水頭症は、チワワやトイプードルなどの小型犬に多く見られる疾患です。これらは飼育数が多い犬種のため、症例や治療例も多く、ほとんどのペット保険で補償されます。この記事では、水頭症の治療方法や症状の緩和方法について解説していきます。
この記事の目次
目次を閉じる水頭症とは?頭蓋骨に水が溜まる、危険な病気!
水頭症は、小型犬に多く見られる疾患です。猫にも見られる病気ですが、猫の水頭症はまれだと言われています。
水頭症とは、頭蓋骨の中の「脳脊髄液」が過剰に増えることで、脳を圧迫してしまう病気のことです。水頭症は完治する可能性が低く、治療が長引くこともある疾患でもあります。
今回「MOFFME」では、
- 水頭症の症状や原因
- 水頭症になりやすい犬種
- 水頭症の治療方法と治療費用
- 水頭症はペット保険で補償されるのか
- 水頭症を見分ける方法
上記について解説します。
ペットも家族の一員。そのため、ペットが健康であってほしいと願うのは、すべての飼い主さんの共通の思いです。
しかし、ペットの治療費は保険適用外のため、予想以上に治療が高額になることも。
万が一のためにペット保険に加入することはおすすめです。
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水頭症の症状とは?見た目に変化が現れるが目立った症状が出ないこともあるので注意
水頭症の症状は、脳のどの部位が圧迫されているか、病気の進行具合によって異なります。主に、神経症状が表れることが多いです。
水頭症の主な症状は以下の通りです。
外見に現れる症状
- 頭がドーム状に張り出している
- 目が外側下に向いている(外腹側斜視)
- 頭頂部を触ると穴が空いているように感じる
- 元気がない
- ぼーっとしている
- 寝てばかりいる
- 痴呆症状が見られる
- 食欲不振
- 視力障害
- 落ち着きがない
- けいれん・攻撃性が高まる・ふらつく・一方向に旋回する・てんかん発作
水頭症は先天性と後天性で原因が異なる!
水頭症には、先天性と後天性があります。犬や猫の水頭症では、先天性によるものが一般的で、1歳以下の子犬の時期に診断されることも多い病気です。
後天性の場合は、犬の脳腫瘍や炎症、脳内出血などが原因として挙げられます。事故や病気によって、脳脊髄液がうまく循環されなくなったり、過剰に分泌されたりすることで、後天的に水頭症を発症してしまうこともあります。
水頭症には以下の3つのタイプがあります。
- 脳脊髄液が過剰に分泌される
- 脳脊髄液の循環が妨げられる
- 吸収されるはずの脳脊髄液が、十分に吸収されない
上記のいずれかが原因となって水頭症の症状を起こします。ただし、中には水頭症であっても症状が表れない場合もあるため、定期的に検診は行っておくのがおすすめです。
先天性の水頭症を持っている場合、他の兄弟に比べて小さい、成長が遅いなどの特徴が見られることがあります。
また、通常であれば、成長と共に閉じていく頭蓋骨の穴が、成長しても塞がらないまま、大きく空いている状態になっていることもあります。
大泉門開存(ペコ)と呼ばれる症状で、もともと虚弱体質であったり、水頭症であったり、ストレスに弱いなどの特徴が見られます。頭部への衝撃には注意が必要です。
水頭症になりやすい犬の種類とは?
水頭症は先天性によるものが一般的だと考えられています。水頭症になりやすいとされている犬種はあるものの、どうしてなりやすいのかは分かっていません。
水頭症になりやすいとされる犬種は以下の通りです。
上記を見て分かる通り、比較的小型犬に多い病気です。しかし、事故や病気による後天性の場合はこの限りではありません。どの犬種でも発症する可能性はあります。
上記の犬種は先天性による水頭症が多いとされており、まだ生後数カ月の赤ちゃんの頃に、水頭症と診断されることもあるでしょう。また、猫の水頭症もありますが、犬に比較し発症の可能性が極めて低いです。
水頭症の治療はどうする?手術で完治できるのか解説!
水頭症の治療には内科的治療と外科的治療があります。症状や水頭症の原因によって治療方法が異なるため、水頭症に必ず行われる治療というのはありません。
- 水頭症の治療方法
- トマトジュースで症状が改善する?
