内容をまとめると
- 猫が水をよく飲む原因には生活環境の影響や、病気・ストレスを抱えていることがあげられる
- 飲む水の量とトイレの回数によっては腎不全などの病気をすでに抱えている可能性がある
- 少しでも不安があればすぐに動物病院で診てもらうことが大切
- 猫の治療費用は全額自己負担のため、万が一に備えてペット保険への加入がおすすめ!
猫が水をよく飲むのはストレスが原因でしょうか。飲む水分量が多い、トイレの回数・頻度が多い、尿量が多いといった症状はストレス以外にも腎不全等の病気の可能性もあります。この記事では猫が水をよく飲むこととストレスについて、その原因や対処法を解説します。
この記事の目次
目次を閉じる猫が水をよく飲むのはストレスが原因?考えられる病気も解説!
記事モデル:みみ
猫が室内で元気に暮していくためには、ストレスの少ない環境が大切です。
部屋の模様替えや知らない人、新しいペットは猫にとってストレスであり、体調を崩し病気を引き起こす原因になります。
その病気の症状の中に、いつもより水をよく飲むことがあるそうです。
今回「MOFFME」では
- 猫がいつも以上に水をよく飲む原因
- ストレスは猫にどのようなダメージを与えるのか?
- 飲水量が多いとき考えられる病気
- 猫の適正な飲水量を理解し水の飲みすぎを判断
- 多飲多尿に注意すべき猫種とは
猫が水をよく飲む原因は?ストレスや病気等の原因を徹底解説!
猫が水をよく飲む行動は、すべてストレスや病気によって引き起こされるわけではありません。
猫が暮らしている部屋の環境や毎日食べている食事が変更された場合、以前より飲水量が増える場合があると言われています。
しかし一般的に猫が水をよく飲む、さらにトイレの回数が増える状態は、いわゆる多飲多尿の症状であり、病気の疑いあります。
ここでは、猫が水をよく飲む行動の原因を探り、ストレスとの関係、考えられる病気について解説いたします。
①:食事の内容や気温等、生活環境によるもの
猫が水をよく飲む原因として、病気以外にはどのようなことが考えられるのでしょうか。
毎日の食事内容や気候、また猫が暮らす生活環境からひも解いてみましょう。
食事の内容で飲水量が増える?
一般的に猫の食事に市販のキャットフードを与えることは珍しくありません。市販されている総合栄養食のキャットフードは、おおむね以下の2タイプに分けられます。
- ウエットタイプ~嗜好性が高く含まれる水分量は75~80%
- ドライタイプ~通称カリカリ、含まれる水分量は10%以下
- 尿路結石ケアを目的とした療法食
- 猫の食欲を掻き立てる嗜好性の強いフード
- 暑い夏場は気温上昇に伴い脱水しないよう水をよく飲む
- 気温が下がり寒くなると水を飲む回数、量が減る
②:ストレス
室内飼育の猫でも、元来、警戒心は強く、なかには神経質なタイプもいます。
猫にとっていつも暮らしている部屋は、「縄張り」、自分のテリトリーです。
縄張りは猫が安心して落ち着ける場所であり、大切なものではないでしょうか。
この縄張りが、部屋の模様替えや引越しなど人の都合で変更されることは、猫にとって一大事であり、ストレスを受けることになります。
ストレスによって猫は気分を害し
- 自律神経の状態を乱す
- 自律神経の乱れから水をよく飲むことがある
③:腎不全等の腎臓の病気がある場合
昔から猫は腎臓病にかかりやすい生きものと言われていますが、実際のところはどうなのでしょうか?
