ペットと避難所に避難する際、車中泊を行うメリットとデメリットは?のサムネイル画像

犬や猫など、ペットを連れて災害時に避難所へ避難する際、同行避難を行う必要があります。しかし、東日本大震災や熊本地震の際、ペットを避難所で受け入れてくれない事例が多発しました。そのような際に、車を駐車場に泊めて、車内でペットと共に車中泊を行う必要がでてきます。

記事監修者「森下 浩志」

監修者森下 浩志
フィナンシャルプランナー

早稲田大学基幹理工部出身。すべてのペットのお金と健康にまつわる問題を解決したい、という強い思いからMOFFMEを立ち上げ。ファイナンシャルプランナー、損害保険(ペット保険を含む)の公的資格取得。獣医師団体などと連携をして、ペットのWEB健康診断ツールの開発も行う。

この記事の目次

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ペットを連れて避難所に避難できる?車中泊の際の注意点も解説!

災害が起きた際、避難所はペットを受け入れてくれるのか。犬や猫などペットを飼っている方は、災害時の避難について不安に思うことが多いのではないでしょうか?

また、避難所に入れない場合は車中泊という選択もありますが、その際の注意点などはご存知ですか?

そこで今回「MOFFME」では、ペットを連れた避難方法や車中避難についてご紹介します。

  • 災害時、ペットを連れた避難方法は?避難は車で行くべき?
  • 避難所では、ペットを受け入れてくれてくれる?
  • ペットを連れた車中泊はどうやる?必要な物は何?
  • ペットを連れた車中泊のメリット・デメリットは?
  • ペットを連れた車中泊で気を付けること・事前に準備すべきこと
  • 台風や地震の際の車中避難には、キャンピングカーがおすすめ!
以上の項目に沿って解説していきますので、万が一の時のためにぜひご確認ください。

災害時、ペットを連れた避難方法は?避難は車で行くべき?

災害時に在宅避難が危険な場合は、避難所などに避難する必要があります。


ペットを連れている場合は、次の手順で避難しましょう。

  1. ペットにリードを付け、首輪やハーネスが緩んでいないかを確認する
  2. 迷子札・鑑札を首輪に付ける
  3. 小型犬や猫はリードが付いた状態でケージに入れる
  4. フードやワクチン接種証明書など、備蓄品を持ち避難する
体が大きく抱き上げられない犬の場合は、犬用の靴を履かせ瓦礫やガラスの破片から足を守りましょう。日頃から靴を履いて歩く練習をしておくと安心です。

避難手段は徒歩と車、どちらがいいのかと迷うこともありますよね。

災害時は徒歩での避難が原則です。「津波から避難するためやむを得ない場合を除き、避難のために車を使用しないこと」と定められているので注意しましょう。

車での避難は、渋滞を招き身動きが取れなくなるばかりか、津波に巻き込まれる危険性もあります。また、車が水没して車内に閉じ込められたり、緊急車両の通行を妨げるなどさらに大きな混乱に繋がってしまうのです。

体の不自由な方がいるなどやむを得ない場合以外は、徒歩で避難するようにしましょう。

避難所では、ペットを受け入れてくれてくれる?


災害時は避難所へ避難するというのが一般的です。しかし、避難所にペットを連れて行くことは可能なのでしょうか?


ここでは、避難所のペットの受け入れの可否について解説します。

  • 避難所では、必ずしもペットを受け入れてくれるとは限らない!
  • 災害時は、ペットと同行避難の原則がある!
  • 避難所でペットを拒否されたらどうする?車中泊も考えるべき!
過去に地震が起きた際にペットはどのような扱いだったのか、実際の状況も確認していきましょう。

避難所では、必ずしもペットを受け入れてくれるとは限らない!

避難する際、家族であるペットは絶対に連れて行きたいですよね。しかし、ペットの受け入れを拒否する避難所もあるというのが実情なのです。


実際に、2011年の東日本大震災では、避難所や仮設住宅を設置した159自治体のうち、ペットの受け入れを認めていたのは36自治体のみでした。


その他の自治体は受け入れを拒否したり、ペットの受け入れに関する方針を定めていなかったのです。

(参考:東日本大震災における被災動物対応記録集


また、2016年の熊本地震で同行避難ができた避難所は、全体の約3分の1と言われています。


同行避難が少なかったのは、ペットの屋内への受け入れを拒否されたことも理由の1つですが、他の避難者への配慮で車中泊をしたり、ペットを自宅に置いてくる被災者が多かったことも挙げられます。

(参考:熊本地震における被災動物対応記録集

災害時は、ペットと同行避難の原則がある!

