犬がチョコレートを食べたらダメな理由とは?致死量や対処法も解説【獣医師コメント付き】のサムネイル画像

甘くておいしいチョコレートですが、犬が少量でも食べたり舐めたりすると、中毒症状を引き起こす可能性があり、死亡例があるほど危険な食べ物です。なぜ犬はチョコレートを食べたら危険なのか、万が一食べたらどのような中毒症状が出るのか、食べても元気な場合の対処法など、チョコレートと犬の関係性・食べた場合の対処法について詳しく解説していきます。

この記事の目次

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犬にチョコレートがダメな理由とは?死亡例もある

人には集中力アップやリラックス効果など、多くの健康効果や美容効果をもたらしてくれるチョコレートが、犬にはなぜ、危険なのでしょうか。


その理由は、チョコレートの主原料であるカカオに含まれる「テオブロミン」という成分にあります。


テオブロミンは体内に入ると、中枢神経や心臓に強く作用します。


人はテオブロミンを体内で分解し、排出できるので、食べても問題ありません。しかし、犬は、分解と排出を行う力が弱いため体内のテオブロミン濃度が上がり、様々な体調不良を引き起こしてしまうんです・・・!(中毒症状については後述します)


食べた量やチョコレートの種類により、症状や危険度は変わりますが、犬がチョコレートを食べて亡くなったという死亡例もあるほどです。


テオブロミンはチョコレートのほか、

  • チョコレートアイス
  • チョコチップクッキー等の加工品
  • ココア等
にも含まれます。

原材料をチェックし、「チョコレート」「カカオ」「カカオマス」「ココア」等の表示があるものも、誤食しないように注意してください。

犬がチョコレートを食べたらどうなる?中毒症状と後遺症について


では、犬がチョコレートを食べた場合、どんな症状が出るのでしょうか。

ここからは

  • 中毒症状が出るまでの時間
  • 犬がチョコレートを食べた時に現れる中毒症状
  • 犬がチョコレートを食べたら後遺症は残るのか?
について、詳しく解説していきます。

チョコレートを食べてから中毒症状が出るまでの時間は?

中毒症状が出るまでの時間の目安は、1〜12時間です。

しかし、症状が出るまでの時間は、
  • 食べたチョコレートの量や種類
  • 犬の体重や体調等
によっても変わります。

数日経って症状が現れることもあるので、食べた直後は元気だからといって放置することはNG。すぐに症状が見られない場合でも、「万が一」がありますので、動物病院を受診した方が安心です。

犬がチョコレートを食べた時に現れる中毒症状

チョコレートに含まれるテオブロミンを犬が摂取すると、以下のようなチョコレート中毒の症状が現れます。

重症度症状
軽度・嘔吐・下痢・失禁・ふらつく
・落ち着きがない・水をたくさん飲む  
中程度・多尿・頻脈・興奮する・神経過敏
・息が早くなる、荒くなる 
重度・高熱・失神・昏睡・震え
・硬直・不整脈・けいれん
・呼吸障害・てんかん発作

テオブロミンは中枢神経や循環器系、腎臓等に作用し、以上のような様々な症状を引き起こします。


よく観察していないと気づきにくい症状から始まることもあるので、一見元気そうに見えても油断は禁物です。

獣医師の平田先生からのコメント:

チョコレート中毒の発症はその摂取量にもよりますが、数時間後に起こると言われています。

はじめは嘔吐や下痢などの消化器症状が現れ、さらに症状が悪化すると不整脈や痙攣、意識障害を経て、突然死することもあると報告されています。

食べた量が少量の場合でも、かかりつけ医にすぐに連絡することをおすすめします。

チョコレート中毒の後遺症は残る?

中毒症状が出ても、症状に応じた治療を行うことで後遺症が残らず元気になることがほとんどです。


しかし、症状が重かったり中毒症状が長く続いたりすると、後遺症が残る可能性があります。


例えば、「肝臓」。後遺症により、肝臓の持つ代謝作用や有毒物質を解毒する作用が低下するので、

  • 疲れやすくなる
  • 食欲がなくなる
  • 下痢が続く
ことがあります。後遺症を残さないためには、早めの治療がカギ。重い中毒症状が現れる前に動物病院を受診し、症状に合った治療を行えるようにしましょう。

獣医師の平田先生からのコメント:

中毒物質であるテオプロミンは肝臓で分解されメチルキサンチンという物質に変わります。この物質は、中枢神経や循環器、肝臓、腎臓などに作用するため、症状が重ければこれら臓器に障害を残すことになります。

具体的には、痙攣発作や胃腸障害、運動不耐性、失神などが考えられます。

もともとこれらの臓器に何か基礎疾患がある子は、そのリスクがさらに高くなると考えていいでしょう。

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犬がチョコレートを少量食べた・舐めたけど元気だから大丈夫?致死量はどれくらい?


犬にとってチョコレートは死の危険があるほどに危ない食べ物です。もちろん、多く食べると重い症状が現れますが、食べた量や舐めた量が少量の場合でも、中毒症状を引き起こしてしまうのでしょうか?