猫は年を取るにつれて徐々に腎臓の機能が低下するため、腎臓の病気は「猫の宿命」とも言われています。
猫の腎臓の病気とは
猫の腎臓の主な病気には- 腎臓腫瘍
- 腎結石
- 腎アミロイドーシス
- 糸球体腎炎
- 間質性腎炎
- 排尿の頻度が増える
- 1回の尿量がとても多い
- 排尿の量が多いため水をよく飲む
④:内分泌疾患(ホルモンの病気)がある場合
猫が水をよく飲むという症状の病気は、腎臓の疾患だけではありません。
猫も内分泌疾患、いわゆるホルモンの異常の病気があり、注意が必要です。
そこで、主な内分泌疾患について解説していきます。
糖尿病
猫が糖尿病になると、水をよく飲むようになり、排尿の回数、尿量ともに多い症状が表れるそうです。人間と同様、膵臓から分泌される血糖値をコントロールするホルモンのインスリンが不足することによって発病します。
高齢猫や肥満の猫は、発症しやすい傾向がありますので、注意が必要です。
甲状腺機能亢進症
甲状腺機能亢進症とは、甲状腺ホルモンの過剰分泌によって猫の体がオーバーヒートする病気です。甲状腺ホルモンが過剰に分泌されると体中の細胞の新陳代謝が活発になりすぎ、さまざまな弊害を起こしてしまいます。
猫の性格が凶暴になったり、食べているのに痩せたり、また水をよく飲むなどの症状が表れるそうです。
副腎皮質機能亢進症
クッシング症候群という病名で知られており、副腎から分泌される副腎皮質ホルモンが過剰になることで発病します。主な症状には、水をよく飲むことと尿量が多い「多飲多尿」、また脱毛やお腹がぽっこりしてくるそうです。
⑤:その他の病気
猫が水をよく飲む、オシッコの量が多い「多飲多尿」の症状がある腎臓の病気、ホルモン分泌の異常の病気について解説いたしましたが、ほかにも多飲多尿の症状が特徴の病気がありますので、お伝えいたします。
猫の感染症
【子宮蓄膿症】避妊手術をしないで年齢を重ねたメス猫は、おおよそ8歳を過ぎた頃、細菌感染によって子宮内に膿が溜まる病気「子宮蓄膿症」にかかることがあります。
子宮蓄膿症は
- 元気がなくなり食欲が低下
- 飲水量、尿量ともに多い
- 初期に発熱やリンパ節の腫れ、貧血など症状が表れる
- 水をよく飲むやオシッコの量が急激に増えることがある
- 免疫力が低下し口内炎や敗血症、肺炎を併発
- 原発性上皮小体機能亢進症
- ビタミンD中毒
- アジソン病
- 多発性骨肉腫
- 腎疾患
- 元気がない、食欲低下、体が震える
- 水をよく飲む、オシッコの量や回数が多い
猫の水の飲みすぎはどう判断する?飲水量、尿量の測り方を解説!
健康な猫は、一日にどれくらい水を飲むのかご存知でしょうか、またオシッコの回数や量など適正な範囲も気になるところです。
猫が水を飲みすぎる場合、病気の疑いがあると言われますが、逆に飲水量が少ないと猫は泌尿器系の病気にかかりやすくなります。
そのため猫の正常な飲水量と尿量を把握し、常日頃から愛猫の健康管理においてチェックすることが重要です。
ここでは、猫の飲水量や尿量の測り方や算出方法についてご紹介いたします。
猫の正常な飲水量、尿量とは?計算方法を紹介!
猫は、あまり多く水を飲まなくても生きていける体の構造をしています。
飼い主さんが猫はあまり水を飲まないと間違った認識のもと飼育をしていると、猫の体調変化を見逃し、場合によっては重い病気を引き起こす可能性があります。
そこで猫の正常な飲水量と尿量についてご説明いたします。
健康な猫の飲水量
健康な猫が、1日に必要な水分量の目安は猫の体重 | 必要な水分量 |
---|---|
3㎏ | 120ml |
4㎏ | 160ml |
5㎏ | 200ml |
6㎏ | 240ml |
愛猫の1日に必要とされる水分量を計算するには
- 愛猫の体重(㎏)×40ml=必要な水分量(ml)
- ウエットフードを食べている猫は水分量を調整すること
- 1回の尿量 40~50ml
- 1日の排尿回数 2~3回
猫の飲水量、尿量はどう測る?おすすめの測り方を紹介!
猫の正常な飲水量と尿量を理解したなら、実際の量はどのように測るのでしょうか。
自宅で簡単に行える測り方をご紹介いたします。
飲水量の測り方
用意した水から飲み残した水分量を差し引けば、飲水量が判断できます。キャットフードにも水分は含まれているので、この分を飲んでいなくても大丈夫です。
普段の飲水量を把握しておき、大きな増減があれば病気を疑い、早めに獣医師の診療をおすすめいたします。
尿量の測り方
猫は排泄の際、落ち着いた環境を求めるため尿量を測ることは難しいのですが、自宅で行える測り方をご紹介します。- 猫砂のトイレの場合~オシッコを含んだ猫砂の固まりの数や大きさを確認
- トイレシートの場合~交換後、使用したシートと新品の重さを測る
- 猫が排尿しだしたら、お玉やレンゲで採尿する
- 猫砂の上にラップを敷いて採尿する
多飲多尿になりやすい猫は?多飲多尿の対処法・治療法も解説!
