猫の膵炎についてご存知ですか?正確な原因は不明で、急性膵炎では嘔吐等の症状が出ます。また糖尿病を併発することもあります。治療は痛みの緩和や制吐剤、輸液、ステロイド剤の投与等が行われます。この記事では猫の膵炎について、原因から症状、治療法、予防法まで解説します。
この記事の目次
目次を閉じる猫の膵炎は完治する?サプリや適切なフード等で回復するのか
膵炎は人間がかかる病気なので耳にしたことがあるとは思いますが、猫もこの病気にかかるのをご存じでしょうか?
今回「MOFFME」では「猫の膵炎」について、
- 猫の膵炎の原因や症状について
- 特徴や検査方法について
- 治療法や治療費、予防法について
- 膵炎にかかりやすい猫種や年齢、性別はあるのか?
- サプリやフードの与え方によって体力は回復するのか?
- 猫の膵炎は完治するのか?
といった内容で解説いたします。
猫の膵炎は急性型と慢性型があり、膵炎と聞くと痛みを伴う大変な病気というイメージがありますが、そのタイプは急性型です。
しかし多くの猫がかかる膵炎は慢性型タイプで、発症しても痛みなどの症状が現れにくいという特徴があります。
そのため、判断がしにくかったり病気の発見に遅れたりするというケースが見られてしまいます。今回は判断が難しい病気である膵炎について解説いたしますので、最後までご覧ください。
猫の膵炎はどんな病気?原因や症状、特徴、検査方法を解説!
猫がかかる膵炎とはどんな原因が元で引き起こされる病気なのか気になる人も多いかと思います。
ここでは、
- 膵炎の特徴と検査方法
- 膵炎の原因
- 膵炎の症状
といった内容について取り上げます。膵炎は急性型は分かりやすい症状が見られますが、慢性型でははっきりとして症状が現れないなど、発見しづらいという特徴があります。
膵炎の原因や症状、特徴などについて詳しく解説していきますので、ご一読ください。
そもそも猫の膵炎とは?検査方法も解説!
膵臓は、消化を助ける消化酵素を作り出し十二指腸に酵素を送り出している臓器です。膵臓が作る消化酵素はとても威力のあるものなので、膵臓内で活動してしまったら膵臓が傷ついてしまいます。
そうならないように、通常は膵臓で作られた消化酵素は膵臓内にいる間は活動せず十二指腸に辿り着いたら活動を開始する仕組みになっています。
ですが、何らかの要因で消化酵素が膵臓に居るうちから活動を開始してしまい炎症を起こしてしまう病気が膵炎です。
膵炎の検査は、
- 血液検査
- スナップ・fPL測定
- レントゲン検査
- 超音波検査
といったものがあります。膵炎の検査の中には「スナップ・fPL測定」という聞きなれない検査名がありますが、これは膵臓で作られるリパーゼという消化酵素を測定するものです。
血液検査は血液中の白血球の量などが分かります。白血球は炎症が起こると上がる数値です。また、SAAという炎症マーカーを検査することもあります。
猫の体内の情報を知るという方法としてレントゲン検査と超音波検査を使用します。また超音波検査では膵臓の腫大などを確認します。
猫の膵炎の原因は?正確な原因は不明で対策は難しい
猫の膵臓の原因は特定されていません。ですが、原因となる要素がいつくかあるので紹介いたします。
膵臓の原因と考えられているものは、
- ヘルペスウイルスなどのウイルス感染
- トキソプラズマなどの寄生虫感染
- 胆管肝炎などの他の病気
- 薬物による中毒症状
- 事故など激しい衝撃での膵臓の損傷
となります。このように、膵炎はウイルス感染や膵臓の損傷など多岐にわたっています。
そのため、どの原因が膵炎を引き起こしているか分かりづらいので予防が難しいといえるでしょう。
しかし、原因と考えられる要因の中に胆管肝炎などほかの病気の発症が膵炎の原因となるものがあります。
ですので、定期健診を受けてほかの病気をいち早く見つけて治療をすることが大切です。
猫の膵炎の症状は?食欲減退や腹水、痛み等の症状を解説!
猫がかかる膵炎の症状は急性型と慢性型では異なるので、それぞれ紹介します。
急性型は、
- 嘔吐
- 下痢
- 眠り続ける意識障害・嗜眠
- 腹痛
という症状があります。
対して慢性型は、食欲不振や体重減少など、非特異的な症状が出たり出なかったりと、はっきりとした症状が出ないという特徴があります。膵炎はほかの病気との併発も多いので、猫伝染性腹膜炎など別の病気を発症している場合は上記の症状以外にも腹水などの症状も現れます。
急性型の膵炎は症状が出るので病気の早期発見に繋がるのですが、慢性型になると紹介した症状がほとんど見られないこともあります。
ですので、発症しても普段と変わらない様子のことが多く、病気が進行して猫がやせ細ったり食欲がなくなってからなど、病気に気づくのが遅れてしまうという事態も起きてしまいます。
このように、急性型の膵炎は症状が出るので早期発見が可能ですが、慢性型の膵炎は症状が出にくく、早期発見が難しい病気だということが分かります。
猫の膵炎の治療法、治療費用、予防法を詳しく紹介!
