猫の回虫症をご存知ですか?寄生虫である回虫に寄生されることが原因で発症し、嘔吐や下痢等の症状が出ます。治療はブロードラインやレボリューション等の駆虫薬が使用されます。この記事では猫の回虫症について、原因から症状、人への影響、治療法、予防法まで解説します。
この記事の目次
目次を閉じる猫の回虫症とは?多頭飼いでは要注意!
今回解説する回虫症は、その名の通り「回虫」という寄生虫の感染によって「回虫」によって引き起こされます。
成虫は5〜15cmほどの白いヒモ状で動物の小腸に寄生し、猫だけでなく人間にも感染する寄生虫です。
猫を多頭飼いしている場合は、生活を共にしている猫に感染させる危険もあるので十分注意しましょう。
そこで今回「MOFFME」では「猫の回虫症」について
- 猫の回虫症の概要
- 回虫症の原因
- 回虫症の症状
- 回虫症の治療法、治療費
- 回虫症の予防法
- 人間に感染したときの症状・治療法・予防法
- 回虫症になりやすい猫種や年齢、性別、条件
- ペット保険への加入
猫の回虫症とは?原因や症状、感染経路、検査方法も解説!
外を自由に出歩くことのできる猫は回虫症に感染するリスクが高まります。猫の回虫症についての知識を深めて健康な状態で猫を飼育できるように努めましょう。
この見出しで解説する内容は以下の通りです。
- 回虫症の概要や感染経路、検査方法
- 回虫症の原因や回虫の種類
- 回虫症の症状
無症状であることも多い回虫症ですが、しっかり知識を持っておくことで万が一症状が現れた時に落ち着いて対応することができます。
猫には多い病気なのでしっかり理解しておきましょう。
猫の回虫症とは?感染経路や検査方法についても解説!
猫の回虫症とは、線虫という部類に属する寄生虫「回虫」によって引き起こされる病気で、虫卵や回虫の幼虫が口から体内に入ることで感染します。
回虫は小腸に寄生する消化管寄生虫で、猫だけでなく人間を含む多くの哺乳類が感染するので注意してください。
主な感染経路は、体内に幼虫を持っているネズミを捕食することによる感染や母猫の乳汁による経乳感染です。また回虫症に感染している猫の便を介して経口感染することも多いです。
体内に入った虫卵は、便と一緒に排泄されることが多いのですが、咳や嘔吐をしたときに吐き出されることもあります。そしてその便をまた他の動物が口にすることで感染していきます。
飼い猫が回虫症に感染しているかどうか知る方法は糞便検査です。
回虫卵はとても小さな卵のため肉眼で飼い主が確認することはできません。
そのため、健康診断の時の糞便検査で見つかることが多く、まれに嘔吐や咳で成虫が吐き出され診断されるケースもあります。
回虫症であるかどうかは、基本的には病院でしか確認することができないので、回虫症が疑われる場合には動物病院を受診しましょう。
猫の回虫症の原因は?寄生する回虫の種類も解説!
回虫症に感染する原因は、何らかの形で猫の口から虫卵や回虫の幼虫が体内に入るためです。
回虫症に感染している猫の便や、体内に幼虫を持っているネズミを食べてしまったり、感染している母猫の母乳を飲んだりして感染するケースが多くなっています。
多頭飼いの場合は、生活をともにしている猫同士で感染してしまったり、新しく猫を迎えた時に先住猫に感染させてしまうこともあるので注意してくださいね。
また、猫に寄生する主な回虫は「猫回虫」と「犬小回虫」です。猫回虫は猫のみが感染しますが、犬小回虫は猫、犬ともに感染する可能性があります。
猫の場合は猫回虫が寄生することがほとんどですが、犬小回虫も寄生する可能性はあるので注意しましょう。
回虫は最大20cmにもなり、感染してから6~8週間程度で成虫になります。
猫の回虫症の症状は?下痢や嘔吐等の症状を解説!
