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犬に顔を舐めさせることのリスクと、代わりに愛情表現を受け止める方法を解説します。犬に顔を舐めさせることには、「人間側が病気になる」「犬が体調を崩す」の両方のリスクが存在します。特に免疫力が低下していたり、傷があったりする場合は要注意です。

記事監修者「森下 浩志」

監修者森下 浩志
フィナンシャルプランナー

早稲田大学基幹理工部出身。すべてのペットのお金と健康にまつわる問題を解決したい、という強い思いからMOFFMEを立ち上げ。ファイナンシャルプランナー、損害保険(ペット保険を含む)の公的資格取得。獣医師団体などと連携をして、ペットのWEB健康診断ツールの開発も行う。

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犬に顔、舐めさせてる?リスクと代わりのじゃれあい方を解説!

犬にとって、相手の顔を舐めることは最大級の愛情表現です。


自分の愛犬がうれしそうに自分の顔を舐めていると、飼い主さんも幸せな気持ちでいっぱいになりますよね。


しかし、犬が顔を舐める行為には大きなリスクがあります。


この記事では、「顔を舐められることのリスク」と「代わりにどうやってじゃれあえば犬が喜ぶのか」を解説します。

顔を舐めさせると、こんな危険が……!


犬に顔を舐めさせるという行為には、このようなリスクがあります。

  • 舐めさせた人が病気になる
  • 顔につけている化粧品などが口に入り、犬が体調を崩す
それぞれ詳しく解説していきます。

リスク①:舐めさせた人が病気になる


※写真はイメージです。病気の解説とは一切関係がありません。


犬の口の中にはたくさんの菌が存在しており、そのほとんどは人間の体には存在していない菌です。寄生虫などが存在しているときもあります。


そのため、顔を舐めさせることで、それらの菌や寄生虫から病気に感染することがあります。このように動物から人に感染する病気のことを「人獣共通感染症(ズーノーシス)」と言います。


健康な人が病気に感染するリスクは低いですが、顔や口周りに傷があったり、乳幼児や高齢者など免疫力が低下している人の場合は、深刻な病気に発展してしまうケースもあります。


特に注意が必要なのは、以下のような人たちです。

  • 乳幼児
  • 妊婦
  • 高齢者
  • 顔や口周りに傷/病気がある人(アトピー、にきび、歯周病、口内炎など)
  • 免疫力が低下している人(糖尿病、がんなど)
  • 感染症などで闘病中、あるいは治ったばかりの人
  • ステロイドなど、特定の薬を服用している人
  • アルコールを過剰に飲む人
このような場合、細菌が口や傷から入って病気になることがあります。

代表的な病気としては、以下の4つがあります。
  1. パスツレラ病
  2. イヌ・ネコ回虫症
  3. Q熱
  4. カプノサイトファーガ感染症
それぞれ詳しく説明していきます。

①パスツレラ病

「パスツレラ菌」という細菌が元になって発症する病気です。

パスツレラ菌は、犬の口には75%の確率で存在しており、気管支炎や敗血症、髄膜炎などの症状につながる場合もあります。

健康な成人であれば仮に感染しても無症状で済むことが多いですが、口内炎など顔や口周りに傷があったり、免疫力が低下しているときは気をつける必要があります。

症状としては、
  • 副鼻腔炎の悪化
  • 鼻から膿が出る
  • 鼻づまりや鼻水が長く続く
  • 喉の痛み、声のかすれ
などがあるほか、食中毒や関節炎になるケースもあります。

