猫にとってユリは重篤な事態を引き起こす植物です。ユリ自体はとても綺麗な観葉植物ですが、猫を飼っている方は最大限の注意をしましょう。今回のMOFFME記事では、猫がユリを食べた際の症状・食べた後の応急処置・予防策を紹介します。
この記事の目次
目次を閉じる猫がユリを食べるのは危険?ユリを食べた際の症状や応急処置
ユリは花が大きく、いい香りのする華やかな花で家で飾ったり、仏壇に生けたりと人気の高い植物ですが、ユリ科の植物は猫にとって危険な植物です。
ユリには、どの部位でも毒性があり、花弁、葉、茎だけでなく、花粉やおしべ、ユリ根だけでも中毒になります。
猫がユリを少量でも食べたり、ユリに生けてあった花瓶の水を飲むことですら中毒症状を起こしてしまうのです。
今回MOFFMEでは、猫がユリを食べた時の症状や、応急処置などの対策について詳しく解説します。
- 猫がユリを食べた際の症状を紹介
- 猫がユリを食べた際の応急処置
- 猫のユリ中毒予防法
猫がユリを食べた際の症状を紹介
猫にとってユリは猛毒です。
では、猫がユリを食べた際に引き起こる症状はどのようなものがあるのでしょうか。
この記事では、
- 重篤な場合は『腎不全』
- ユリを食べても元気な場合があるのか
を見ていきます。
少量だからといって様子を見るのではなく、猫がユリを少しでも誤飲の恐れがある場合は、すぐに獣医師に相談する必要があります。
重篤な場合は『腎不全』
猫の中毒で、植物ではユリが有名です。
ユリは、猫にとって危険な中毒を引き起こします。
春から夏にかけて咲く花ですが、日本では仏花としても使われることがあり、ユリ科植物は花屋などでも一年中見かけることができます。
ユリは猫にとって毒性が強く、1~2枚の葉や花びらの誤食でも重度の障害が出ます。
『誤食』と言っても実際に摂取した量は不明なことが多く『植物で遊んでいた…』『植物をかじった跡があった…』も注意が必要です。
身近な植物だと、チューリップもユリ科に該当します。
ユリ中毒の症状は
- 嘔吐
- よだれを多量に出す
- 元気がない
- 食欲がない
- 脱水
- 尿があまり出なくなる
- 震え
- けいれん
などです。
ユリ毒を摂取して1〜3時間程度で発症して2日間程度腎障害をもたらします。
重度腎障害の結果、腎臓病が生涯続くこともありますし、死亡に至る可能性もあるのです。
ユリを食べても元気な場合があるのか
猫がユリを食べた際に、元気な場合もあるのか、また、元気な場合は病院に連れて行かなくてもいいのか、判断に困る時もありますよね。
猫によっては、ユリを食べても元気な場合がありますが、油断は禁物です。
中毒症状には個体差があるものの、中毒が現れる時間にも個体差があります。
元気だからといって様子を見ずに、すぐに動物病院に連れて行きましょう。
猫がユリを食べた際の応急処置
猫がユリを食べてしまったとき、どうしたらいいのか、家で私たち飼い主にできることがあるのか非常に気になりますよね。
下記ではユリを食べてしまった猫への応急処置についてみていきます。
- ①:状況を記録する
- ②:動物病院に即連絡
①:状況を記録する
自宅で吐かせることは危険を伴います。
絶対に行わないでください。
もし、『いつ』『何を』『どのくらいの量』食べてしまったのかが分かればメモを取っておくと診療の際に役立ちます。
また、嘔吐や下痢があった場合には、ビニール袋に入れて持参してください。
猫がユリを誤食した場合、一般的に腎臓に障害が出てきます。
尿の量に変化はないか、元気があるか、飲水量に変わりはないかなど、猫の様子をみてあげましょう。
②:動物病院に即連絡
原因がわかっているのであれば、即動物病院に連絡しましょう。
診療時間外であれば夜間救急に連絡をし、ユリを誤食した旨を伝えてください。
病院での治療は、現在の体の状況を把握するために血液検査を行います。
誤食からあまり時間が経過しておらず、胃の中にユリが残っている場合は催吐(さいと)処置という吐かせる処置を行い、原因物質を体外へ排出させ、静脈点滴を行い、状態を見ながら他の薬剤の使用を検討するのです。
急性腎不全の場合、代謝産物や水分、電解質などが体の外に排出されなくなるので、状態によっては、透析療法を行うこともあります。
透析には、腹膜透析と血液透析があり、どの動物病院でも行えるというわけではありません。
特に血液透析は特殊な設備と人手がいるので、行える施設は比較的限られているので大きい動物病院に連れて行くといいでしょう。
腎障害が始まる前に、集中的なモニターと輸液治療などをすると経過は比較的良いとされ、輸液療法は、少なくとも24〜48時間は行うことがすすめられています。
逆に、ユリの成分を摂取した後、18時間以上経過してから治療を始めた例では、経過は厳しくなる傾向にあります。
中毒が重度である猫や無治療の猫は、急性腎不全により、3日から1週間前後ほどで死に至るといわれています。
一命をとりとめても、ユリ中毒の後遺症として慢性腎不全が残る猫もいます。
猫のユリ中毒予防法
飼い主として、愛猫がユリ中毒に陥らないようにするには、どのようなことに注意すれば良いのでしょうか。
- 大前提は、完全室内飼育等で猫をユリに近づけない
- 食べても大丈夫な植物かどうかの判断は難しい
- 補足:ユリ以外に猫が食べてはダメな植物とは?