災害時は、ペットは原則「同行避難」と決められています。


同行避難とは、飼い主がペットと一緒に避難所まで安全に避難することを意味します。


東日本大震災では多くのペットが犠牲になりました。また、飼い主の元へ帰れなかったペットの野生化や、野生化したペットが繁殖を繰り返すことで生態系のバランスに影響を及ぼす可能性が懸念されました。


それらの問題を軽減するために、2013年に「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン」(2016年には「人とペットの災害対策ガイドライン」に改訂)が作られ、災害時のペットの対応は、原則同行避難となったのです。


ただし、同行避難とは避難所までペットを連れて避難することで、同じスペースで避難生活を送ること(同伴避難)ではありません。居住エリアが別々になる可能性があるので注意しましょう。

避難所でペットを拒否されたらどうする?車中泊も考えるべき!

東日本大震災が起きた際、ペットを置いての避難を余儀なくされた飼い主さんが多くいました。ニュースなどにも取り上げられ、人間とペット双方の気持ちを思い胸を痛めた方もいたのではないでしょうか。


その後、ペットは原則同行避難と定められましたが、現在でもペットの受け入れを拒否されるケースはゼロではありません。  


ペットが避難所に拒否された場合に備え、ペットと一緒に車中泊をすることも視野に入れておきましょう。車中泊は自宅の駐車場や、自治体が車中泊用に解放するエリアで行います。


前もって車中泊可能なエリアを確認し、必要なものを準備しておくことで、もしもの場合に迅速に行動できます。

ペットを連れた車中泊はどうやる?必要な物は何?

近年ではプライバシーや感染症予防の観点から、車中避難を選択する方が増えています。


また、車中泊であればペットと一緒に避難生活を送れるため、ペットを飼っている方にとっても不安を軽減できる避難方法なのではないでしょうか。


ここでは、そんな車中泊について、

  • ペットを連れた車中泊の方法を解説!
  • ペットを連れた車中泊に、必要な物やおすすめグッズを解説!
以上の内容を紹介していきます。

ペットを連れた車中泊の方法を解説!

ペットを連れて車中泊をする場合は、ペットに合わせた工夫が必要です。以下の内容を参考に、ペットにストレスの少ない車中泊を心がけましょう。


足元の隙間を埋める

ラゲッジスペースやフラットにしたシートの隙間に、ペットの足が挟まってケガをすることがあります。タオルなどで隙間を埋めてその上に厚手のシートを敷き、事故を防止しましょう。


窓を目隠しする

外からの視線は、私たち人間だけでなくペットにとってもストレスになります。無駄吠えなどの問題行動に繋がる恐れがあるので、外からの視線を避けるために、布などで目隠しをすると良いでしょう。


ペットの寝床を作る

ペット専用のケージや、ペットの匂いが付いたブランケットを敷くなどして、ペットが落ち着ける寝床を作りましょう。

ペットを連れた車中泊に、必要な物やおすすめグッズを解説!

被災後は72時間(3日)を経過すると、生存率が大幅に低下すると言われています。また、被災からしばらくは支援物資の供給が少ないので、この72時間を乗り越えるためにしっかりと備蓄することが大切です。

そこで、車中泊をする際にペットに必要なものをまとめました。

必ず用意するもの

  • 食べ慣れたフード、水(1週間分)
  • 常用薬
  • フードボウル
  • ペットシーツ/トイレと猫砂
  • 排泄袋
  • ケージ/キャリーバッグ
  • リード
  • 迷子札・鑑札
  • ワクチン証明書
食事や排泄に関するもの、迷子札や鑑札は必ず持って避難します。食べ慣れたフードや水は1週間分の量を用意しておくと良いでしょう。

あると便利なもの

  • 犬用の靴
  • 洋服(防寒・汚れ・抜け毛防止用)
  • オムツ
  • ブラシ
  • ドライシャンプー
  • 予備のリード・首輪
  • 匂いのついたブランケット
  • 厚手のキャンピングマット/レジャーシート
  • タオル
厚手のキャンピングマットやブランケットがあると、ペットの寝床を作るのに便利です。また、体や足の汚れを拭くタオルやドライシャンプーを用意しておくと、ペットの体を清潔に保つことができます。

ペットを連れた車中泊のメリット・デメリットは?