ここからは

  • 少量食べた場合も中毒症状が出る?
  • 危険な致死量とは?
について、詳しくご紹介していきます。

少量食べた・舐めた場合も中毒症状が出る?

食べた量や舐めた量が少量であれば、中毒症状は現れず、無症状で終わることもあります


しかし、チョコレートを食べた量よりも大事なのはテオブロミンの含有量。カカオの含有量が上がるほど、テオブロミンの量は増えます。


最近人気の高カカオチョコレートは、量は少なくても含まれる有害成分の量は多いので、食べた量が少量だからと言って、安心とは言い切れません


愛犬がチョコレートを食べたと気づいたら、すぐに動物病院に連絡した方が安心です。食べたチョコレートの種類と量、今の愛犬の様子等を伝え、受診のタイミング等を相談しておきましょう。

獣医師の平田先生からのコメント:

チョコレートに含まれるテオプロミンはその種類によって大きく含有量が変わってきます。

ミルクが多く含まれるチョコレートはそこまで危険性はありませんが、カカオ含有が高いものやココアパウダーは少量でもかなりの危険が伴います。

また、肝臓や腎臓、循環器に基礎疾患がある子は、少量摂取でも体へのダメージが強く出ますので、中毒症状が重く出る可能性が高くなるでしょう。

危険な致死量とは?

テオブロミンの致死量は、犬の体重1㎏あたり100~200㎎です。小型犬、中型犬、大型犬それぞれの致死量を、下の表にまとめたのでご覧ください。

体格テオブロミンの致死量
小型犬(3㎏)300~600mg  
中型犬(10㎏)1,000~2,000mg  
大型犬(30㎏)3,000~6,000mg  

致死量に達しない場合でも、犬の体重1㎏あたりテオブロミンを20㎎摂取すると、軽度の症状が現れます


犬の体重1㎏あたり摂取量が40~50㎎になると、重度の症状を引き起こし、60㎎になると、けいれんが起こるとされています。


では具体的に、どのくらいの量のチョコレートを食べると、危険なのでしょうか。テオブロミンの含有量は、チョコレートの種類により変わります。一般的な板チョコ1枚(50g)に含まれる、テオブロミン量をチェックしてみましょう。

チョコレートの種類 含有量  
ミルク
77.5~116.5mg
ダーク793.5mg
ビター
264.5~1058mg

3㎏の小型犬の場合、

  • ミルクチョコレート→1枚
  • ビターチョコレート→1/2枚
食べると、重度の症状が現れるかもしれません。
※中毒症状を引き起こすチョコレート量には、個体差があります。表の値はあくまでも目安として、参考にしてください。

獣医師の平田先生からのコメント:

チョコレートをどのくらい食べると致死的であるかは、それぞれの個体によって大きく差が出ます。少量であっても体への影響がある以上、重篤な病態へのトリガーとなることも考えられます。

アンラッキーなケースであれば、それが結果的に命を縮めてしまう結果にもなるかもしれません。これらのリスクを少しでも減らすため、なるべく早く治療を開始することが重要です。

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犬がチョコレートを食べた時の応急処置と対処法


愛犬がチョコレートを誤食したとわかったら、少しでも早く治療をしてあげたいと思いますよね。「お家でできる応急処置の方法を知りたい!」と思われる方も多いことでしょう。


ここからは、犬がチョコレートを食べた時の

  • 応急処置と対処法
  • 病院での対処方法と治療費用
について、解説していきます。

自宅でできる応急処置はないためすぐに病院へ

残念ながら、お家でできる応急処置はありません「気付いたらすぐに吐かせればいいのでは・・・?」と考えてしまいますが、獣医師免許を持たない人が行う医療行為は、逆に危険です。


吐いたものが肺や気管に入ったり、胃の中にある傷を悪化させたりして、愛犬の健康を害する可能性があります。


すぐに楽にしてあげたいと思うからこそ、1秒でも早く、動物病院に行くことが大切です。可能であれば病院に着くまでの時間を使い、

  • チョコレートの現物
  • 成分や原材料がわかる包み紙など
  • 食べた量
  • 食べた時間
  • 商品名
等をまとめておくと、スムーズな診察に役立ちます。

獣医師の平田先生からのコメント:

ご自宅でできる処置に関しては、病院レベルでできることはないでしょう。(ウェブ記事では食塩水を飲ませて催吐するなども載っていますがおすすめしません。)

種てしまった可能性のあるもの、その時間帯、量などをメモして、すぐに動物病院に行くことをおすすめいたします。

いく前に電話連絡をしておくと、動物病院でも処置の準備をしておくことができます。

病院での対処方法と治療費用

愛犬がチョコレートを誤って食べてしまったとき、病院ではどのような治療が行なわれ、治療費はいくらかかるのでしょうか。

動物病院での治療は、チョコレートを食べてからの時間によって内容が変わります。

食べてからあまり時間が経っていない場合には、
  • 嘔吐を促す薬剤を注射する等し、吐かせる処置
  • うまく吐けない場合は胃洗浄や、下剤を飲ませる等の処置
が行われ、食べて時間が経ち中毒症状が出ている場合には、
  • 点滴
  • 酸素吸入
  • 抗生物質、吸着剤、胃粘膜保護薬などの投与
  • 血液検査やレントゲン、心電図などの検査
  • 入院
が必要になることがあります。