猫は年を重ねていくと腎臓の働きが悪くなるため多飲多尿になりやすい傾向がありますが、なかでも多飲多尿を発症しやすい純血種の猫がいることをご存知ですか。
遺伝や病気などさまざまな原因が多飲多尿を発症させるわけですが、重要なことは常日頃から猫の健康管理を意識高く行い、できる限り未然に防ぐこと、さらに早期発見・早期治療ではないでしょうか。
そこで多飲多尿における動物病院の治療法、自宅で行える対処法などを解説いたします。
多飲多尿になりやすい猫種や年齢、性別を紹介!
多飲多尿を伴う遺伝性の腎臓疾患の多発性腎嚢胞症を、発症しやすい純血種の猫は次の通りです。
- アメリカン・ショートヘア
- スコティッシュ・フォールド
- ヒマラヤン
- ペルシャ
猫の水飲みすぎの対処法・治療法を解説!飼い主にできることとは
猫が正常な飲水量を超え水を飲みすぎる場合、どのように対処すればよいのでしょうか。
水の飲みすぎという行動を飼い主さんによっては
- しばらく様子を見る
- 病気を疑う
- 腎臓機能の低下には、薬物療法と食事療法
- ホルモン分泌の異常には、薬物療法と外科的処置
- 水の飲みすぎの原因を病気と決めつけず、ストレスも考えてみる
- 大切な猫のために獣医師による適切な治療を受ける
- 病気の場合はリラックスできる環境を整える
- 猫が元気でも定期的に健康診断を必ず受ける
補足:猫のストレスの原因や症状・行動、ストレス解消法を解説!
往々にして、飼い主さんは自分では気づかないうちに猫にストレスを与えているのが現状です。
そこで、猫のストレスの原因、ストレスが引き起こす症状と特徴的な行動、さらにストレスを溜めこまないための解消法などについてご説明いたします。
●猫のストレスの原因
人間の生活環境で暮らす猫は、どのようなストレスを受けているのか、その原因を考えてみましょう。
人によるもの | ストレスとなる原因 | 猫のストレス度 |
---|---|---|
愛情表現 | 急に抱き上げる・頬ずり・強く撫でる・用もないのに名前を呼ぶ | 強度 |
生活騒音 | 子供の叫び声・テレビなどの大音量・工事による騒音 | かなり強度 |
環境変化 | 室内模様替え・引越し・知らない人・激しい人の出入り | かなり強度 |
不満退屈 | 遊んでもらえない・よく怒られる・運動ができない | 中度 |
室内環境 | 暑すぎる寒すぎ・トイレが汚れている・隠れる登れる所がない | かなり強度 |
●ストレスによる症状と行動
猫はストレスを受け続けると体に変調をきたし、さまざまな症状が表れたり、また特徴的な行動をとることもあります。
ストレスによる猫の症状と行動
- 爪とぎが増え、オシッコをひっかける
- 家のどこかに隠れる、また家出
- 心因性の脱毛の症状がでやすい
- 性格が攻撃的になる、人を噛む
- 水の飲みすぎやご飯を食べる量が増えたり、逆に食べなくなる
- 夜中に突然駆けまわる
- 前足をガシガシ噛む、体を異常に舐める
- 猫だけのスペースを作る
- 適度に運動できる広さを確保する
- キャットタワーなど登れる場所を作る
- 陽当たりの良い騒がしくなくくつろげる空間をつくる
- あったか空間とひんやり空間をつくる
- おもちゃで遊ぶ
- ブラッシングやマッサージ
- 優しく体を撫でるなどスキンシップ
念のためにペット保険に加入しておくのがおすすめ!
室内飼育の猫は生活空間が制限されていますので、環境の変化によってストレスを受けやすい状態にあるのではないでしょうか。
飼い主さんがストレスによる症状に気づいたときには、かなり深刻な状況にあることも珍しくありません。
そのため猫にとってストレスフリーの環境をつくるとともに、万が一のときに備え「ペット保険」の加入をおすすめします。
ペット保険は
- 医療費の支払いの5割や7割などカバーしてくれる
- ちょっとした体調不良も躊躇なく動物病院で治療が受けられる
まとめ:猫が水をよく飲むのはストレスが原因?
猫が水をよく飲む、さらにオシッコの量が多い場合、それは多飲多尿で慢性腎不全や子宮蓄膿症などに多い症状であり、まず病気を疑う必要があることをご説明いたしました。
またストレスによって猫は飲水量や尿量が正常値を外れることがあるため、自宅で行えるそれぞれの量の測り方や多飲多尿のときの対処法などもお伝えいたしましたが、いかがでしたでしょうか。
この記事のポイントは
- 猫が水をよく飲む、オシッコの量が多いときは要注意
- 食事や生活環境の変化も飲水量や尿量に影響
- 健康時の猫の飲水量と尿量を把握しておくこと
- ストレスの少ない生活環境の構築は飼い主さんの役目