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内容をまとめると

  1. 犬がむせる原因は①生理現象②病気③誤飲・誤食
  2. 代表的な病気の種類はケンネルコフ・気管虚脱・心臓病
  3. 呼吸が苦しそうであったり発熱・下痢・嘔吐などの症状が見られる場合はすぐに動物病院に連れて行くこと
  4. 犬の医療費は保険適用されないので、もしもの時に備えてペット保険に加入しておくと安心

犬も人間と同じようにむせることがあります。動物病院へ連れて行けば良いのか、家で看病できるのかなど犬がむせることについてまだまだ知らないことが多いと思います。この記事では、犬がむせた時の対処法や犬がむせる原因を紹介していきます。

記事監修者「高田 菜月」

この記事の監修者高田 菜月
一般社団法人愛玩動物健康管理協会(CAHA)

2年間の愛犬(虹組)の介護中に老犬の飼育放棄の多さに驚愕。すべての犬猫が幸せで穏やかな時間を最期まですごしてもらうためにできることは何かを考え、飼い主さんのサポートや老犬・老猫のトータルケアができるサロンを開業するべく準備中。17歳のミニチュアダックスと16歳のチワックスと暮らす。【保有資格:JKC愛犬飼育管理士・ペットフーディスト・ペット看護士・ペットセラピスト・トリマー・ペットスタイリスト・動物介護】

この記事の目次

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犬がむせる時の対処法は?犬がむせる原因や対処法を紹介します

冬の乾燥した日、夏のエアコンが効いた部屋、なんだか喉がイガイガしてむせるような咳がでることがありますよね。


犬も同じように、むせるような咳がでることがあります。


何かが喉に引っかかっているのか、風邪をひいたのか、苦しくて咳をしているのか、ぱっと見ただけではわかりません。


一次的なもので、すぐに治まればよいですが、長引いたり、長時間ではなくても昨日も一昨日もしていたな、と心配になることもあるかと思います。


また、咳の原因によっては一刻をあらそうような場合もあるのです。


そこで今回のMOFFMEでは、犬のむせるような咳について解説いたします。

いざという時、飼い主さんに参考にしていただけると幸いです。


またMOFFMEでは、「ペット保険のランキング」についても詳しく解説しておりますので、そちらもぜひご覧ください!

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犬がむせる原因は?