猫の回虫症は、健康な成猫であれば無症状の場合もあり、症状が重くなることはほとんどありません。
しかし子猫が感染してしまった場合は重篤になる危険性があるため注意が必要です。
子猫が回虫症に感染した場合は、以下のような症状が現れます。
- 下痢や嘔吐などの消化器症状
- 腹部の張り
- 食欲不振
- 被毛不良
- 食べているのに痩せる
- 発育不全
- 口臭
子猫が感染すると栄養の吸収がうまくいかずに発育不全を引き起こしたり、回虫以外の寄生虫やウイルスなどの混合感染がみられる場合は重症化したりすることもあります。
子猫と成猫では、症状に違いがあるため飼い猫の月齢に応じて体調の変化がないかしっかり観察するようにしてくださいね。
子猫の場合は重篤化することもあるので回虫症が疑われる場合はすぐに動物病院を受診しましょう。
猫の回虫症の治療法、治療費、予防法を詳しく解説!
飼い猫が回虫症になってしまった場合は、駆虫薬の投薬により治療を行います。
症状によっては対症療法を行う可能性もあるため、まずは動物病院を受診して獣医師にしっかり診てもらいましょう。
この見出しで解説する内容は以下の通りです。
- 回虫症の治療法と治療費
- 回虫症の予防法
猫の回虫症の駆虫薬の投与等の治療法、治療費を紹介!
猫の回虫症の治療は駆虫薬を用いることで、腸管内の成虫を死滅させることが可能です。
飲むタイプや背中に垂らすタイプなど様々な投薬の方法があり、幼齢、妊娠中、授乳中などで使用できる駆虫薬が変わります。
幼齢の場合や妊娠・授乳中には使用できないものもありますので、自己判断で使用することはせず、必ずかかりつけの動物病院の指示に従うようにしましょう。
基本的には2週間以上の期間をあけながら複数回投薬を行うケースが多いでしょう。
また、消化器症状などの症状がみられる場合には、以下のような対症療法もあわせて行われます。
- 広範囲の駆虫薬の複数回投与
- 輸液療法
- 抗菌剤投与
- 下痢止め・吐き気止めの投与
回虫症の治療にかかる費用は、1通院あたり1,000~2,000円程度です。多頭飼いの場合には他の猫にも感染していることがあるため、全ての猫に駆虫薬を投与した方が安心でしょう。
病院で検査をしないと診断が下らず、適切な駆除薬の選択や治療ができないので、必ず動物病院を受診をして獣医師の診察を受けてくださいね。
猫の回虫症の予防法は?糞便を掃除して回虫卵を駆除するのが大切
猫の回虫症の予防には以下のような方法があります。
- 室内飼育をする
- 定期的に糞便検査を行う
- 定期駆虫を行う
- 糞便を素早く掃除する
完全室内飼育であれば、回虫症に感染することはほとんどありません。
ただし新たに猫を迎える際にはすでに猫回虫に感染している可能性もあるので、しっかり健康診断をして感染してないか確認するようにしましょう。
また、定期的に糞便検査を行うのも早期発見につながるのでおすすめ。ただし虫卵が検出
されないこともあるため、定期的な駆虫薬の投与も効果的です。
さらに糞便中の虫卵は、時間の経過とともに感染力を持ちます。感染力が少ないうちに素早く糞便を掃除することが大切です。
回虫は人間にも寄生する!症状や治療法、予防法を解説!
猫の病気は人間にはうつらないだろうと油断しがちですが、猫回虫は人間にも感染する可能性のある「人獣共通感染症」です。
回虫に感染することでトキソカラ症という病気を引き起こすこともあり、特に幼児や小児では注意が必要です。
この見出しで解説する内容は以下の通りです。
- 人間の体内に入った回虫が原因のトキソカラ症
- 幼虫移行症の治療法や予防法
回虫は人間にもうつる!ただし体内では成虫にはならない!
猫回虫は人間に対しても感染力を持ちます。人間の場合は猫のように消化管内で成虫まで成長することはできません。
しかしその代わり、他の様々な組織に移動・寄生し症状を引き起こす「トキソカラ症」を発症する可能性があるので注意が必要です。
トキソカラ症には内蔵移行型と眼移行型の2種類があります。
内蔵移行型は、発熱や咳、筋肉痛、関節痛、肝障害、てんかん発作を引き起こします。眼移行型は視力低下や失明が見られることもありますが、無症状のことの方が多いです。
幼虫を取り除くことは難しく、幼虫のまま数カ月間体内に生存し続けるので非常に厄介です。
特に小さな子どもは感染している砂場の砂などが口に入るリスクが高いことから感染しやすいので注意が必要です。
トキソカラ症の治療法や予防法とは?虫卵は口から入ることに注意!
