎますが、進行する前に一刻も早く病院へ連れていく必要があります。そのためにも常日頃から愛犬の様子を観察し、異常な行動に気づいてあげることが大切です。

犬に元気がない!寝てばかり以外に要注意な体調不良の症状とは?


病院では、飼い主さんが犬の状態を説明しなくてはなりません。また、動物病院へかかるべき兆候を知っておかなくてはなりません。


飼い主さんが発見できる兆候の例を挙げます。

  1. 食欲がない・ご飯を食べない
  2. ぐったりしている・体が震えている
  3. 嘔吐・下痢
  4. 熱や鼻水・咳が出る等、通常の風邪に似た症状
犬は痛みを我慢する性質がありますので、愛犬のつらいサインを見逃さずにいるのも飼い主さんの大事な役目です。以下、解説します。

①:食欲がない・ご飯を食べない

犬が食欲がない日が続いたら、あらゆる病気の可能性が考えられます。例えば、胃腸炎、腎不全、膀胱炎、歯周病などです。


いつものご飯を食べない場合も好きなおやつも食べないか、試してみてください。シニア犬の場合はフードを温かくしたり、細かく刻んで食べやすくしてあげましょう。


それでも改善しない場合は、動物病院に相談してください。ご飯を食べない状態が続くと体が弱り、免疫も低下し、病気が悪化してしまうからです。

②:ぐったりしている・体が震えている

通常、元気な子犬が寝てばかりでぐったりしている場合、低血糖症の可能性があります。シニア犬の場合はさまざまな可能性が考えられますが、腎不全や子宮蓄膿症、腫瘍や心臓病などが進行していることがあります。夏に犬がぐったりしている場合は、熱中症の可能性もあります。


からだの震えは痛みからくる場合もありますが、低血糖症、発熱、てんかん、中毒も考えられます。


いずれにしても、急いで病院に連れていきましょう。

③:嘔吐・下痢

多くの病気の症状の一つが嘔吐・下痢です。感染症、腎不全、膵炎などいろんな原因が考えられます。


感染症や胃腸炎の場合、抗生物質で治る場合もありますが、熱中症でも食べ過ぎてもなりますので、日ごろから室温やご飯の量にじゅうぶん気をつけてください。脱水症状を引き起こして、衰弱死する可能性もあるので、甘くみてはいけません。


1日に何度も続いたり血便が出て、寝てばかりでいるようであれば獣医に相談してください。

④:熱や鼻水・咳が出る等、通常の風邪に似た症状

寝てばかりで元気がなく、熱や鼻水・咳が出るといった、風邪に似た症状がある場合、フィラリア症、犬ジステンパー、ケネルコフなどの可能性があります。


フィラリア症は命に係わるため、年に一度フィラリア検査を受けるとともに、検査後は予防薬を毎月1回、5月ごろから11月ごろまで飲ませるようにしましょう。


小型のシニア犬で咳があり呼吸が速いなら、心臓病からくる肺水腫が考えられます。すぐに医者にかかりましょう。

まとめ:犬が寝てばかりなのは要注意!原因・病気を見極めよう

いかがでしたか。今回は、
  • そもそも犬の適切な睡眠時間とはどれくらい?年齢による違いも解説。
  • 犬が寝てばかりなのはなぜ?5つの原因を解説。
  • 犬が寝てばかりの場合に考えられる2つの病気とは?
  • 犬に元気がない!寝てばかり以外に要注意な体調不良の症状とは?
を見てきました。

食欲はあるけども寝てばかりいる、食べない、いつもと違う、ストレスに心当たりがある、手術後の様子がおかしい、など、飼い主さんの観察がなによりも大事な情報源で、深刻な病になる前の早期発見につながります。

留守番をさせる機会が多いと、なかなか気づかないこともあるかと思います。そういう飼い主さんこそ、定期的に獣医に相談されることをぜひおすすめします。

MOFFMEでは、他にも様々なペットやペット保険に関する記事を公開しておりますので、ぜひ参考にしてみて下さい!