モデル:小太郎


犬の咳の原因一つ目は、生理現象で起こる咳です。

生理現象で咳がでるのは、気道に刺激があったり違和感を感じたりすることで起こるものです。


暖かい部屋から寒い屋外へ出たとき、涼しい部屋から暑い屋外へ出たときなど、気温や湿度が刺激となって咳がでることがあります。


また、水を一気に飲んで誤嚥してしまったとき、お散歩中にリードを引っ張って首輪が喉を刺激した時にも咳がでます。


犬の咳の原因二つ目は、病気が原因で起こる咳です。


生理現象で起る咳は一次的なものですが、何度も起ったり、長引くような場合は、何かの病気の可能性が出てきます。


咳は「犬の風邪」といわれるケンネルコフ、気管虚脱、心臓病などさまざまな病気の症状として現れます。


犬の咳の原因三つ目は、異物誤食、誤飲、によって起こる咳です。


何らかの異物が気道を塞いでしまったり、喉を傷つけてしまったりすることによって咳が出ます。


様々なケースが考えられますので、繰り返し咳が出る場合、呼吸が苦しそうな場合は早めに動物病院を受診しましょう。

犬がむせる原因:子犬の場合

仔犬の咳では、「犬の風邪」といわれるケンネルコフ異物誤食、誤飲などが考えられます。


ケンネルコフはウィルスや細菌による感染症です。


咳とともにくしゃみや鼻水がでることもあります。


仔犬は抵抗力が少ないため、肺炎を起こしたり、下痢や嘔吐といった症状がでることもあります。


発熱、下痢、嘔吐を伴う場合は体力を消耗し重篤な状態になってしまう場合もあります。


異物誤食、誤飲の危険性は仔犬だけではありませんが、身体が小さいため、食べても問題ないものを喉に詰まらせてしまう可能性もあります。


異物誤食、誤飲による咳は一刻をあらそう場合が多いため、特に注意が必要です。

犬がむせる原因:成犬・シニア犬の場合

成犬・シニア犬の咳では、ケンネルコフ心臓病気管虚脱が考えられます。


シニア犬は免疫力が下がってくるため、感染にも弱くなります。


そのため、ケンネルコフにかかる可能性も高くなります。


また、腎臓や肝臓などの持病をもっていると、悪化したり回復も遅くなります。


心臓病は加齢とともに増えてくる病気です。


疲れやすくなったり、お散歩に行くのを嫌がったりすることもあります。


気管虚脱は気管が潰れて呼吸がしずらくなる病気です。


酸欠によるチアノーゼ(口中や舌が青紫になる)を起こすこともあるので、注意が必要です。

犬がむせる時に考えられる病気を紹介!

モデル:小太郎


ここでは、咳が症状としてあらわれる病気4つについて解説いたします。


様々な病気で咳がでますが、どんな病気があるのか知っておくと、適切な対応ができるかと思います。


愛犬の咳が気になる場合の参考にしてくださいね。

  • ケンネルコフ
  • 気管虚脱
  • 気管・気管支柔軟化
  • 僧帽弁閉鎖不全症

犬がむせる時の病気:ケンネルコフ

ケンネルコフは「犬の風邪」ともいわれる病気で、飛沫感染や接触感染で広がっていきます。


ウィルスや細菌が呼吸器に入り、感染を起こすことによって発症します。

原因となるのは、犬アデノウイルス2型、パラインフルエンザウイルス、犬呼吸器コロナウイルス、マイコプラズマなど多岐にわたります。


「コフッ、コフッ」「ケッ、ケッ」といった乾いた咳が代表的な症状です。


数日で治まることもありますが、悪化すると発熱、鼻水、くしゃみといった症状を併発します。


免疫力が低い仔犬やシニア犬が感染すると、重症化し肺炎になってしまうことも。


下痢や嘔吐といった症状も現れることがあります。

感染力がとても強いので、同居犬がいる場合は隔離が必要です。


ほっておくととても恐い病気ですので、早めに動物病院を受診しましょう。

犬がむせる時の病気:器官虚脱

気管虚脱は「ガーガー」というガチョウの鳴き声のような咳がでる、呼吸器疾患です。


呼吸をする時に、気管が変形し潰れて狭くなってしまい、うまく空気が通れなくなるのです。


また、水を飲んだ時にもむせるような咳を繰り返します。


悪化すると、チアノーゼ(舌やはぐきなどが青紫に変色する)や、呼吸困難を起こしてしまう可能性もあります。


発症原因は不明なのですが、小型犬や短頭種に多い傾向です。

中高齢で発症することが多いのですが、チワワ、トイ・プードル、ポメラニアン、ヨークシャー・テリアなどの小型犬では、若齢での発症も少なくありません


咳とともに、呼吸の様子がおかしいと感じたら、早めに動物病院で検査をしてもらいましょう。

犬がむせる時の病気:気管・気管支軟化症

原因は不明ですが、気管支の軟骨の変性で気管支が潰れ、慢性的に咳がでます。

「胸部気管虚脱」と呼ばれることもありますが、原発性の気管虚脱とは病態が異なります。


小型犬で多く見られ、加齢とともに発症が増える傾向にあります。


症状に合わせて治療が必要になり、二次感染を起こすこともあるため、慢性的な咳がでている場合は動物病院を受診しましょう。

犬がむせる時の病気:僧帽弁閉鎖不全症

僧帽弁閉鎖不全症は犬の心臓病の中で最も多い病気です。

左心房と左心室の間にある僧帽弁がうまく閉じることができなくなる病気です。


弁がきちんと閉じないと、十分な血液を送り出すことができなくなります。

そのため心臓に負担がかかり左心房が肥大して、その上にある気管が圧迫されてしまうため咳がでるのです。


「ゲフゲフ」という咳が、興奮したとき、または明け方や夜間にでることが多いようです。


キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル、マルチーズなど遺伝的に発症しやすい犬種もありますが、多くは加齢により発症すると考えられています。