- 水頭症の治療費用
- 後遺症や障害について
ここでは、上記について解説していきます。
愛犬や愛猫が水頭症になってしまった時、どのようなことをしてあげられるのか知っておくことが大切です。
治療方法には内科的治療と外科的治療の2種類がある
水頭症は、MRI検査やエコー検査などで、脳室が拡大しているかどうかで判断されます。ただし、水頭症であっても脳室が拡大していないこともあり、現在、水頭症を確実に診断する検査方法はありません。
治療についても、必ずしも完治するものではなく、症状の緩和が治療の主な目的となります。水頭症の治療方法は以下の通りです。
内科的治療
- 降圧利尿剤の投与
- ステロイド薬の投与
- 抗けいれん剤
- 特殊な管で脳とお腹をつなぎ、脳脊髄液を排出する手術(シャント療法)
トマトジュースによる症状改善の例も報告されている
ネット上では、水頭症のペットの飼い主さんによる体験談が多くあり、中には「無塩のトマトジュースで症状が改善した」という意見もあります。
トマトジュースを犬にあげてもいいの?と心配な人も多いでしょう。犬にトマトジュースをあげても問題はありません。ただし、無塩で添加物がふくまれていないタイプのものをあげましょう。
おすすめは、ストレートタイプのトマトジュースです。与えすぎには注意し、獣医さんに相談しつつ、適量をあげてください。
また、犬によってはアレルギー症状などを起こす場合もあるため、与える際は獣医さんに相談してからが良いでしょう。
水頭症の治療費は高額になるケースが多い
水頭症は、完治が難しい疾患です。症状を緩和するため病院に通う必要がある場合も。また、手術をした場合も、チューブの交換などを行う必要があり、定期的に病院へ連れて行かなければいけません。
水頭症の治療費の目安は以下の通りです。
内容 | 金額 |
---|---|
診察・検査 | 50,000円 |
投薬治療 | 3,000円~5,000円/月 |
手術 | 200,000円~350,000円 |
上記はチワワの水頭症にかかる治療費の一例です。手術は術後の管理が難しく、一般的な動物病院では対応していない場合もあるでしょう。
水頭症は治療が長引く可能性が高く、総額費用にすると高額になりがちです。高額な医療費によって治療を諦めずに済むように、水頭症の治療を補償してくれるペット保険に加入しておくのがおすすめです。
後遺症や障害は残るの?
水頭症は脳脊髄液が、脳のどの部分を圧迫しているかによって症状が異なります。脳圧が上がることによって、斜視や視力障害などが起こることも。
また、元気がなかったり、攻撃的になったりと性格が変わることもあります。特定の後遺症や障害はありませんが、治療によってどの程度症状が改善されるかは、ペットによるでしょう。てんかん発作や視力障害などが治らない可能性もあります。
また、外科手術(シャント療法)を行った場合、犬の成長やチューブの詰まりなどによって、チューブを取り替える手術を行う必要があるため、何度も手術を行う可能性も考えられます。
完治する病気ではなく、また、脳が圧迫されることでさまざまな症状が起きる病気であるため、治療をしながら経過を見ていくしかありません。
ワンちゃんによっては、水頭症であっても無症状である場合もあります。そのような場合は、あえて治療を行わないこともあります。
水頭症の好発犬種といわれている犬を飼っている、飼おうと思っている人は注意深く犬の様子を見、定期的に検査をしておくと良いでしょう。
水頭症はペット保険で補償されるの?