ペットを避難所に連れて行けない場合に、一緒に避難ができるというのが車中泊の最大のメリットです。


しかし、車中泊のデメリットについてもしっかりと把握しておくことが大切です。

  • ペットを連れた車中泊のメリット
  • ペットを連れた車中泊のデメリット
1つずつ確認していきましょう。

ペットを連れた車中泊のメリット

ペットを連れた車中泊のメリットは、次のとおりです。

  • ペットと一緒に避難できる
  • ペットのストレスを軽減できる
  • プライバシーの確保ができる
避難所にペットを連れて行けたとしても、居住エリアが別々であるケースがほどんどです。一方、車中泊であればペットと一緒に避難できるという安心感があります。

また、人が多く出入りする慣れない場所では、ペットの精神面への負担も心配です。飼い主さんと一緒に避難生活を送ることで、ペットのストレスも軽減するでしょう。環境の変化が苦手なペットや分離不安が強いペットの場合は、特に一緒にいてあげたいですよね。

新型コロナ感染症への感染対策ができるというメリットもあり、あえて避難所ではなく車中泊を選択する方も多くいます。

ペットを連れた車中泊のデメリット

続いて、ペットを連れた車中泊のデメリットをご紹介します。

  • 温度管理に注意する必要がある
  • 就寝スペースが狭い
  • エコノミークラス症候群になる危険性がある
  • トイレがない
  • 自治体からの情報や支援物資を得にくい
ペットと一緒に車中泊をする際に大切なのが温度管理です。特に夏場は熱中症の予防として、クーラーをしっかり効かせる必要があります。しかし、クーラーの稼働はガソリンの消費に繋がります。避難中はガソリンを補充しづらい状況なので、車内の温度管理がとても難しいのです。

車内は就寝スペースが狭いため、家族全員が寝られないことが考えられます。また、狭いスペースで同じ体勢のままでいると、エコノミークラス症候群に陥りやすく大変危険です。

自治体は、車中泊の避難者を把握することができません。そのため、情報や支援物資が届きにくく状況判断が遅れるというデメリットもあります。

ペットを連れた車中泊で気を付けること・事前に準備すべきこと

車中泊をする際のデメリットをお伝えしました。それを踏まえてペットを連れた車中泊で気を付けることや、事前に準備するべきことをご紹介します。

  • ペットが車内で落ち着いて過ごせるようにする
  • 脱走しないような工夫をする・迷子札を付けておく
  • 熱中症や脱水症状に気を付ける
  • 避妊手術や去勢手術・ワクチン接種を済ませておく
  • エコノミークラス症候群に注意!
車中泊のリスクを軽減させるために、しっかりと確認していきましょう。

①:ペットが車内で落ち着いて過ごせるようにする

車中泊をする前に、車内に慣れる練習が必要です。


普段と違う環境はペットにストレスを与え、体調不良や問題行動を引き起こす原因になります。そのため、車内で落ち着いて過ごせるように、少しずつ慣らしていきましょう。


普段使っているベッドや、お気に入りのブランケットなどを車内に置いてあげると安心して過ごせます。短い距離からドライブをし、車での移動にも慣れさせてください


また、避難時はペットを外に連れ出せない可能性があるため、車内でも排泄が行えると便利です。排泄場所は、比較的広いラゲッジスペースがおすすめです。防水シートを敷き、その上にトイレシーツや猫砂入りのトイレを置くなど、汚れない工夫をしましょう。

②:脱走しないような工夫をする・迷子札を付けておく

車のドアや窓を開けていると、そこからペットが脱走する恐れがあります。


災害時は混乱していることもあり、いつも以上にペットを探しにくい状況です。迷子になり、そのまま見つからない可能性もあるので注意しましょう。


脱走を防止するために、次のような対策が必要です。

  • 車用の飛び出し防止のリードを付ける
  • ウインドウネットや、ウインドウメッシュガードを付ける
  • 車から飛び降りないようにしつけをする
脱走し迷子になった場合に備え、迷子札を付けておきましょう。犬の場合は、迷子札と一緒に鑑札を付けておくとより安心です。

鑑札には、飼い犬登録をした際の登録番号が記載されています。保健所や愛護団体が保護した場合は、鑑札の登録番号から飼い主宛に連絡が来るようになっているため、ペットが見つかる確率が上がるのです。

