【獣医師監修】猫の認知症とは?原因から症状、治療法、予防法を解説のサムネイル画像

猫の認知症をご存知ですか?加齢等が原因で、夜鳴きがうるさい、甘える、トイレが出来ない、餌の好みが変わる等の症状が出ます。せん妄やてんかんのこともありますが、若い猫はならないのでしょうか。この記事では猫の認知症について原因から症状、治し方、予防法まで解説します。

記事監修者「森下 浩志」

監修者森下 浩志
フィナンシャルプランナー

早稲田大学基幹理工部出身。すべてのペットのお金と健康にまつわる問題を解決したい、という強い思いからMOFFMEを立ち上げ。ファイナンシャルプランナー、損害保険(ペット保険を含む)の公的資格取得。獣医師団体などと連携をして、ペットのWEB健康診断ツールの開発も行う。

この記事の目次

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猫の認知症とは?改善すれば寿命も縮まらないのか

人間と同じように犬や猫などのペットも認知症になることは知っていますか?
ペットフードの品質向上や獣医療進歩によって人間同様にペットの平均寿命も延びています。

猫の平均寿命は昔は7歳から8歳くらいとされていましたが、現在は15歳以上まで生きることも珍しくありません。そして人間と同じように高齢になると猫も認知症になることがあります。

症状も様々ありますが、人間と同じように徘徊やトイレの粗相、攻撃的になるなどの症状が出ることも多いです。

今回「MOFFME」では、猫の認知症について
  • 特徴や原因、症状
  • 治療法
  • 治療費用
  • 予防法
  • いつから認知症が増えてくるのか
  • ペット保険
について詳しく解説していきます。

猫を飼っている人もこれから飼う予定の人も飼い猫が高齢になってきた時に役立つ内容となっておりますので是非最後までご覧くださいね。

猫の認知症とは?特徴や原因、症状を詳しく解説!


猫の認知症については、詳しく解明されていない部分もありますが、大きな原因は人間と同様で加齢によって脳が衰えることです。


なかには認知症と似ていても他の病気のこともありますので自己判断で完結するのは禁物です。


そこでここでは、猫の認知症について

  • 認知症とは?
  • 原因
  • 同じ症状の病気
について説明していきます。

猫の認知症とは?介護が必要になることもあるのか

既に説明した通り、猫も人間と同じように認知症になります。症状についてはこの後に詳しく説明しますが、粗相や夜鳴きが多くなるなど明らかにいつもと違うなという行動が見られるようになります。


もちろん、認知症になったら、症状に合わせて介護をしていく必要があります。例えば、トイレの失敗が多い場合には、排泄しやすい場所にもトイレを設置してあげるなど少しでも猫にとってストレスが溜まらないように住環境を整え対策することが大切です。


さらに症状が進行して排泄のコントロールが難しくなってきた場合はオムツなども使用して対処していく必要も出てきます。


食事についても、食欲がなかったりうまく飲み込めないなどの症状がある場合には介助が必要です。


介護については、動物病院で指導してくれますのでまずは相談してみて下さいね。

猫の認知症の原因は?脳腫瘍や高齢等の原因を解説!

猫の認知症の原因は、人間と同じく

  1. 加齢による脳の萎縮
  2. 脳腫瘍などの脳の病気
の2つの種類に分けられます。


原因がどちらなのかは、病院でMRIやCTをとることで分かります。


症状は、似てる部分も多いですが脳腫瘍などの脳の病気の場合は認知症にはあまり見られない「目が見えない」「手足が動かない」などの症状が出ることがあり、若い猫でもかかることがあります。


脳の萎縮の原因は加齢もありますが、ストレスも認知症を促進する原因とされていますので注意してあげましょう。


このように同じ症状でも原因の種類が違うこともあるのできちんと病院で診てもらいましょう。

猫の認知症の症状は?粗相や鳴くのがうるさい等の症状を解説!