②イヌ・ネコ回虫症

回虫とは寄生虫の一種であり、腸内に存在することがあります。

犬がお尻や毛についた回虫の卵を舐めてしまい、その状態で飼い主を舐めることで感染します。

こちらも健康な成人に微量の卵が入る程度では発症することは少ないですが、免疫力が落ちていると感染する可能性があります。

主な症状としては、
  • 発熱
  • 肺炎
  • 肝炎
  • 失明
  • 腹部けいれん
  • 腸閉塞
などが挙げられます。

③Q熱

「コクシエラ菌」という細菌が元になって発症する病気です。

コクシエラ菌に感染している犬の体液や尿などから感染します。犬自体は感染していても症状がほぼ出ない(不顕性感染)ため、事前に見分けることは難しいです。

主な症状としては発熱や倦怠感が挙げられます。慢性化すると心内膜炎や慢性疲労症候群などになる恐れもあります。

④カプノサイトファーガ感染症

「カプノサイトファーガ・カニモルサス」という細菌が元になって発症する病気です。顔を舐められるほか、犬に噛まれることでも感染します。

報告されている発症例は非常に少ない(1993年〜2017年の20年で93例)ですが、把握されていない患者もいると考えられるため、注意が必要です。

こちらも健康な成人であれば症状が出ることはごく稀ですが、免疫力が弱っていると感染する可能性もあります。

症状としては、
  • (噛まれた場合)数時間以内に、噛まれた傷口の周囲に水疱ができる
  • (噛まれた場合)腫れや膿、噛まれた傷口が痛む
  • 発熱
  • 倦怠感
  • 下痢や胃痛
  • 筋肉痛や関節痛
  • 吐き気、嘔吐
などが挙げられ、重症化すると敗血症や髄膜炎、心臓発作、腎不全、手足の切断などさまざまな病気を引き起こす可能性があります。

リスク②:顔につけている化粧品などが口に入り、犬が体調を崩す


病気になる可能性があるのは人間だけではありません。犬が体調を崩してしまう場合もあります。


特にメイクをしている人が顔を舐めさせた場合、薬品に含まれている化学物質で犬が中毒症状を起こす可能性があります。


顔に付着している化粧品の量はごく少量であり、一般的には中毒症状を起こすほどではないため、ほとんどの場合は問題ありませんが、小型犬などの場合は念のため注意が必要です。

犬が顔を舐めたがる!どうしたらいい?


ここまで、犬に顔を舐めさせるリスクについて解説してきました。


しかし、そうは言っても、自分の愛犬が顔を舐めたがっていたら、どうしても応えてあげたくなるという人も多いでしょう。


その場合は、以下のような対応を取ると良いです。

  • 口元を手でガードし、手を舐めさせてあげる
  • 口元を舐めてきたときは顔を背け、落ち着いたら褒める
  • 飼い主以外の人の顔を舐めようとしたときは、代わりにおやつをあげてもらう
それぞれ詳しく解説していきます。

対応①:口元を手でガードし、手を舐めさせてあげる

犬にとって、顔を舐める行為は愛情表現です。


そのため、顔を舐める行為自体はしつけず、飼い主さんの側で口元をガードするという方法をとる人も多いです。


ただし、手に傷があっては本末転倒です。その点は注意しましょう。

対応②:口元を舐めてきたときは顔を背け、落ち着いたら褒める

こちらは、犬の方をしつける対応になります。


頻繁に顔を舐めたがる場合、毎回飼い主さんが自分でガードするのは大変です。その場合は、犬に我慢を覚えてもらうことも検討しましょう。


犬が口元を舐めてきたら顔を背け、場合によってはその場を立ち去ります。そして、犬の様子が落ち着いたら褒めてあげます。これを繰り返します。


そのうち、犬が「顔を舐めることを我慢すれば褒めてもらえる」と学習するため、顔を舐めるのをやめるようになります。


注意点としては「叱らないこと」が挙げられます。顔を舐める行為は愛情表現であるため、顔を舐めたときに叱ってしまうと犬がストレスを溜めてしまいます。

対応③:代わりにおやつをあげてもらう

これは、道ですれ違った人や来客など、飼い主さん以外の人の顔を舐めようとしたときの対応になります。


誰かの顔を舐めようとしたときは、まず「おすわり」と「まて」で制止しましょう。


もし相手も犬と交流したいようなら、犬が待っている間に相手におやつを渡します。


「よし!」と同時に相手の手からおやつをあげてもらい、相手の手を舐めさせてあげると、犬も相手も愛情表現ができるため、気持ちよく過ごすことができます。

まとめ:リスクを理解して、愛犬の気持ちを受け止めよう!

自分のかわいいワンちゃんが顔を舐めてきたら、ついつい甘やかしたくなる飼い主さんも多いでしょう。


しかし、傷があったり、免疫力が低下している人は病気になるリスクがあります。


特に以下のような人は注意が必要です。

  • 乳幼児
  • 妊婦
  • 高齢者
  • 顔や口周りに傷/病気がある人(アトピー、にきび、歯周病、口内炎など)
  • 免疫力が低下している人(糖尿病、がんなど)
  • 感染症などで闘病中、あるいは治ったばかりの人
  • ステロイドなど、特定の薬を服用している人
  • アルコールを過剰に飲む人
もし顔を舐めさせないようにする場合は、このような対応を取ると、愛犬の愛情を受け止めながらリスクを低減することができます。
  • 口元を手でガードし、手を舐めさせてあげる
  • 口元を舐めてきたときは顔を背け、落ち着いたら褒める
  • 飼い主以外の人の顔を舐めようとしたときは、代わりにおやつをあげてもらう
病気のリスクには注意をしつつ、楽しく愛犬と交流しましょう!