悪化すると呼吸困難や失神といった症状が出たり、肺水腫を併発することも少なくありません。


命にかかわるような状態になってしまっては大変です。

徐々に進行する病気なので早期発見、早期治療が必要です。


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犬がむせる時の対処法や応急処置を紹介

モデル:小太郎


犬のむせるような咳と疑われる病気について解説しましたが、では、実際に咳をしている時どうすればいいのでしょうか。

まずは、以下の点を確認してみましょう。

  • 呼吸は苦しそうではないか
  • 発熱や下痢、嘔吐などの症状がないか
  • 異物誤食、誤飲はしていないか
  • 口を開けて呼吸をしていたり呼吸数が多い
  • 舌や歯茎の色が紫(青白い)になっている


上記の症状が見られる場合は、すぐに動物病院へ行きましょう


上記の症状がないようであれば、ひとまず様子を見るのもよいでしょう。

静かに落ち着かせて、咳が止まるのを見守りましょう。

一過性の咳の場合は背中をさすってあげるのも効果があるようです。


ただし、咳が長時間続く場合、または長期間続いている場合、食欲が無くなってきた場合は動物病院へ行きましょう。

犬がむせる時の処置:一過性の場合は咳の状態を記録する

先ほどあげた症状が見られない場合でも、悪化する可能性は0ではありません。

いざ病院へ行ったときに詳細に病状を伝えられるように、記録をつけておきましょう。


時系列でメモしておくとどういうときに咳がでるのかなどが解りやすいです。

○○時〇分 咳が出始めた。

○○時〇分 落ち着いた。

○○時〇分 ごはんを食べた。

○○時〇分 咳が出始めた。

など、箇条書きのメモで問題ありません。


また、病院へ行くと環境が変わり、緊張のため咳が止まることがあります。

咳の状態を口頭で説明するのはとても難しいです。

そのため咳をしている様子を動画にとっておきましょう。

どのような咳なのか一目瞭然なので、診断の目安にもなります。

犬がむせる時の処置:異物が原因の場合はすぐに動物病院へ

異物を食べてしまった場合や、食物を喉に詰まらせた場合にはすぐに病院に連れていきましょう。


気管がつまって苦しそうな時には、背中を叩いて異物を出す(背部叩打法)ことが有効なこともありますが、一刻をあらそうこともあるので、まずは動物病院へ電話して指示を仰ぎましょう。