認知症の症状は大きく5つに分類されます。この症状は、それぞれの英単語の頭文字をとって「DISHAの5兆候」とも呼ばれます。


<認知症の症状>

  • 見当識障害…飼い主の認識が出来ない、家の中をうろうろと迷う
  • 社会的相互作用の変化…攻撃的になる、無関心になる
  • 覚醒/睡眠周期の変化…日中寝て、夜に覚醒し徘徊する・不眠または過眠・夜中に鳴く
  • 不適切な排泄…トイレではない場所で粗相するなど排泄のコントロールが出来ない
  • 活動性…活動性の低下、食欲の減退もしくは増加

以上のような症状が代表的なものになります。


人間と同じく猫も高齢になると気性が穏やかになったり甘えることが多くなる傾向があります。その中で認知症になると攻撃的になることもあるためずっと一緒にいれば、最近いつもと違うなと気づくと思います。何か異変を感じたら、きちんと獣医さんに相談するようにしましょう。


動物病院の中には、認知症外来のある専門的な病院もあります。HPなどに認知症のチェックリストも載っていますので是非参考にしみて下さいね。


参考:https://imoto-ahp.com/dementia-new.htm

補足:せん妄やてんかんでも認知症と似たような症状を示す?

認知症は、一度なると症状の進行スピードを抑えたり症状の緩和をすることは出来ますが有効な治し方はありません。しかし、だからといって治療について自己判断することは危険です。


なぜなら、認知症と同じような症状を示す病気もあるからです。


例えば妄せん妄は「認知機能の低下」を伴い、これが認知症と似たような症状を持つだけで別の病気です。


また、攻撃的になるなどの行動はてんかん発作などでも見られることがあります。てんかん発作というと、手足の硬直やけいれんなどが代表的な症状として思いつくと思いますが、猫の場合は、急に攻撃的になったり、家の中を興奮して走り回るなどの行動をすることもあります。


繰り返しにはなりますが、いつもと違う行動や症状がある場合は、治療が必要な病気が隠れている可能性もあるので必ず医師に診てもらいましょう。

猫の認知症の治療法、治療費用、予防法を詳しく解説!


では、実際に猫が認知症と診断された場合にはどのような治療法があるのでしょうか。


また治療が必要となれば、認知症の場合は完治することがないため継続した治療となることから気になるのが「治療費」ですよね。


ここでは、猫の認知症の

  • 治療法
  • 治療費
  • 予防法
について説明していきます。

猫の認知症の食事療法や投薬等の治療法、治療費を解説!

残念ながら、猫の認知症は完治することはなく現在はまだ特効薬を含めて有効な治療法がありません。


しかし、症状の改善や病気の進行を穏やかにすることは出来ます。


<猫の認知症の治療法>

  1. 投薬
  2. 食事療法
  3. ストレスの軽減

まず、1つめの投薬治療ですが、特効薬はないものの認知症は脳内のドーパミンという物質を増やすことで症状が軽減されることがあるので、そのような効果のある薬を投与する場合もあります。


また、抗酸化作用があるEPAやDHAなどのペット専用サプリメントを与えるという場合もあります。サプリは薬ではないので病院ではなくても購入可能です。


サプリメントは非常にさまざまな種類があるため、どんなものを選べばよいのか、まずは動物病院に相談する方がよいでしょう。動物病院で購入すると定期的に病院を受診するきっかけにもなるため、おすすめです


2つ目は、食事療法です。抗酸化物質はサプリメント以外にも食事からも摂取できます。抗酸化作用のある成分を強化した餌がありますのでそちらを与えます。中鎖脂肪酸を多く含んだフードも有効です。


そして3つ目は、ストレスの軽減です。これは予防策ともかぶる部分がありますが、ストレスが強いと病気の進行を早めますので住環境などを工夫しストレスを緩和し穏やかに過ごせるようにすることが大切です。


病院で治療を行う場合に、気になるのが「治療費」です。猫の認知症治療費について、がペットの認知症の治療費としては以下の例になります。


<猫の認知症の治療費(例)>

内訳金額
初診料1,500~2,000円
神経学的検査3,000円前後
処置
2,000円前後
合計7,000円

サプリメントにはさまざまな種類があり、さらに動物病院は自由診療なのでかなりばらつきはありますが、3,000~5,000円台くらいのものが多いです。


認知症は継続した治療が必要となりますので治療費も期間が長い程かかってくることが分かりますね。

猫の認知症の予防法・対策は?食事や飼育環境に気をつけよう

人間でも認知症は予防が大切ということがよく言われますが、猫も同じで予防することが大切です。


予防で大切なのは、脳を活性化させるということです。


<猫の認知症予防策>

  • 脳に刺激を与える
  • 適度な運動と日光浴
  • スキンシップなどの触れ合い
  • ストレスの軽減
  • 不飽和脂肪酸の摂取

まず、脳に刺激を与えることが大切です。猫用の知育おもちゃを与えてみるなど、脳に刺激を与えてあげましょう。そして、運動はとっても大切です。上手にスキンシップなどを取り入れて遊ばせながら運動させましょう。