③:熱中症や脱水症状に気を付ける

特に夏場は、熱中症脱水症状に注意してください。人間が耐えられる暑さでも、ペットは熱中症になり命を落とすことがあります。


しかし、ガソリンの消耗一酸化炭素中毒の危険性があるので、車中泊ではクーラーを使い続けることは難しいですよね。その場合は、以下のように暑さ対策を行いましょう。

  • こまめに水分補給させる
  • 保冷剤などの冷感グッズを用意する
  • 脇や首などのリンパを冷やす
  • 車内用の網戸を付けてドアを開ける
  • 扇風機を付ける
もちろんペットだけではなく、私たち人間も体調不良に気を付けましょう。

④:避妊手術や去勢手術・ワクチン接種を済ませておく

望まない繁殖はペットの野生化に繋がり、生態系にも影響を与える恐れがあります。万が一ペットが脱走した場合に備えて、避妊や去勢手術は済ませておくと良いでしょう。


また、発情期はホルモンバランスの乱れからストレスを感じやすく、ペットの心と体へ負担がかかります。避難生活において発情期特有の鳴き声や遠吠えは、私たちにとっても辛いですよね。


交尾による感染症や病気のリスクを軽減させるためにも、妊娠を希望していない場合は避妊や去勢手術をおすすめします。


災害が起きて避難する際は、他の動物との接触が増える可能性があります。不要な混乱を避けるためにも混合ワクチンの接種や、ノミやダニ、フィラリアの予防は行いましょう。

⑤:エコノミークラス症候群に注意!

車中泊の際、私たち人間が最も注意したいのがエコノミークラス症候群です。


長時間座った状態で下肢を圧迫すると、血流が悪くなり血栓ができてしまいます。その血栓が肺に詰まることで呼吸困難動悸が起こり、最悪の場合は死に至ることもある病気です。


十分な運動や水分を取らない状態で長時間同じ姿勢でいることで、発症の確率が高まります。  


次の対策を行い、エコノミークラス症候群を予防しましょう。

  • 定期的に車外に出て、軽い運動やストレッチをする
  • 足をマッサージをする
  • こまめに水分補給をする
  • ゆったりした服を着る
  • 就寝時はリクライニング機能や、カバンなどを使って足の位置を高くする
避難生活では、トイレの回数を減らすために水分量を少なくする方も少なくありません。しかし、エコノミークラス症候群の予防するためには、しっかりと水分を摂ることが重要です。

長時間同じ姿勢が続かないように、定期的にストレッチやマッサージを行い、就寝時はなるべくフラットな体勢を作る工夫をしましょう。

台風や地震の際の車中避難には、キャンピングカーがおすすめ!

現在キャンプブームということもあり、以前よりもキャンピングカーを見かける機会が増えました。実は、キャンピングカーを災害用として購入する方も多いのです。


キャンピングカーで車中避難をするメリットは、次のようなものが挙げられます。

  • サブバッテリーがあるので、エンジンをかけずに電力が使える
  • 貯水タンク・エアコン・カセットコンロ・電子レンジ・冷蔵庫の装備がある
  • 車内に非常時用の飲み水や食料を備蓄しておける
  • フラットな寝床を確保できる
キャンピングカーは基本的なインフラが揃っているため、災害でライフラインが止まった場合にも影響を受けません。また、空間が広いため、家族とペットが不自由なく避難生活を送れます。

実際にキャンピングカーで避難生活を送る方も増えており、避難シェルターとしての用途にも注目が集まっています

まとめ:ペットを連れた避難をする際には、車中泊も要準備!

災害時にペットを連れた避難方法や、車中避難についてお伝えしました。


改めてこの記事のポイントをまとめます。

  • 避難する際のフードや水は1週間分の量を用意する
  • 万が一の脱走に備えて迷子札や鑑札を首輪に付けておく
  • 原則は同行避難だが、ペットの受け入れを拒否する避難所がある
  • 受け入れ拒否された場合に備えて、車中泊の準備をしておく
  • ペットが車内で落ち着いて過ごせるように、日頃から車に慣れさせておく
  • ペットの熱中症や脱水症状に気を付ける
  • 人間はエコノミークラス症候群に注意する
  • キャンピングカーは車中避難にもおすすめ
いかがでしたでしょうか。

いざという時、ペットを連れて適切な避難ができるよう、自宅近くの避難所は同行避難が可能かを確認しておきましょう

また、ペットがいる家庭では車中泊も有効な手段です。どちらの場合にも対応できるような備えをしておくと安心ですね。

またMOFFMEでは、他にも様々なペットや保険に関する記事を多数公開しておりますので、そちらもぜひご覧ください!