無理に口の中に手を入れて出そうとすると、興奮してしまったり、咬まれてケガをするる危険性もあるため注意しましょう。


また、食塩水などを飲ませて吐かせることはやめましょう。


きちんと吐くことができず、食道に詰まってしまい窒息することもあります。

また食塩中毒になり、最悪命を落としてしまう可能性も。自己判断で行うことは危険なので絶対にやってはいけません。

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犬がむせる時の治療法を紹介

モデル:小太郎


犬のむせるような咳の原因が病気だった場合、どのような治療を行うのでしょうか。

また完治できるのでしょうか。


それぞれの病気の一般的な治療法について解説いたします。

  • ケンネルコフ
  • 異物誤食
  • 僧帽弁閉鎖不全症
  • 気管虚脱

犬がむせる時の治療法:ケンネルコフ

ケンネルコフの治療は、発症した原因となるウイルスや細菌の種類によって異なります。

原因が細菌感染であれば抗生剤を投与し、ウィルス感染の場合は抗ウィルス剤が現時点では存在しないため、対処療法となります。


症状や状態に合わせて、鎮咳薬去痰薬気管支拡張剤などを用います。


また「ネブライザー(薬剤を霧状にする装置)」を使って、薬を吸入し直接気管粘膜に作用させる方法は、身体への負担も少なく有用な治療法です。


仔犬やシニア犬は免疫力が低いため、重症化し肺炎や気管支炎を起こしてしまうこともあるので、早めの治療が必要です。

また、体力が消耗しないよう、栄養バランスのとれた適切な食事も大切です。


ウィルス感染は混合ワクチンで予防できるものも多いので、定期的なワクチン接種を行いましょう。

犬がむせる時の治療法:異物誤食

異物誤食、誤飲の治療は、状況や飲み込んだ物によって異なります。

まずは触診やエコー、レントゲンなどで異常がないか確認を行います。


飲み込んだ物が小さな物の場合、飲み込んでから90分以内であれば、まだ胃内にとどまっていることが多いので、注射、点滴などで催吐剤を使用して吐かせる処置をします。


吐かない場合、吐くと危険な物、大きな物の場合は、全身麻酔下内視鏡による除去を行います。

内視鏡で取り出せない場合は、開腹手術となる場合もあります。


また、中毒性のあるものを飲み込んだ場合は、体から排出させる処置、点滴や投薬が必要となります。


異物誤食、誤飲はいずれの場合も早急に処置が必要なため、すぐに動物病院へつれて行きましょう

犬がむせる時の治療法:僧帽弁閉鎖不全症

僧帽弁閉鎖不全症の治療は、基本的には薬による内科的治療です。

病気を治すためではなく、症状を改善するため、悪化させないため、の対処療法となります。


あくまで症状を改善するためのものなので、心臓病の犬は生涯、血管拡張剤強心剤といったお薬を飲み続ける必要があります


胸水腹水肺水腫といった症状もみられる場合には、体内の水分調整のために利尿剤などの服用も必要です。


体内のミネラルバランスを整えるための療法食を指定される場合もあります。

また、呼吸が苦しい場合には、酸素吸入も必要になります。


外科手術を行う専門医もいますが、術後の身体への負担や、合併症の心配もあるため、すべての犬において可能なわけではありません。

治療は獣医師と相談のうえ、その子にとって最適な方法を考えましょう。


普段の生活では、心臓に負担がかからないよう注意が必要です。

のんびりとしたお散歩は問題ありませんが、ドッグランなどで駆け回るのは控えましょう。

犬がむせる時の治療法:気管虚脱

気管虚脱の治療は、基本的には薬による内科的治療です。

気管の形を元に戻す薬はないため、症状を抑えるため、悪化させないための対処療法となります


症状によって、気管支拡張剤鎮咳薬抗炎症薬抗生剤などを使用します。

また、肥満の場合は気管支を圧迫してしまうため、ダイエットが必要な場合もあります。


外科的手術は、ステントの挿入や気管外リングプロテーゼといった手法がとられますが、どちらの手術も専門医でなければ受けることができません。


年齢や症状によっては受けられないこともありますし、手術後も定期的な検査が必要となります。


愛犬にとって最適な治療は何か、獣医師とよく相談して決めましょう。

自宅でのケアの注意点

動物病院で診断してもらったからといって安心せず、細やかな観察を行いましょう。


呼吸や心拍数、体温はこまめにチェックします。

夏の暑い日や冬の寒い日には、症状が悪化することもあるので、温度湿度管理には普段以上に気をつけましょう。


安全を考慮して、ペット用のヒーターやマットなども積極的に取り入れましょう。


そして、ゆっくり休養ができるよう、やさしくなでたり、声をかけて、安心でくる環境作りをしてあげたいですね。


食事飲水お薬等、主治医から指示が出ている場合はきちんと守ることが大切です


食欲がない、水を飲んでくれない、薬を飲んでくれない、などは病気の回復の妨げになってしまうので、主治医や看護師に相談してみましょう。


また、ちょっとおかしいなと思ったら「どうしよう・・・」と迷わずに、すぐに動物病院に電話して相談する、すぐに動物病院に行く、など早めに行動することも忘れずに。

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まとめ:迷ったら動物病院へ連れて行こう!

今回は犬のむせるような咳について解説いたしました。

いかがでしたか。


最後にもう一度、ご紹介させていただきます。


むせるような咳の原因は?

  • 生理現象で起こる咳
  • 病気が原因で起こる咳
  • 異物誤食、誤飲、によって起こる咳


 犬がむせる原因 

  • 子犬の場合
  • シニア犬の場合


 犬がむせる時に考えられる病気 

  • ケンネルコフ
  • 気管虚脱
  • 気管・気管支軟化症
  • 僧帽弁閉鎖不全症


 犬がむせる時の対処法や応急処置 

  • 一過性の場合は咳の状態を記録する
  • 異物が原因の場合はすぐに動物病院へ


 犬がむせる時の治療法を紹介 

  • ケンネルコフ
  • 異物誤食
  • 僧帽弁閉鎖不全症
  • 気管虚脱
  • 自宅でのケアの注意点


以上、犬のむせるような咳について、様々な角度から解説いたしました。


愛犬の咳は見ていてつらいものです。

ですが、咳をしている愛犬はきっともっとつらいのです。


大事にいたらないためにも、早めの処置が必要です。

気になったらすぐに動物病院へ連れて行きましょう。


またMOFFMEでは、他にも様々なペットやペット保険に関する記事を多数公開しておりますので、そちらもぜひご覧ください!