さきほど猫の膵炎に関する原因や症状について解説しましたが、実際に猫が膵炎を発症してしまった場合の治療内容やかかる費用など気になる人も多いかと思います。
ここでは、
- 猫の膵炎の治療法・治療費
- 猫の膵炎の予防法
といった内容になります。膵炎にかかってしまった猫に対しての治療法やかかる費用、そして予防法について詳しく解説いたします。
猫の膵炎の投薬や手術等の治療法、治療費を紹介!
猫の膵炎は投薬治療となるので手術など外科的治療よりも内科的治療を行うことになります。
治療に使用する薬としては急性型でも慢性型でも使用されるのがステロイド剤です。他にも嘔吐が激しい場合は制吐剤、下痢が酷い場合は下痢止めなど症状によって薬の種類が変わってきます。
下痢や嘔吐が酷い場合には輸液療法も行います。この療法は体内から失われた水分や電解質を補ってくれるので、ネコの体調改善に大きな役割を果たします。
また、猫は膵炎が進行してしまうと食欲がなくなってしまいます。もし絶食してしまうと肝リピドーシスになってしまうリスクがあるので、シリンジを使ってペースト状にしたフードを与えたり、経鼻カテーテルや胃ろうチューブなどを設置したりして肝リピドーシスへの対策と体力回復を行うという方法もあります。
では次に膵炎の治療費について解説します。
膵炎では入院が必要になるケースも多く、その場合は入院期間などにもよりますが、5~6万円くらいかかることもあります。また、通院であっても初診時には血液検査・レントゲン検査・エコー検査を行いますので、それだけで2万円近くかかります。
膵炎の予防法は?何か異変があれば動物病院へ診せよう
予防法として、ウイルス感染が原因でも膵炎は引き起こされるのでワクチン接種も予防に繋がります。
また、猫がかかる慢性型の膵炎は症状が出にくいという特徴がみられるので定期的な健康診断が効果的だといえます。
定期的な健康診断を行っておけば、膵臓だけでなく肝臓などほかの臓器が抱える病気の早期発見にもなりますので、結果として猫の膵炎を予防することになります。
このように、いくつか予防策はありますが、慢性膵炎は気づかないうちに発症しているケースが多いので、猫の様子に異常を感じたら動物病院へ連れて行きましょう。
膵炎になりやすい猫種や年齢、性別はある?
膵炎は急性型の場合は症状が出るので早期治療ができますが、慢性型を発症してしまうと症状が出にくい特徴があり、結果として病気の発見が遅れてしまうという傾向のあります。
可能であれば、膵炎にかかりやすい猫種や年齢、性別について把握して早期発見と治療を行いたいものです。
猫の膵炎は性別には関係なく発症しますが、品種としてシャムがかかりやすいことが示唆されています。
中高年にあたる7歳以上から発症率が増加するようになります。年齢以外に膵炎になりやすい傾向が見られないので、定期的なワクチン接種や健康診断を受けるなど猫の体調管理に気を配るようにしましょう。
もしもの時に備えてペット保険に加入しておくのがおすすめ!
膵炎は治療のために何度も動物病院へ受診することが多いので、家計にかかる負担は大きくなってしまいます。
ですが、ペット保険に加入しておくと膵炎のような病気への治療費を抑えることができます。
医療費の負担が少なければ、お金の心配をせずに安心して病院で診てもらえるのではないでしょうか。
MOFFMEには、ペット保険に関する記事が多く取り揃えていますので、加入を検討している人は、ぜひ参考に読んでみましょう。
まとめ:猫の膵炎は治る?予後は良好なのか
- 膵炎は何らかの原因で消化酵素が膵臓内で活動してしまう病気
- 膵炎で行う検査は「血液検査」「スナップ・fPL測定」「レントゲン検査」「超音波検査」
- 膵炎の病気の原因は特定されていない
- 原因となる要素は感染症やほかの病気の併発などがある
- 膵炎の症状には「嘔吐」「下痢」「腹痛」「食欲と体重の減少」などがある
- 急性型は症状が出やすいが、慢性型は症状が出にくい
- 猫の膵炎の治療法は投薬などの内科的治療になる
- 使用する薬剤は「ステロイド剤」「制吐剤」「下痢止め」など
- 治療費は平均で5万円~6万円くらい
- 膵炎の予防法は「ワクチン接種」「定期的な健康診断」
- 膵炎にかかりやいのは7歳以上の猫、シャム猫