大前提は、完全室内飼育等で猫をユリに近づけない
ユリ科の植物を家に入れないことがユリ中毒の大きな予防となります。
猫は、植物など新しいものに興味を持ち、匂いを嗅ぐ、舐める、かじるなどをします。
おしべに花粉が付いた状態であれば、臭いをかいで鼻に花粉がついたり、側を通って体に花粉が付いたりすると体をなめて中毒になります。
また、花瓶が倒れてこぼれた水を飲むといったことも考えられるので注意しましょう。
さらに、屋外に出る猫は、家の中にユリを入れなくても、庭に植えてあったり、置いたりしていると、かじるなどしてユリ中毒になる可能性があります。
食べても大丈夫な植物かどうかの判断は難しい
猫は、動物性タンパク質を主食とする肉食動物ですが”猫草“などの植物も好んで食べます。
しかし、中には誤食して嘔吐、下痢、呼吸困難などの中毒症状を引き起こし、場合によっては命を落としてしまう猫にとっては危険な植物も存在します。
また、樹液に触れただけで有害な植物があったり、毒性はなくてもサボテンのようにトゲのある植物で怪我をしてしまうなど、注意の必要な植物もあるのです。
基本的にユリ科の植物は猛毒なので猫を飼っているご家庭ではユリ科の植物を家に持ち込まないなどの対策が必要でしょう。
補足:ユリ以外に猫が食べてはダメな植物とは?
ユリ以外にも、猫が食べてはいけない植物にはどのようなものがあるのでしょうか。
①ユリ中毒を引き起こすもの
ユリ科の植物(カサブランカ、テッポウユリ、チューリップ、ローズリリー、ヒヤシンス等)ススキノ科(キスゲ等)
②サトイモ科の植物
葉や根茎には、シュウ酸カルシウムが結晶状態で多く含まれているため、猫が食べると口腔内にチクチクと刺さり、炎症や疼痛、嘔吐などを引き起こすことがあります。
猫がいる室内には置かないようにしましょう。
サトイモ科の植物:ポトス、カラジューム、ディフェンバキア、モンステラ
③ドラセナ(幸福の木)
人気の高い観葉植物ですが、葉に強い毒性があり、猫が口にすると、嘔吐、下痢、手足の痺れ、麻痺などを引き起こすことがあり、死に至ることもあります。
④多肉植物
アロエをはじめとした多肉植物も有害な部類に含まれます。
アロエの葉や皮にバーバロインという成分が含まれ、口にすると下痢や腎炎を引き起こす可能性があります。
このほかにも、ヒガンバナ、アサガオ、アジサイ、菊、パンジー、ツツジ科、ナス科の花には注意が必要です。
まとめ:猫がユリを食べるのは危険!
いかがでしたか?
今回MOFFMEでは、
- 猫がユリを食べた際の症状を紹介
- 猫がユリを食べた際の応急処置
- 猫のユリ中毒予防法
を紹介していきました。
猫にとってユリを食べるのはとても危険です。
そして、ユリ以外にも猫にとって有害な植物は意外と身近に多く存在します。
愛猫がユリを食べた形跡があれば、すぐに獣医師に連絡し治療してください。
予防策として、猫は完全室内飼いにし、家の中にユリなどの猛毒な植物を持ち込まないよう対策をすることが良いでしょう。
MOFFMEでは、他にも様々なペットや保険に関する記事を公開しておりますので、ぜひ参考にしてみて下さい!