そして、日光浴することで体内リズムも整いますので日向ぼっこさせましょう。特に午前中に行うと生活リズムが整ったり内分泌のバランスが整ったりしますのでおすすめです。


またトイレや家具の配置を変えたり床材を変えたりすることは大切ですが、大幅に模様替えしてしまうと逆にストレスを与えてしまうので注意が必要です。


不飽和脂肪酸は、青魚に多く含まれ、人と同じように猫でも認知機能低下を予防する効果があるといわれています。体内ではつくることの出来ない成分なので食事やサプリなどで積極的に摂取していくことで認知症予防しましょう。


もちろん、人間と同じくそれぞれの体質もあるので予防策をしていてもなってしまうこともありますが、普段から実践して少しでも元気に過ごせる期間が長くなるようにしましょう。

認知症はいつからが多い?具体的に何歳からが多いのか解説!


認知症は具体的には何歳くらいから増えてくるのでしょうか。


室内飼いの猫の場合、7歳を過ぎると高齢の域に入ってきますが18歳を過ぎてから認知症の症状が現れ始めることが多いようです


猫の寿命は16歳前後と言われていますので、認知症を発症する前に寿命や他の病気で亡くなってしまうことも多いです。


しかし長生きであればあるほど、認知症の発症率も上がってきます。


ただし、11歳から14歳の猫の25%程度でに認知機能の低下がみられるといわれています。それに対して15歳以上になると認知症という診断がついていなくても、およそ半分くらいの猫に認知機能の低下がみられるというデータもあるようです。

もしもの時に備えてペット保険に加入しておくのがおすすめ!


ペットには、健康保険がありません。そのため、病気やケガで病院にかかる場合には全額自己負担となります。


さきほど、認知症の場合の医療費の例をあげましたが一回の通院でも5,000円以上かかることも多いです。また、各種検査や入院、手術となれば結構な金額がかかってきます。


もし、自分の飼っているペットが病気やケガになったときには、少しでも長く生きることの出来るように医療費の心配をせずに必要な処置をしてあげたいですよね。


そのためにも、まだ加入していない人やこれからペットを飼おうと思っている人はペット保険への加入も是非検討してみてはいかがでしょうか。


ペット保険についてはMOFFMEでも詳しく説明している記事がたくさんありますので是非参考にしてみて下さいね。

ペット保険の一括比較はこちら

まとめ:猫の認知症とは?進行すると行動も変わる!

以上のように、猫の認知症について詳しく説明してきましたがいかがだったでしょうか。


この記事のポイントをまとめると

  • 猫も人間と同じく高齢になると認知症になる
  • 猫が認知症のなる原因は、高齢と病気の2つがある
  • 認知症の症状と似ている他の病気の場合もあるので自己判断せずお医者さんにみてもらうようにする
  • 猫が認知症になった場合は症状によって、介護が必要
  • 猫の認知症の症状には様々あるが、人間と同じように粗相が増えたり、徘徊、飼い主の認識が出来ないなどいつもと違う行動がみられるほか、夜鳴きなどもが代表的な症状としてある
  • 猫の認知症には特効薬は今のところはないが、症状を緩和したり病気の進行を遅らせるための薬がある。またストレスは病気を促進させるので住環境などを整えてストレスを減らしてあげることが重要
  • 認知症は定期的通院が必要だが、1回の通院でかかる費用は5,000円くらいが相場である
  • 猫の認知症予防には、スキンシップや運動を通して脳へ刺激を与えることや抗酸化作用のある栄養素をきちんととることが有効
  • 認知症が増えるのは18歳以上からが多い

人間だけではなく、動物も長生きする時代になりました。MOFFMEの記事を参考に少しでも、ペット達と健やかに暮らしていけるように正しい知識と備えを準備しておきましょう。


MOFFMEではこの他にも、ためになる記事を多数掲載していますので是非参考にして下さいね。