チョコレート中毒の症状は幅広く、食べた量に対する反応の強さも個体差があるため、いずれの状況でも、獣医師が愛犬の様子や症状を見ながら、最適な治療方法が施されます。

チョコレート中毒の際の治療費用については、下の表にまとめました。確認していきましょう。
治療内容治療費用
診察料1,000円〜2,000円
超音波検査2,500円〜5,000円
レントゲン2,500円〜5,000円
吐かせる処置2,000円〜5,000円
全身麻酔3,000円〜15,000円
(体重により変化)
胃洗浄15,000円〜20,000円
入院1日4,000円〜7,000円
合計30,000円〜60,000円

まず中毒の程度を確かめるため、血液検査は必須です。わんちゃんはチョコレート以外にもその包装紙や周りにあったものを一緒に飲み込んでいることが多いので、異物や閉塞を確認するためレントゲンや超音波検査も同時に実施することが多いでしょう。

誤食したものが胃の中に残っている時間帯に来院した場合は催吐処置を行うこともあります。そこで特に異常がなければ日帰りできる点滴や注射の治療で終わりになることが多いですが、症状が重かったり異物が確認できた場合は、入院手術を行うこともあります。

病院によって費用は異なりますが、基本的に中毒に関する治療費は高額になる傾向があります。

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犬にチョコレートを食べさせない!飼い主が実践すべき予防策


大切なワンちゃんをチョコレート中毒から守るために効果的なのは、やっぱり予防をすること。


チョコレートの誤食事故を防げれば、チョコレート中毒が起きることはありませんからね。


ここでは、ワンちゃんにチョコレートを食べさせないようにするための予防策を2つ紹介します。

  1. 犬が絶対届かない場所に置いておく
  2. 子どもにチョコレートを持たせない
以下では、各予防策を詳しく解説します。

予防策①犬が絶対届かない場所に置いておく

どれだけチョコレートを食べさせないように気をつけたとしても、チョコレートが愛犬の手の届くところにあっては意味がありません。


チョコレートの保管場所は、必ず愛犬の手の届かないところにしましょう。

  • 愛犬の体格や運動能力の高さも考慮した場所に保管する
  • 蓋がしっかり閉まる棚や引き出しの中に保管する
  • 買い物後のスーパーの袋を、愛犬の手の届くところに置きっぱなしにしない
  • チョコレートの包み紙を食べてしまうこともあるので、ゴミを漁られないようなゴミ箱にする

などの対策をするようにしてくださいね!


買った食品はワンちゃんの手の届かないところにすぐに持ち出し、早めに棚や引き出し、冷蔵庫にしまいましょう。

予防策②子どもにチョコレートを持たせない

小さな子どもがいるご家庭の場合は、お子さんが犬にチョコレートを与えてしまう危険性も否めません。


良かれと思って犬にチョコレートやカカオを使った自分のお菓子を与え、死亡させてしまう悲しい事故も過去には多数起きています。


犬と遊ぶときには、小さなお子さんにチョコレートをおやつとして渡さないよう心がけましょう。

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まとめ:犬がチョコレートを食べない環境づくりが重要

いかがだったでしょうか。


この記事のまとめは、以下の通りです。

  • 犬にチョコレートを、舐めさせたり食べさせたりしてはいけない
  • チョコには「テオブロミン」という、犬に有害な成分が含まれている
  • テオブロミンが原因で、様々な中毒症状が現れる
  • 中毒症状は軽度のものから、最悪の場合は死に至ることもある
  • 中毒症状が出るまでの時間は、1~12時間くらいが目安
  • お家で応急処置を行うと、逆に危険。誤食に気づいたら、すぐに病院へ
  • 食べてからの時間によって、症状に合う処置が行なわれる
  • 処置の内容によっては、高額の費用がかかるケースもある 
  • 具合が悪そうに感じたら、飼い主さんで原因の特定をしようとせず、すぐに動物病院に連れていこう
  • チョコレートは犬が絶対届かない場所に置くようにする
  • 犬と遊ぶ際には子どもにチョコレートを持たせないように!
チョコレートが引き起こすテオブロミン中毒は、死亡例もたくさんある恐ろしい病気。

飼い主さんはワンちゃんにチョコレートを絶対食べさせないように、しっかり事故の予防を心がけましょう。

MOFFMEでは、他にも様々なペットや保険に関するおすすめ記事を多数公開しておりますので、そちらもぜひご覧ください!

記事監修者「森下 浩志」

この記事の監修者森下 浩志
フィナンシャルプランナー

早稲田大学基幹理工部出身。すべてのペットのお金と健康にまつわる問題を解決したい、という強い思いからMOFFMEを立ち上げ。ファイナンシャルプランナー、損害保険(ペット保険を含む)の公的資格取得。獣医師団体などと連携をして、ペットのWEB健康診断ツールの開発も行う。