トキソカラ症の治療法や予防法があるのか気になりますよね。
トキソカラ症の治療法としては、メベンダゾールやアルベンダゾール、ステロイド剤などが有効です。無症状から軽症の場合には自然治癒もしくは抗ヒスタミン薬を投与します。
眼移行型ではレーザーによる凝固法での治療が行われる場合もあります。
飼い猫が回虫症で、飼い主の体にも異変や不調を感じたらまずは眼科や呼吸器科、内科などを受診して医師にしっかり相談してみてくださいね。
また、幼虫移行症(トキソカラ症)の予防には以下のような方法があります。
- 虫卵の口内侵入を防ぐため、屋外で土や砂に触れた場合はよく手を洗う
- 子どもが遊ぶ砂場などの屋外施設では飼い猫に糞をさせない
- 猫にキスしない
- 猫と遊んだ後もよく手を洗う
虫卵は口から体内に侵入するので、手を清潔にすることは予防策として非常に有効です。
ガーデニングなどで土を触った場合や、子どもが砂場遊びや泥遊びをした際にはよく手を洗って虫卵の侵入を防ぎましょう。
回虫症になりやすい猫種や年齢、性別、条件はある?
回虫症になりやすい猫種や性別は特になく、どの猫でも感染する可能性があります。
年齢に関しては、子猫の時期が要注意です。成猫の場合は無症状の場合も多いですが、子猫の場合は抵抗力が弱いため症状が重篤化する危険性があります。
また、母猫の母乳による感染の可能性もあるので注意が必要です。母子感染をしている場合には、回虫が卵を産み始める生後3週間までに駆虫を行うようにしましょう。
さらに回虫症になりやすい猫の条件は、屋外飼育されている、外を自由に出歩くことができる、多頭飼いされているなどです。
屋外では、飼い猫が他の動物の糞を食べたり、ネズミを捕食したりすることで感染リスクが高まるので、完全室内飼育をすることで回虫症を予防することができます。
もしもの時に備えてペット保険に加入しておくのがおすすめ!
ペット保険は、ペットの治療費を規程の範囲内で補償してくれる保険です。
飼い猫の年間医療費は10,000~30,000円程度かかる場合が多くなっています。
ペット医療は人間のような公的な健康保険がありません。そのため治療費を全額自己負担する必要があり、治療内容によっては高額な医療費がかかります。
飼い猫の万が一の怪我や病気の時に適切な治療を受けられるよう、そして医療費の負担が少なくなるよう、ぜひしっかりとペット保険に加入しておきましょう。
MOFFMEではペット保険に関する記事が多く掲載されています。ぜひペット保険を検討する際の参考にしてみてください。
まとめ:猫の回虫症とは?異変があれば動物病院へ連れて行こう
猫の回虫症について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。
今回の記事のポイントは
- 猫の回虫症とは線虫という部類に属する寄生虫「回虫」によって引き起こされる病気で猫だけでなく人間にも感染する
- 回虫症の原因は幼虫を持っているネズミや猫の糞便の捕食や母猫の乳汁による経乳感染
- 回虫症の症状は、特に子猫に多くみられ、下痢や嘔吐などの消化器症状、腹部の張り、食欲不振、脱水、被毛不良、食べているのに痩せる、発育不全、口臭などがある
- 回虫症の治療法、治療費は駆虫薬の投薬及び対症療法により行い治療費は1匹あたり2,000円程度
- 回虫症の予防法は、室内飼育をする、定期的に糞便検査を行う、定期駆虫を行う、糞便を素早く掃除する
- 人間に感染した場合にはトキソカラ症を発症する可能性があり、確実な治療法は存在しない。屋外で土や砂に触れたらしっかり手を洗うことが大切。
- 回虫症になりやすい猫種や性別は特になし、子猫の時期に多く、かかりやすい条件は屋外飼育、多頭飼い
- 医療費の負担を軽くするためにもペット保険への加入がおすすめ