犬の水頭症は、ほとんどのペット保険で補償される場合が多い疾患です。水頭症は治療が長引く可能性が高く、治療費が高額になりがちなため、ペット保険で補償を受けられると、飼い主さんの負担も減るでしょう。
ここでは、
- 加入後に発症した場合
- 加入前に発症した場合
上記2つの点について解説します。水頭症だと診断された後に、ペット保険への加入を検討している人や、万が一のためにペット保険に加入しておきたい人は参考にして下さい。
加入後の発症であればで補償される
ペット保険に加入した後に、水頭症だと診断された場合は、ほとんどのペット保険で補償対象となります。
保険会社によって、先天性だった場合は補償できない疾患があるため注意が必要です。中には、無条件で先天性の疾患は補償対象外としているペット保険もあります。
水頭症の治療は、主に内科的治療がほとんどです。長期間、定期的に動物病院に通う必要があるため、通院に特化したペット保険に加入しておくと良いかもしれません。
ただし、手術をする可能性もゼロではないため、入院・手術・通院とフルカバー型の保険に加入しておけば、いざという時に飼い主さんの負担を減らせるでしょう。
また、保険に加入していたことで、高額な医療費がかかる治療を諦めずに行うことができる可能性もあります。
加入前に発症した場合は特約を付帯されることがある
水頭症だと診断されてからペット保険に加入する場合は、保険会社によって対応が異なります。主な対応は以下の2つに分かれます。
- 保険会社が指定している病気・疾患は加入・更新不可
- 特約・条件付きでの加入
保険会社が定めている疾患に罹った場合、加入や更新を断られる可能性があります。
保険会社によって指定している疾患は異なりますが、主な疾患は以下の通りです。
上記の疾患に罹った場合、加入や更新を断られるケースがあります。基本的に「加入不可」とされていない病気の場合は、申し込んでみるのがおすすめです。
特約や条件付きとは、すでに診断されている病気や疾患、けがの治療費は補償されないといったものです。
水頭症と診断された後に条件付きでペット保険に加入した場合、水頭症に関わる治療費は補償されませんが、その他の病気やけがに関しては補償が適用されます。
負担を減らすためにも、条件付きであってもペット保険に加入しておくのがおすすめです。
予防は困難だが早期発見で寿命を延ばすこともある
水頭症の予防方法はありません。一般的に先天性のものが多いとされており、好発犬種に関しても、なぜ水頭症にかかりやすいのか、詳しいことは分かっていません。
ただし、早期発見・治療によって症状緩和、延命効果に期待できます。ペットが水頭症にかかってしまっても、悲観する必要はありません。
症状を緩和する治療を行いながら、ペットに愛情をかけてあげることで、健康な犬と変わらない寿命を生きることも珍しくないのです。
水頭症は、脳のどの部分が圧迫されているかによって症状が変わり、確実に診断する検査がないといわれている病気ですが、小型犬の水頭症は珍しいものではありません。
症状が出ないワンちゃんもいるため、好発犬種を飼っている場合は、定期的に健康診断などでペットの健康チェックを行うようにしておくと安心です。
どの病気にしても、ペットの異変や不調にすぐに気づけるくらい、普段から愛情をかけてあげてくださいね。
補足:水頭症は頭の形やその他の前兆で見分けよう
水頭症はいつ分かるのか、見分け方を解説します。
水頭症の検査は、超音波検査やレントゲン検査、CT検査やMRI検査を行って水頭症の症状が出ているかを確認します。ワンちゃんによっては、水頭症であっても、検査で水頭症の症状が見られない場合もあるそうです。
先天性の水頭症はほとんどの場合、見た目からも判断ができます。まず分かりやすいのが頭の形です。水頭症の場合、頭がドーム型に膨らんだ形をしていることがほとんどです。
ネットなどで水頭症の犬の画像や写真を検索してみると、たくさん出てくるので、ペットの頭の形が気になる人は、比較してみてください。
また、水頭症の症状はペットの行動に表れることもあります。落ち着きがない、元気がないなど、いつもと違う様子が表れた場合は、なるべく早く動物病院に連れていきましょう。
まとめ:水頭症は多くのペット保険で補償される!
水頭症は、小型犬に多く見られる疾患です。先天性のものが多いとされていますが、後天性の水頭症もあるため、小型犬以外も注意が必要な病気でもあります。
ほとんどのペット保険で水頭症の治療費は補償されるため、負担を減らすためにも、あらかじめペット保険に加入しておくのがおすすめです。
最後にこの記事でお伝えしたことを纏めました。
- 水頭症は脳脊髄液が増えることで脳を圧迫する病気
- さまざまな症状が表れる
- 頭の形や斜視など、症状が見た目に表れる場合がある
- 完治できる病気ではない
- 内科的治療が一般的だが、外科手術を行うこともある
- 治療費は高額になりがち
- ペット保険で水頭症の治療費は補償できる
どんな病気でも、愛犬や愛猫がかかってしまうと辛いものです。加えて金銭的に負担が大きくなるとなおさらですよね。少しでも負担を減らすため、ペットに良い治療を受けさせるためにも、ペット保険で備えておきましょう。